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《エピローグ》
そのうさぎ、支配者につき 02
しおりを挟む同じ顔なのに、性格は少し違う二人が楽しそうに笑い合っている。
それを見ているだけで、ほわりとあたたかい気持ちになる。
「――なぁ、莉兎。ソイツ、オレたちのこと見分けられるみたいだぜ」
「ソイツって……コウキだよ。お前はちゃんとさん付けで呼べ」
「コウキさんな、おけおけ。あ、コウキさん。オレは呂亜って呼び捨てにしてもらって大丈夫だから」
「ええ、と……?」
会話の早い展開になかなかついていけない。
二人が仲良く話しているのを見ているのは楽しいが、急に話を振られると慌てて少しどもってしまう。
「いいよ、呼ばなくて。コウキは俺と呂亜の見分けがつくの?」
焦る幸季にすぐに気づいて、リウがゆっくりとした口調で話しかけてくれた。そういう気遣いがとても嬉しい。
そういえば、リウは最初からそうだった。ずっと、幸季のペースを大切にしてくれている。
「……見分けというか、逆にわからないものなの?」
そもそもの質問が少し理解できない。
二人の見分けがつかない、というのがよくわからなかった。
「全然違うよね? 二人とも……顔以外、雰囲気っていうか、全体的に」
――確かに顔は一緒だけど、それ以外はこんなにも違うのに。
だが、その違いを言葉で説明するのは難しい。
雰囲気、オーラ……そんななんか怪しい言葉になってしまう。
「ああ、もしかしてGlareで区別してるのかな?」
「ん? オレ、今出してねえぞ?」
「俺も出してないよ。でも、それを直感で感じるタイプのSubはいるらしい。コウキはそれなのかもね」
――Glare? 直感で?
一瞬「違う」と答えかけたが、考えてみると確かにその感覚に似ているかもしれない。
そういえばリウに初めてGlareを当てられたときも、彼と全く違うその感覚に驚いたのだ。それがGlareだと、すぐには気づかなかったぐらいに。
そういう感覚がロアからもする。
はっきりとGlareを当てられたわけでもないのに、その気配がわかるような気がした。
「コウキって、もしかして他の人の二次性を見分けられたりする?」
「相手がDomかそうじゃないかはわかるけど、みんなそうなんじゃないの?」
「違うよ。普通の人はGlareでも当てられない限り、一目で相手の二次性を見分けることはできない。やっぱりGlareの気配がわかるんだね」
すごいな、と呟いたリウに頭を撫でられる。
リウと話をしていると、自分が小さな子供になったような気分になる。リウのほうが年下で、自分はいい大人だというのに。
でも、そんな風に接してもらうことに抵抗はなかった。この手に触れてもらうだけで、幸季はほんわりと幸せな気持ちになる。
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「俺も。というか、一卵性双生児でもGlareに差があるんだね。それにも驚き」
Glareを見分けられることはどうやらすごいことのようだ。
Domを見分けることぐらい、みんな普通にやっていることなのだと思っていたのに。
「普通のことじゃなかったんだね……当たり前のことなのかと」
「そうだね。普通とは少し違うけど――おかしなことではないからそんな暗い顔しないで。コウキはもっと自分に自信を持っていいよ」
「自分に、自信……」
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曖昧に頷くと、そんな幸季の内心に気づいたのか、リウが眉を下げて笑っている。
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