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《莉兎視点》
本能と理性の狭間 02
しおりを挟む「ん、やぁ……っ」
コウキがセーフワードを口にさえすれば、この責め苦は終わる。
そのことを何度教えてやっても、コウキは頑なに首を横に振るだけだった。そして、拒絶した後に必ずリウに向かって腕を伸ばしてくる。
「……りう、りう――、い、ぁッ」
その手首を掴み、人差し指の第一関節あたりに強く噛みついてやった。
痕がくっきり残るほど強く噛めば、ぎゅうっと後孔が締まった。絞りとるように蠢くナカに持っていかれそうになる。莉兎は小さく喉を鳴らした。
「ッ――コウキ、噛まれるの好きなの?」
「ぁあッ、好き……リウ、……りうッ」
店で「痛いのが好きか」と聞いたときとは明らかに反応が違った。
あのときのコウキの言葉からは嘘が滲み出ていたのに、今の言葉からはそれが全く感じられない。痛いことは嫌いだと言ったはずなのに、噛まれるのは好きだなんて、そんなことがあるのだろうか。
もう一度、別の場所に歯を立てる。
一度目の痛みを覚えているからか、顎に力を入れる前にコウキの身体が強張ったのがわかった。
その顔はやはり痛みに怯えている。それなのに、莉兎を向ける視線には不思議な熱がこもっているようにも見える。
「ぅ、ぁああ……ッ」
さっきよりも強く噛む。口の中にじわりと血の味が滲んだ。
どうやら、犬歯が皮膚を貫いたらしい。
それでもコウキはセーフワードを言わなかった。痛みに震えながらも、まっすぐ莉兎のことを見つめている。
「――リウ、好き……だから、もっと」
コウキの呟いたその言葉に莉兎は激しく動揺した。
まるで、自分を好きだと言っているように聞こえる。勘違いしてしまいそうになる。
確かにコウキは莉兎に対して好意を抱いているようだったが、それは優しい莉兎にであって、今こうしてひどい責め苦を与えている莉兎ではない。
今のはきっと、さっきの噛まれるのが好きかとそう聞いたリウに対する答えだ。勘違いしてはいけない。
こんな異常性の強い自分に愛される資格なんて――。
「ぁああッ、やぁ……ッ」
一層、深く貫いた。
行き止まりだと思われた場所からさらに奥へと押し入れば、コウキの喉から引き攣れたような悲鳴が漏れる。
――もっと泣き叫べ。もっと怯えろ。もっと……もっと。
愛しいものを、壊してしまいたい。
そんな狂ったような感情に呑み込まれる。
白く細い首に手をかけながら、莉兎はその熱をコウキの一番深い場所へと放った。
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