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15 紫焔が揺らめく瞳
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ズン、と重い音が響いた。
衝撃によって起きた風が、アロイヴの髪や服の裾を揺らす。目の前の木々も枝や葉を散らしたが、いくら待ってもアロイヴに痛みが襲いかかることはなかった。
ズキズキと痛むのは、転んだときに捻った足首だけだ。
遅れて、グガアァァと魔獣の咆哮が轟いた。ビリビリと空気を揺らすほどの音量だ。
だが、その声の位置はアロイヴから離れている。
おそるおそる振り返った肩越しにアロイヴが見たのは、いつも見ている真っ黒な毛並みだった。
「紫紺……どうして」
紫紺はアロイヴを守るように立ち、魔獣を睨みつけていた。
普段は穏やかな深い紫色の瞳に、強い怒りが点っている。
それはゆらゆらと揺らめいていて、まるで瞳から炎が滲み出ているようだった。
猿型の魔獣は、紫紺に向かって吠えたものの襲ってはこない。紫紺より何倍も大きな体を持ち、負ける要素など何一つないように思えるのに、敵は紫紺のことを明らかに警戒している。
――僕のことは、助けなくていいって言ったのに。
こんな自分勝手な行いに紫紺を巻き込みたくはなかった。
今からだって、自分を置いて逃げてほしいぐらいなのに……それでも、来てくれて嬉しいと感じてしまう。
こうして紫紺に守られていることに、安堵と喜びを覚えてしまう自分がいる。
まだ助かったわけでもないのに、涙があふれてしまいそうだった。
「……紫紺」
もう一度、名前を呼ぶ。
アロイヴの声に反応して、紫紺の耳がぴくりと揺れた。
紫紺の尻尾がアロイヴの足に優しく触れる。怪我は大丈夫かと案じてくれているようだ。
「僕は平気だから……気にせずに戦って」
アロイヴの言葉に、紫紺が頷く。
次の瞬間、紫紺の姿が消えていた――いや、速すぎて動きを目で追えなかったのだ。
ひゅん、と風を切るような音が聞こえた後、地響きと共に猿型の魔獣が倒れる。あまりに一瞬の出来事に、何が起こったのか全くわからなかった。
アロイヴは自分の下に戻ってきた紫紺を、ただ呆然と見つめる。
「もう、倒しちゃったの……?」
きゅう、と紫紺がいつもの可愛い声で鳴いた。
頭をすりすりとアロイヴの手に擦りつけてくる。褒めろと言っているのだ。
「すごいね、紫紺。本当に――ッ」
紫紺を抱きしめようとして、自分が足を負傷していたことを思い出した。
足だけではない。
恐怖と緊張で忘れていた痛みを今になって思い出し、転んだときに地面に強く叩きつけた全身まで痛み始める。
「ごめん……ちょっと、動けそうにない」
地面に座っているだけでもあらゆる場所が痛み、アロイヴは苦痛に顔を歪めた。
それでも命があったからこそ感じられる痛みだ。
あのとき、あそこで紫紺が飛び出してきてくれなければ、自分はあの爪の餌食となって、この場所に転がっていただろう。
そして、誰にも見つけられないまま、朽ちていくことになったはずだ。
「紫紺、おいで」
腕を持ち上げるのもつらかったが、早く紫紺に触れたかった。
呼べば、紫紺はすぐに傍まで来てくれる。
そっと手を伸ばし、紫紺の頭を撫でた。ぺたりと折れた耳の根元を掻いてやりながら、紫紺の顔に自分の頬を擦り寄せる。
「助けてくれてありがとう……投げたりして、ごめん」
感謝の気持ちを伝えた。
そして、無理やり引き剥がして草むらに投げてしまったことを一緒に謝った。
あのときは紫紺を巻き込まないために、ああするしかないと思ったが、胸が痛まなかったわけではない。
本当は紫紺と離れたくなかった。
「う……く……っ」
紫紺に触れて、あたたかさを感じたせいか、急に涙があふれて止まらなくなった。
あの夜にケイを想って泣いてから、アロイヴの涙腺はたまにこうして壊れたようになってしまう。
次々あふれる涙の止め方がわからない。
きゅう、と紫紺が鳴いた。
慰めてくれようとしているのだろうか。
気遣うような表情でこちらを覗き込み、涙で濡れた頬をぺろりと舐めた。
そこから堰を切ったように、アロイヴの顔じゅうを舐め始める。
目元に鼻先、そして唇も。
「ん……っ」
ぞくん、とおかしな感覚がアロイヴの背筋を走った。
痛みとは違う感覚だ。
紫紺の舌が唇に触れるたび、ひくひくと身体が揺れてしまう。それに、ほのかに甘い味を口の中に感じた。
――これ……紫紺の、匂い?
甘い味には紫紺からいつも香る、あの匂いも混ざっていた。
これはもしかして、唇の隙間から入り込んだ紫紺の唾液の味と香りだろうか。
「し、こん……」
またあの感覚だ。
前に気を失ってしまったときと同じ、全身から急激に力が抜けていく。
――そういえば……あのときも紫紺はこうして、僕の口元を舐めて……。
アロイヴが考えられたのは、そこまでだった。
◆
ぴちゃぴちゃと濡れた音がする。
寒いのとは違う、ぞくぞくとした感覚を覚えながら、アロイヴは目を覚ました。
周囲は薄暗い。
淡く発光する苔のついた岩壁に囲まれたここは、どうやら洞穴の中のようだった。
地面に横たわったアロイヴの身体の上には、紫紺が跨っている。ぺろぺろと無心で舐めているのは、露出したアロイヴの胸だった。
「え……なんで僕、裸に」
アロイヴの着衣はすべて取り払われていた。
驚いたアロイヴはすぐに身体を起こそうとしたが、紫紺の前脚が肩を押さえてそれを邪魔する。
「紫紺、離して……」
言っても聞いてくれない。
アロイヴの言葉を無視して、またぺろりとアロイヴの肌を舐める。身体の内側に疼きのような熱を感じて、アロイヴは息を詰めた。
――紫紺は、何をして。
紫紺が執拗に舐めているところをよく見ると、酷い打ち身になっていた。転んだときに落ちていた石がめり込んだところだろう。
紫紺が舐めるたび、その色が薄くなっていっている気がする。
「……もしかして、僕の傷を治してくれてるの?」
紫紺に傷を癒す力があったことを思い出した。
同時に、身体の痛みが減っていることにも気がつく。あれだけ酷かったはずの足首の痛みももうなかった。
アロイヴの問いに頭を縦に動かした紫紺は、『だから大人しくしていろ』とでも言わんばかりに、ぽんと前脚でアロイヴの肩を叩いた。
すぐに傷の治療を再開する。
「う……く、ぁ」
舐められるたび、変な声が出てしまう。
岩壁に反響する自分の声が恥ずかしくて、アロイヴは手で口を押さえた。
それでも、鼻から声が漏れてしまう。
――早く、終われ。
紫紺の舌の動きを意識しすぎると、余計に声が出てしまう。
なんとか気を逸らすため、アロイヴは無理やり意識を周囲に向けた。
――また、紫紺が運んでくれたのかな。
気を失う前のことはちゃんと覚えている。
あの猿型の魔獣を倒したところから、この場所は近いのだろうか。
――もしかして、ここはあの魔獣の巣穴だったり?
物騒な考えが一瞬頭をよぎり、アロイヴはふるふると首を横に振った。
紫紺がそんな危険な場所で、自分にこんな無防備な格好をさせるはずがない。
「ん……ッ」
胸と腹の痣をすべて治し終えたのか、紫紺の舌が次に触れたのはアロイヴの太腿だった。
内腿をねろりと舐め上げられ、さっき以上に声が我慢できない。
咄嗟を足を閉じようとしたが、いつの間にかアロイヴの足の間に居座っていた紫紺のせいで、それは叶わなかった。
「もう、大丈夫だから……」
完璧に治してもらう必要はない、だからやめてほしいという意味で言ったのに、紫紺はアロイヴの言葉を無視して舐め続ける。
絶対に聞こえているはずなのに――紫紺が満足するまで、アロイヴは耐え続けるしかないようだった。
衝撃によって起きた風が、アロイヴの髪や服の裾を揺らす。目の前の木々も枝や葉を散らしたが、いくら待ってもアロイヴに痛みが襲いかかることはなかった。
ズキズキと痛むのは、転んだときに捻った足首だけだ。
遅れて、グガアァァと魔獣の咆哮が轟いた。ビリビリと空気を揺らすほどの音量だ。
だが、その声の位置はアロイヴから離れている。
おそるおそる振り返った肩越しにアロイヴが見たのは、いつも見ている真っ黒な毛並みだった。
「紫紺……どうして」
紫紺はアロイヴを守るように立ち、魔獣を睨みつけていた。
普段は穏やかな深い紫色の瞳に、強い怒りが点っている。
それはゆらゆらと揺らめいていて、まるで瞳から炎が滲み出ているようだった。
猿型の魔獣は、紫紺に向かって吠えたものの襲ってはこない。紫紺より何倍も大きな体を持ち、負ける要素など何一つないように思えるのに、敵は紫紺のことを明らかに警戒している。
――僕のことは、助けなくていいって言ったのに。
こんな自分勝手な行いに紫紺を巻き込みたくはなかった。
今からだって、自分を置いて逃げてほしいぐらいなのに……それでも、来てくれて嬉しいと感じてしまう。
こうして紫紺に守られていることに、安堵と喜びを覚えてしまう自分がいる。
まだ助かったわけでもないのに、涙があふれてしまいそうだった。
「……紫紺」
もう一度、名前を呼ぶ。
アロイヴの声に反応して、紫紺の耳がぴくりと揺れた。
紫紺の尻尾がアロイヴの足に優しく触れる。怪我は大丈夫かと案じてくれているようだ。
「僕は平気だから……気にせずに戦って」
アロイヴの言葉に、紫紺が頷く。
次の瞬間、紫紺の姿が消えていた――いや、速すぎて動きを目で追えなかったのだ。
ひゅん、と風を切るような音が聞こえた後、地響きと共に猿型の魔獣が倒れる。あまりに一瞬の出来事に、何が起こったのか全くわからなかった。
アロイヴは自分の下に戻ってきた紫紺を、ただ呆然と見つめる。
「もう、倒しちゃったの……?」
きゅう、と紫紺がいつもの可愛い声で鳴いた。
頭をすりすりとアロイヴの手に擦りつけてくる。褒めろと言っているのだ。
「すごいね、紫紺。本当に――ッ」
紫紺を抱きしめようとして、自分が足を負傷していたことを思い出した。
足だけではない。
恐怖と緊張で忘れていた痛みを今になって思い出し、転んだときに地面に強く叩きつけた全身まで痛み始める。
「ごめん……ちょっと、動けそうにない」
地面に座っているだけでもあらゆる場所が痛み、アロイヴは苦痛に顔を歪めた。
それでも命があったからこそ感じられる痛みだ。
あのとき、あそこで紫紺が飛び出してきてくれなければ、自分はあの爪の餌食となって、この場所に転がっていただろう。
そして、誰にも見つけられないまま、朽ちていくことになったはずだ。
「紫紺、おいで」
腕を持ち上げるのもつらかったが、早く紫紺に触れたかった。
呼べば、紫紺はすぐに傍まで来てくれる。
そっと手を伸ばし、紫紺の頭を撫でた。ぺたりと折れた耳の根元を掻いてやりながら、紫紺の顔に自分の頬を擦り寄せる。
「助けてくれてありがとう……投げたりして、ごめん」
感謝の気持ちを伝えた。
そして、無理やり引き剥がして草むらに投げてしまったことを一緒に謝った。
あのときは紫紺を巻き込まないために、ああするしかないと思ったが、胸が痛まなかったわけではない。
本当は紫紺と離れたくなかった。
「う……く……っ」
紫紺に触れて、あたたかさを感じたせいか、急に涙があふれて止まらなくなった。
あの夜にケイを想って泣いてから、アロイヴの涙腺はたまにこうして壊れたようになってしまう。
次々あふれる涙の止め方がわからない。
きゅう、と紫紺が鳴いた。
慰めてくれようとしているのだろうか。
気遣うような表情でこちらを覗き込み、涙で濡れた頬をぺろりと舐めた。
そこから堰を切ったように、アロイヴの顔じゅうを舐め始める。
目元に鼻先、そして唇も。
「ん……っ」
ぞくん、とおかしな感覚がアロイヴの背筋を走った。
痛みとは違う感覚だ。
紫紺の舌が唇に触れるたび、ひくひくと身体が揺れてしまう。それに、ほのかに甘い味を口の中に感じた。
――これ……紫紺の、匂い?
甘い味には紫紺からいつも香る、あの匂いも混ざっていた。
これはもしかして、唇の隙間から入り込んだ紫紺の唾液の味と香りだろうか。
「し、こん……」
またあの感覚だ。
前に気を失ってしまったときと同じ、全身から急激に力が抜けていく。
――そういえば……あのときも紫紺はこうして、僕の口元を舐めて……。
アロイヴが考えられたのは、そこまでだった。
◆
ぴちゃぴちゃと濡れた音がする。
寒いのとは違う、ぞくぞくとした感覚を覚えながら、アロイヴは目を覚ました。
周囲は薄暗い。
淡く発光する苔のついた岩壁に囲まれたここは、どうやら洞穴の中のようだった。
地面に横たわったアロイヴの身体の上には、紫紺が跨っている。ぺろぺろと無心で舐めているのは、露出したアロイヴの胸だった。
「え……なんで僕、裸に」
アロイヴの着衣はすべて取り払われていた。
驚いたアロイヴはすぐに身体を起こそうとしたが、紫紺の前脚が肩を押さえてそれを邪魔する。
「紫紺、離して……」
言っても聞いてくれない。
アロイヴの言葉を無視して、またぺろりとアロイヴの肌を舐める。身体の内側に疼きのような熱を感じて、アロイヴは息を詰めた。
――紫紺は、何をして。
紫紺が執拗に舐めているところをよく見ると、酷い打ち身になっていた。転んだときに落ちていた石がめり込んだところだろう。
紫紺が舐めるたび、その色が薄くなっていっている気がする。
「……もしかして、僕の傷を治してくれてるの?」
紫紺に傷を癒す力があったことを思い出した。
同時に、身体の痛みが減っていることにも気がつく。あれだけ酷かったはずの足首の痛みももうなかった。
アロイヴの問いに頭を縦に動かした紫紺は、『だから大人しくしていろ』とでも言わんばかりに、ぽんと前脚でアロイヴの肩を叩いた。
すぐに傷の治療を再開する。
「う……く、ぁ」
舐められるたび、変な声が出てしまう。
岩壁に反響する自分の声が恥ずかしくて、アロイヴは手で口を押さえた。
それでも、鼻から声が漏れてしまう。
――早く、終われ。
紫紺の舌の動きを意識しすぎると、余計に声が出てしまう。
なんとか気を逸らすため、アロイヴは無理やり意識を周囲に向けた。
――また、紫紺が運んでくれたのかな。
気を失う前のことはちゃんと覚えている。
あの猿型の魔獣を倒したところから、この場所は近いのだろうか。
――もしかして、ここはあの魔獣の巣穴だったり?
物騒な考えが一瞬頭をよぎり、アロイヴはふるふると首を横に振った。
紫紺がそんな危険な場所で、自分にこんな無防備な格好をさせるはずがない。
「ん……ッ」
胸と腹の痣をすべて治し終えたのか、紫紺の舌が次に触れたのはアロイヴの太腿だった。
内腿をねろりと舐め上げられ、さっき以上に声が我慢できない。
咄嗟を足を閉じようとしたが、いつの間にかアロイヴの足の間に居座っていた紫紺のせいで、それは叶わなかった。
「もう、大丈夫だから……」
完璧に治してもらう必要はない、だからやめてほしいという意味で言ったのに、紫紺はアロイヴの言葉を無視して舐め続ける。
絶対に聞こえているはずなのに――紫紺が満足するまで、アロイヴは耐え続けるしかないようだった。
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