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《莉兎視点》
幸せなうさぎ 02
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自分の中にある狂ったDom性を抱えていくことに、ずっとつらさを感じていた。
当たり前のことができない。すぐに本能に飲み込まれてしまう。そんな自分に恐ろしさすら感じていた。
――だけど、本当は違った。考え方が間違っていたのだ。
Subであるコウキに救われた。
SubはDomに支配されるだけの存在ではない。支え合う関係として、お互いが必要なのだ。
Domもまた、Subによって心の安定を得ている。きっとそうなのだ。
コウキに向けて、Glareを放つ。
それを抵抗することなく受け入れるコウキに愛おしさがあふれる。
「ほら、そうやって素直に受け入れるでしょ?」
「だ、って……気持ちいい」
それを気持ちいいと感じるのも、コウキが莉兎のすべてを受けいれてくれているからだ。
他人に身体も心もすべて委ねるなんて、簡単にできることじゃない。
もう一度、今度はさっきより深く口づけた。
舌で喉を塞いでも、コウキは抵抗する仕草一つ見せない。それどころか、自分から喉を開いて莉兎を受け入れようとする。
ひくひくと身体を揺らし、気持ちよさを感じているようだった。
「Good boy、コウキ。本当に……健気で可愛すぎて、壊したくなる」
かくん、とコウキの身体から力が抜けたのがわかった。
意識を失ったのとは違う。その顔に浮かんでいるふわふわとした表情に、コウキがSpaceに入ったのだと気づいた。
――まさか、そこまで信頼してもらえるなんて。
とろりと堕ちたその瞳には、もう莉兎のことしか見えていないようだった。
こちらを見て、幸せそうに笑っている。
そんなコウキが可愛くて可愛くて仕方ない。
ぎゅっと強く抱きしめると、触れた場所から莉兎にも幸せが伝わってくるような、そんな気がした。
◆
『で? 今もSpace中?』
「みたいだな……ずっと、俺の膝の間にいる」
コウキがSpaceに入ってしばらくした後、呂亜から電話がかかってきた。
どうやら、問題のレポートは無事に提出できたらしい。そのお礼の連絡だった。
『可愛いだろ?』
「だな。そういや、お前は経験あんの?」
『いーや、ない。つか、莉兎に先越されるとは思ってなかったわ』
「それは俺も――、絶対ないと思ってた」
誰かが自分の支配でSpaceに入ってくれるだなんて、想像したこともなかった。
そんな深い関係を一人のSubと築けるとは考えていなかったからだ。
自分を信頼してくれるSubなんて現れないと思っていた。本性をさらけ出したプレイをすれば、Subは逃げて当然だと思っていたのに。
それなのに、こうしてすべてを自分に委ねてくれるSubが今腕の中にいる。頭を撫でれば嬉しそうに擦り寄ってきてくれる。
そんなコウキにずっと癒されていた。
当たり前のことができない。すぐに本能に飲み込まれてしまう。そんな自分に恐ろしさすら感じていた。
――だけど、本当は違った。考え方が間違っていたのだ。
Subであるコウキに救われた。
SubはDomに支配されるだけの存在ではない。支え合う関係として、お互いが必要なのだ。
Domもまた、Subによって心の安定を得ている。きっとそうなのだ。
コウキに向けて、Glareを放つ。
それを抵抗することなく受け入れるコウキに愛おしさがあふれる。
「ほら、そうやって素直に受け入れるでしょ?」
「だ、って……気持ちいい」
それを気持ちいいと感じるのも、コウキが莉兎のすべてを受けいれてくれているからだ。
他人に身体も心もすべて委ねるなんて、簡単にできることじゃない。
もう一度、今度はさっきより深く口づけた。
舌で喉を塞いでも、コウキは抵抗する仕草一つ見せない。それどころか、自分から喉を開いて莉兎を受け入れようとする。
ひくひくと身体を揺らし、気持ちよさを感じているようだった。
「Good boy、コウキ。本当に……健気で可愛すぎて、壊したくなる」
かくん、とコウキの身体から力が抜けたのがわかった。
意識を失ったのとは違う。その顔に浮かんでいるふわふわとした表情に、コウキがSpaceに入ったのだと気づいた。
――まさか、そこまで信頼してもらえるなんて。
とろりと堕ちたその瞳には、もう莉兎のことしか見えていないようだった。
こちらを見て、幸せそうに笑っている。
そんなコウキが可愛くて可愛くて仕方ない。
ぎゅっと強く抱きしめると、触れた場所から莉兎にも幸せが伝わってくるような、そんな気がした。
◆
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どうやら、問題のレポートは無事に提出できたらしい。そのお礼の連絡だった。
『可愛いだろ?』
「だな。そういや、お前は経験あんの?」
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「それは俺も――、絶対ないと思ってた」
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そんな深い関係を一人のSubと築けるとは考えていなかったからだ。
自分を信頼してくれるSubなんて現れないと思っていた。本性をさらけ出したプレイをすれば、Subは逃げて当然だと思っていたのに。
それなのに、こうしてすべてを自分に委ねてくれるSubが今腕の中にいる。頭を撫でれば嬉しそうに擦り寄ってきてくれる。
そんなコウキにずっと癒されていた。
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