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58 紫紺の欠片

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 城内は騒然としていた。
 監視付きでないと部屋を出られないはずのアロイヴが一人で廊下をうろついていても、誰も気に留めないほどの混乱ぶりだ。
 今なら簡単に逃げられるだろう。
 でも、逃げるつもりはない。

 ――早く、紫紺のところに。

 アロイヴが目指していたのは、この騒ぎの中心――魔王の居室だった。
 城内を一人で出歩くのはこれが初めてなのに、不思議と行くべき方向がわかる。
 誰かに呼ばれているような感覚がした。
 いくつもの扉の前を通り過ぎ、角を曲がり、階段で上を目指す。

 ――ここを曲がった先だ。

 アロイヴは一度も迷うことなく、目的地のすぐ手前まで辿り着いた。
 角を曲がった先に、魔王の居室に繋がる廊下がある。まだ自分の目で確かめたわけではないが、アロイヴにはそれがわかっていた。
 目の前の光景が、夢で見たものとあまりに同じだったからだ。
 あの夢が、さらに現実味を帯びてくる。
 夢と違うのは、廊下の手前に人だかりができていることだった。
 多くの兵士の他に、それを遠巻きに見守る使用人たちの姿がある。さすがにその人だかりに混ざる勇気はなく、アロイヴは廊下の角から、そっと顔を覗かせた。
 人だかりの向こうに目を凝らす。
 兵士たちは、まだ襲撃者を捜している様子だった。
 紫紺は捕まっていないということだ。

 ――襲撃者が、紫紺だって決まったわけじゃないけど。

 違っていればいいと思うものの、あの夢がただの夢とも思えない。

 ――どこかに、手がかりは。

 周囲に視線を巡らせる。
 改めて廊下の惨状を目の当たりにして、アロイヴは眉を顰めた。

 ――壁や床が、あんなボロボロになるなんて。

 どれほどの衝撃が加わったのだろう。
 夢の中では傷一つなかった廊下の壁や柱が、抉れるように崩れていた。天井のシャンデリアも、いくつか割れてしまっている。

「……?」

 視界の端で何かが光った。
 落ちたシャンデリアの破片かと思ったが、どうやら違うようだ。一番損傷の激しい柱の根元に輝く何かが落ちている。
 それは、ほんわりと紫色に発光していた。

 ――……この色って。

 アロイヴは小さく息を呑む。
 胸騒ぎが増したからだ。

「……っ」

 隠れていたことも忘れて、アロイヴは駆け出していた。
 人だかりを掻き分ける。
 騒がしさに気づいた兵士が何か叫んでいたが、アロイヴはそれを無視して突き進んだ。

「アロイヴ様!? どうして、ここに」

 すぐ近くから、フィリの声がした。
 フィリもここに来ていたのだ。
 驚くような声と同時に肩を掴まれる。振り払おうとしたが、うまくいかなかった。

「離して……っ」
「アロイヴ様、そちらに行っては危険です」
「でも、紫紺が!」

 そうだ。
 あの光の正体は、紫紺の何か・・だ。

「……彼、なのですか?」
「離してってば!!」

 思わず、声を荒げていた。
 フィリの手が離れる。
 アロイヴは瓦礫に足を取られながらも、さらに光へ近づく。

 ――違う……絶対に、ちがう。

 この予感は信じたくない。
 それなのに、光る物体との距離が縮まるにつれ、予感は確信へと変わっていく。

「どうして……」

 激しく破損した柱にゆっくりと近づく。
 足から力が抜けた。
 アロイヴがへたり込んだのは、床に転がる小さな魔石の前だ。
 光を放っていたのは、その魔石だった。

「……嘘だって言ってよ」

 震える手を伸ばして、魔石を拾い上げる。
 指先ほどの大きさの魔石に宿る魔力の気配は、紫紺のものに間違いなかった。
 色も、紫紺の瞳と同じ深い紫色。
 それを手の中にぎゅっと握りしめて、アロイヴは力なく首を横に振る。

「……こんなの、嘘だよね?」

 色濃く魔力の気配を残す魔石がどういう意味を持つものなのか、気づかないわけがない。
 この魔石は〈核〉と呼ばれるものだ。
 魔族も魔獣も核を失えば生きていけない。人間でいう心臓の役割をするものだった。

 ――これは……紫紺の核だ。

 それが、ここに落ちているということは――。

「どうしてなの、紫紺……僕は生きてって言ったのに……生きてほしくて、紫紺の手を離したのに」

 もう一度、会いたかった。
 でも、こんな再会は望んではいなかった。

「……なぜ、こんな無茶を」

 呟いたのは、フィリだった。
 アロイヴのすぐ隣で膝をつき、魔石を握る手を見つめている。

「僕の、せいだ」

 紫紺がどうしてこんなことをしたのかなんて、考えなくてもわかる。
 アロイヴのためだ。
 魔王の生贄という役割からアロイヴを解放するために、紫紺は魔王の命を狙ったのだ。
 そして――魔王に殺された。

 ――僕も、今……紫紺と同じことをしたら、すぐに殺してもらえるかな。

 どうせ死ぬ運命だ。それが数日後であれ、今すぐであれ、大差ないように思える。
 アロイヴの視線は廊下の先、魔王の居室に向けられていた。
 壊れた扉が見える。
 紫紺が破壊した扉だ。
 部屋の中は真っ暗で何も見えない。ぽっかりと空いた穴のようにも見える。
 まるで、今のアロイヴの心のようだった。

 ――あの奥に、魔王がいる。

 ふらつきながら立ち上がる。
 紫紺を核を握りしめながら、魔王の居室に一歩近づく。

「……いけません、アロイヴ様」

 アロイヴの考えを読んだのか、フィリが静かな声で制止する。

「まだ、そのときではありません」
「どうして……僕もどうせ死ぬんでしょ? それなら今がいい。ここで紫紺と一緒に逝かせてよ……お願い」
「それはなりません――申し訳ございません、アロイヴ様」

 フィリの声が遠くなる。
 水底に無理やり引きずり込まれるように、アロイヴの意識は暗闇の中でぷつりと途切れた。



   ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 ベッドで眠るアロイヴを見下ろしながら、フィリは二日前の出来事を思い出していた。
 アロイヴは、あの日からずっとこうしてベッドで横になったままだ。常に眠っているわけではなく、日に何度かは目は覚ますものの、身体を起こすことは一度もなかった。
 半覚醒状態のときは、ぼんやり天井を見つめているか、枕元に置いた魔石を眺めていることがほとんどだ。
 アロイヴがこうなっているのは、大切な人を喪った影響ではない。フィリが調合した、精神に作用する薬のせいだった。

「ロイの様子は?」

 聞いてきたのはカルカヤだ。
 カルカヤとフィリは、交代でアロイヴの世話をしていた。気づかぬ間に交代の時間になっていたらしい。

「変わりはありません。ただ、薬を弱めると感情が安定せず、自分を傷つけてしまうこともあるので……もう、最期までこのままがいいのかもしれません」
「それが一番かもしれないな」

 魔王の目覚めはすぐそこに迫っていた。
 明日の深闇の刻、アロイヴは魔王に捧げられることが決まっている。
 捧げられた贄がどんな最期を迎えるのか、知っているのは魔王だけだ。
 それがもしアロイヴに苦痛を与える行為なのだとすれば、こうして半分眠った状態で最期を迎えるほうがいいだろう。

「フィリ、あまり自分を責めるなよ」
「……他人を慰めるなんて、貴方らしくもありませんね」
「ボクをなんだと思っているんだ?」

 カルカヤは軽口を叩きながら、ベッド脇に椅子に腰を下ろした。
 アロイヴの頭に手を置き、優しい手つきで撫でる。

「貴方も、つらいのですか?」
「わざわざ確認が必要なことか? ロイはボクの弟子だぞ。それに、狐くんも……ボクなら止められたかもしれなかったのにな」

 カルカヤの声には、隠せない悔しさが滲んでいた。

「自分を責めるなと言ったのは貴方でしょう?」

 フィリの言葉に、カルカヤは唇の端をわずかに持ち上げた。
 しかし、細められた目に浮かぶ感情は複雑だ。

「彼はどうやって結界を越えたのでしょうか。城の周囲に張られた結界だけでなく、主の部屋の結界まで……魔獣にそんなことが成し得るなんて」
「狐くんは謎だらけだからな。今も名前は呼べないままだし――それに」

 カルカヤは言葉を止めると、アロイヴの枕元に置いてある魔石を見つめた。

「こんなちっぽけな核で、あれほどの魔力を扱える存在を、ボクは他に知らない」
「……彼は、何者だったのでしょうか」

 彼の正体を知る方法はもうない。
 謎は謎のまま、喪われてしまったのだ。

「そんなことより、お前は少し休め。主を迎える準備もあるんだろう? ほら」

 カルカヤに促されて部屋を後にする。
 休める気はしなかった。



   ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 アロイヴは夢と現実を何度も行き来していた。
 意識はずっとぼんやりとしている。
 感情もふわふわしていて、自分が嬉しいのか、悲しいのか、笑いたいのか、泣きたいのかもわからない。
 ただ、自分がどうしてこうなっているかは、きちんと理解していた。眠っていても、フィリとカルカヤの会話が聞こえていたからだ。
 フィリが楽になる薬を使ってくれているおかげで、アロイヴはつらい感情に囚われずに済んでいた。最期までこのままがいいと願うのは、アロイヴも同じだ。
 薬はアロイヴに安らぎを与えてくれた。
 瞼を閉じれば夢を、開けば幻覚を見る。
 どちらもつらいものではなく、幸せな日の記憶を思い出させてくれるものだ。
 でも、今見ている幻覚はいつもと少し違っていた。

「……君は」

 枕元に魔獣が座っていた。
 黒く、小さな影狐だ。
 紫紺かと思ったが違う。その影狐の瞳は、淡い水色をしていた。

「君は、夢で会った子だね」

 影狐は、こくんと頷いたように見えた。
 まるで言葉がわかっているようだ。

「もしかして……幻覚じゃなくて、夢なのかな」

 もうその区別もつかない。
 影狐は、きゅうと高い声で鳴くと、軽い動作でベッドを降りる。アロイヴのほうを振り返ると、ふさふさの尻尾をピンと立て、ゆったりと左右に振った。

「ついてこいって、言ってるの?」

 そんな気がした。
 アロイヴはベッドから出る。
 わずかな違和感を覚えて、後ろを振り返った。

「あれ? 僕の身体……?」

 ベッドに自分・・が眠っているのが見えた。
 慌てて身体を見下ろすと、透けている自分の手足に気づく。
 どうやらアロイヴは今、身体から抜け出してしまった幽霊のような存在らしい。

「やっぱり、夢?」

 戸惑うアロイヴの後ろで、影狐が再び鳴いた。
 急かすような声だ。

「あ、待って」

 先に扉を出ていってしまった影狐の後を追う。
 前にもこんなことがあった気がした。あれは、いつのことだっただろう。

「ねえ、どこに向かってるの?」

 聞いても、影狐は答えてくれない。
 話せないのだから当たり前だ。

 ――やっぱり、前も同じようなことがあった気がする。

 紫紺と一緒に旅した記憶が混同してしまっているのだろうか。
 夢中で影狐の後を追っている間に、アロイヴは城の庭園に出てしまっていた。
 こんなところまで来るのは初めてだ。

「魔王城にも、こんな場所があったんだね。すごく綺麗」

 きちんと手入れされた庭には、たくさんの花々が咲き誇っていた。
 魔王城にこんな美しいところがあったなんて。
 影狐は、これをアロイヴに見せたかったのだろうか。

「あ、この花……前に紫紺が僕にくれた花だ」

 思い出の花を見つけた。
 まだ教会の離れに住んでいる頃、紫紺がくれたのと同じ花だ。あのとき嗅いだ香りを思い出しながら、アロイヴはそっと花に顔を近づける。
 そのすぐ隣の植え込みが、がさりと不自然に揺れた。

「!?」

 驚いて、一歩後ずさる。
 アロイヴは目を見開いたまま、植え込みを見つめた。
 植え込みの中から、同じように驚いた表情の顔が覗いている。十代後半ぐらいの青年だ。

「……お前、幽霊か?」

 先に呟いたのは、青年のほうだった。
 アロイヴは呆然としたまま、青年の顔を見つめる。何度も目を瞬かせた。

 ――今の言葉……それに、この服。

 青年が着ている服には見覚えがあった。
 いや、正確には知らないものだが、アロイヴはよく似たものを前世・・で見たことがある。

「もしかして……君は、勇者?」

 隠れていたのは、制服姿の異世界の青年――勇者だった。
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