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11 君と一緒に逃げる夜
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ケイに見送られて部屋を出たアロイヴは、紫紺と一緒に屋敷の廊下を早足で進んだ。
紫紺はいつものようにアロイヴの首にぴっとりと巻きついている。こうやって触れていないと、姿消しの術が解けてしまうからだ。
紫紺に相手の姿を隠す能力をあったなんて、アロイヴは今日まで全く知らなかった。
あのとき、男が来る直前に紫紺を抱き上げたのは偶然だ。
もし、そうしていなかったら――そして、紫紺があの瞬間に術を使っていなかったら、アロイヴは部屋に押し入ってきた男に捕えられていただろう。
想像しただけで、生きた心地がしない。
『一階まで降りたら、裏庭のほうへ向かってください。昼に行ったガゼボの位置は覚えていますね。あそこが目的地です』
一階までは難なく来られた。
裏庭に続く扉を見つめながら、ケイの言葉を思い出す。
本当に教会から逃げるような真似をしていいのか……疑問がないわけではない。だが、囮になってアロイヴを逃がそうとしてくれているケイのためにも、今はケイの言葉を信じて前に進むしかなかった。
『影狐の術は姿や気配は隠してくれても、音や足跡は消してくれません。音の出る場所や足跡の残りやすい場所を避けて進んでください。焦る必要はありませんので』
逃げている間、術を使い続けなければいけない紫紺のことが心配だったが、アロイヴの傍にいる限り、何も心配はないだろうとケイは言っていた。
影狐は触れた相手から魔力を吸い取ることができるらしい。それは、生贄の称号を持つとわかってから七年間も魔力を貯め続けたアロイヴが一緒にいれば、紫紺はいつまでも術を使えるということだ。
おかげで時間の余裕はある。
それでも気が焦ってしまうのは、後ろから聞こえてくる音のせいだった。
囮となってくれているケイに向かって、男たちが攻撃魔法を放っている音が聞こえてくる。
火魔法の使い手が多いのか、屋敷のあらゆる場所から火の手が上がっているのが見えた。
ケイは本当に大丈夫なのだろうか。
怪我をしていると言っていたのに、ちゃんと逃げられるのか心配になってくる。
――でも、今さら戻れない。
戻っても、魔法の使えない自分は足手纏いになるだけだ。
自分が安全なところまで逃げることが、ケイのためにも正解の行動なのだと己に言い聞かせて、今はガゼボを目指すしかない。
きゅ、と紫紺が小さな声で鳴いた。危険を知らせる声だ。
アロイヴは足を止め、木の陰に隠れる。
紫紺が鳴いたのは、庭を歩き回っている魔獣の存在を知らせるためだった。
『賊は魔獣も連れてきています。魔獣は人間より気配に敏感ですが、動かなければバレることはないでしょう。近くに来たときはなるべく気配を殺して、相手が立ち去るのを待ってください』
賊の連れてきていた魔獣は猪に似た生き物だった。アロイヴが知っている猪と大きさは倍以上違うが、姿は本当によく似ている。
アロイヴはケイに言われたとおり、気配を殺して魔獣が過ぎ去るのを待った。
――どうして、こんなことになっちゃったんだろう。
自分のせいではないはずだ。
いや……自分の持つ、この称号のせいだろうか。
この賊の標的はアロイヴを含む、生贄の称号を持つ少年たちだ。依頼主の元に連れていけば大金になるのだと、あの男たちは話していた。
――いったい何の目的で、誰が。
ケイは、神父が殺されたと言っていた。計画を邪魔する人間だといって――その計画と今回の襲撃は何か関係あるのだろうか。
何もわからない。
自分が一番の当事者かもしれないのに。
――そうと決まったわけじゃないけど。
だが、あの男はアロイヴに固執している様子だった。
他の少年よりも、真っ先にアロイヴを狙いにきていた。それは間違いない。
――他の子たちは、僕に巻き込まれただけかもしれない。
そんな少年たちの悲鳴を――助けを求める声を無視して、アロイヴは自分だけ安全なところにいた。紫紺に守られて。
そして、今も自分だけが逃げている。
今度はケイのことを囮にして……そんな自分が、とてつもなくずるい人間に思えてくる。
「……っ」
ふぁさ、と紫紺の尻尾がアロイヴの頬に触れた。
まだ猪型の魔獣は去ったわけではないのに、そんなことをして大丈夫なのだろうか。
でも、紫紺が触れてくれたおかげで、頭の中を渦巻いていた負の感情は少し薄まったようだった。
――そろそろ、行っても大丈夫そうだ。
魔獣の姿が見えなくなったのを確認して、アロイヴはまた歩みを進める。焦らずに、見つからないように――昼にケイとあたたかい時間を過ごしたガゼボを目指す。
花壇にあれだけ満開だった黄色い花は、今はすべてが花弁を閉じていた。夜には眠る花なのだろうか。
その横を通り過ぎ、館からガゼボを隠している木の向こう側へ。
暗がりにぼんやりとガゼボが見えた瞬間、アロイヴは無言で立ち尽くしていた。
「…………」
ガゼボは昼と変わらない姿で立っている。
それなのに、自分の状況は何もかもが変わってしまった。
『ガゼボまで無事に辿り着いたら、森の入り口はもうすぐそこです。後はその子に任せて森を目指してください。ここを出て、新しい景色をたくさん見てきてくださいね』
そう言って、笑顔で見送られた。
最後に触れたケイの手が、ひんやりと冷たかったことにアロイヴは気づいていた。
その顔色が酷く悪かったことにもだ。
――ケイのあの表情が、どういうものなのか……僕はわかってたはずなのに。
最後に振り返ったときにケイが見せた表情は、強い覚悟を秘めたものだった。
気づいたのに、アロイヴはそのことに触れられなかった。
触れないでほしいと、ケイの目が語っていたからだ。
「ケイは、死ぬつもりだ……」
たった一人、命懸けでアロイヴのことを守って。
最後まであの男たちと戦って。
「そこまでする価値なんて……僕にはないのに」
自分はなんの力も持っていない。
他の人と違うところがあるとすれば、役に立たない前世の記憶と、この忌まわしき称号だけだ。
こんなもの、誰かが命を懸けるほどのものだろうか。
「昼間は、あんなに綺麗に見えたのに……」
ふらつく足取りで、アロイヴはガゼボの中に入った。
ここでケイに誕生日を祝ってもらってから、まだ半日しか経っていない。それなのに、この場所でケイと笑い合った時間が遠い昔のことのように思えた。
首元で紫紺が心配そうに鳴いていたが、今はその声に応える気力もない。
遠くに聞こえる爆発音を聞きながら、この音が聞こえている間はケイが生きているのだと――そうやって自分を奮い立たせるので精一杯だ。
でなければ、今ここで心が折れてしまいそうだった。
「もういいから……ケイ、逃げて。お願い」
その声はどうやっても届かない。
自分だけでは、ケイを助ける方法がないのだ。
「誰でもいいから……助けて」
アロイヴの声はむなしく虚空に響く。
それでも、自分にできるのはこうして祈ることぐらいだ。
「神様……いや、魔王でもいい。僕は魔王の生贄なんでしょ。だったら一つぐらい、僕の願い事を聞いてよ。お願い……ケイを助けて」
ぽろり、と涙がこぼれた。
自分の涙はもう枯れてしまったと思ったのに、あふれ出したら止まらなかった。
「ケイ……ケイ…………っ」
子供のように泣きじゃくりながら、ケイの名前を呼ぶ。
ケイはいつだって傍にいてくれた。
本当の家族よりも自分に寄り添ってくれたケイは、アロイヴにとって、もう家族と変わらない存在だった。
そんな人を、こんなところで失いたくない。
自分のせいで失うなんて、耐えられない。
「ケイ…………ッ」
アロイヴがもう一度、ケイの名前を呼んだ瞬間、一帯を異変が襲った。
目を開けていられないぐらいの真っ白な閃光が辺りを包んだかと思えば、急に周囲から音が消える。
それ以降、屋敷のほうから音が聞こえてくることは一度もなかった。
紫紺はいつものようにアロイヴの首にぴっとりと巻きついている。こうやって触れていないと、姿消しの術が解けてしまうからだ。
紫紺に相手の姿を隠す能力をあったなんて、アロイヴは今日まで全く知らなかった。
あのとき、男が来る直前に紫紺を抱き上げたのは偶然だ。
もし、そうしていなかったら――そして、紫紺があの瞬間に術を使っていなかったら、アロイヴは部屋に押し入ってきた男に捕えられていただろう。
想像しただけで、生きた心地がしない。
『一階まで降りたら、裏庭のほうへ向かってください。昼に行ったガゼボの位置は覚えていますね。あそこが目的地です』
一階までは難なく来られた。
裏庭に続く扉を見つめながら、ケイの言葉を思い出す。
本当に教会から逃げるような真似をしていいのか……疑問がないわけではない。だが、囮になってアロイヴを逃がそうとしてくれているケイのためにも、今はケイの言葉を信じて前に進むしかなかった。
『影狐の術は姿や気配は隠してくれても、音や足跡は消してくれません。音の出る場所や足跡の残りやすい場所を避けて進んでください。焦る必要はありませんので』
逃げている間、術を使い続けなければいけない紫紺のことが心配だったが、アロイヴの傍にいる限り、何も心配はないだろうとケイは言っていた。
影狐は触れた相手から魔力を吸い取ることができるらしい。それは、生贄の称号を持つとわかってから七年間も魔力を貯め続けたアロイヴが一緒にいれば、紫紺はいつまでも術を使えるということだ。
おかげで時間の余裕はある。
それでも気が焦ってしまうのは、後ろから聞こえてくる音のせいだった。
囮となってくれているケイに向かって、男たちが攻撃魔法を放っている音が聞こえてくる。
火魔法の使い手が多いのか、屋敷のあらゆる場所から火の手が上がっているのが見えた。
ケイは本当に大丈夫なのだろうか。
怪我をしていると言っていたのに、ちゃんと逃げられるのか心配になってくる。
――でも、今さら戻れない。
戻っても、魔法の使えない自分は足手纏いになるだけだ。
自分が安全なところまで逃げることが、ケイのためにも正解の行動なのだと己に言い聞かせて、今はガゼボを目指すしかない。
きゅ、と紫紺が小さな声で鳴いた。危険を知らせる声だ。
アロイヴは足を止め、木の陰に隠れる。
紫紺が鳴いたのは、庭を歩き回っている魔獣の存在を知らせるためだった。
『賊は魔獣も連れてきています。魔獣は人間より気配に敏感ですが、動かなければバレることはないでしょう。近くに来たときはなるべく気配を殺して、相手が立ち去るのを待ってください』
賊の連れてきていた魔獣は猪に似た生き物だった。アロイヴが知っている猪と大きさは倍以上違うが、姿は本当によく似ている。
アロイヴはケイに言われたとおり、気配を殺して魔獣が過ぎ去るのを待った。
――どうして、こんなことになっちゃったんだろう。
自分のせいではないはずだ。
いや……自分の持つ、この称号のせいだろうか。
この賊の標的はアロイヴを含む、生贄の称号を持つ少年たちだ。依頼主の元に連れていけば大金になるのだと、あの男たちは話していた。
――いったい何の目的で、誰が。
ケイは、神父が殺されたと言っていた。計画を邪魔する人間だといって――その計画と今回の襲撃は何か関係あるのだろうか。
何もわからない。
自分が一番の当事者かもしれないのに。
――そうと決まったわけじゃないけど。
だが、あの男はアロイヴに固執している様子だった。
他の少年よりも、真っ先にアロイヴを狙いにきていた。それは間違いない。
――他の子たちは、僕に巻き込まれただけかもしれない。
そんな少年たちの悲鳴を――助けを求める声を無視して、アロイヴは自分だけ安全なところにいた。紫紺に守られて。
そして、今も自分だけが逃げている。
今度はケイのことを囮にして……そんな自分が、とてつもなくずるい人間に思えてくる。
「……っ」
ふぁさ、と紫紺の尻尾がアロイヴの頬に触れた。
まだ猪型の魔獣は去ったわけではないのに、そんなことをして大丈夫なのだろうか。
でも、紫紺が触れてくれたおかげで、頭の中を渦巻いていた負の感情は少し薄まったようだった。
――そろそろ、行っても大丈夫そうだ。
魔獣の姿が見えなくなったのを確認して、アロイヴはまた歩みを進める。焦らずに、見つからないように――昼にケイとあたたかい時間を過ごしたガゼボを目指す。
花壇にあれだけ満開だった黄色い花は、今はすべてが花弁を閉じていた。夜には眠る花なのだろうか。
その横を通り過ぎ、館からガゼボを隠している木の向こう側へ。
暗がりにぼんやりとガゼボが見えた瞬間、アロイヴは無言で立ち尽くしていた。
「…………」
ガゼボは昼と変わらない姿で立っている。
それなのに、自分の状況は何もかもが変わってしまった。
『ガゼボまで無事に辿り着いたら、森の入り口はもうすぐそこです。後はその子に任せて森を目指してください。ここを出て、新しい景色をたくさん見てきてくださいね』
そう言って、笑顔で見送られた。
最後に触れたケイの手が、ひんやりと冷たかったことにアロイヴは気づいていた。
その顔色が酷く悪かったことにもだ。
――ケイのあの表情が、どういうものなのか……僕はわかってたはずなのに。
最後に振り返ったときにケイが見せた表情は、強い覚悟を秘めたものだった。
気づいたのに、アロイヴはそのことに触れられなかった。
触れないでほしいと、ケイの目が語っていたからだ。
「ケイは、死ぬつもりだ……」
たった一人、命懸けでアロイヴのことを守って。
最後まであの男たちと戦って。
「そこまでする価値なんて……僕にはないのに」
自分はなんの力も持っていない。
他の人と違うところがあるとすれば、役に立たない前世の記憶と、この忌まわしき称号だけだ。
こんなもの、誰かが命を懸けるほどのものだろうか。
「昼間は、あんなに綺麗に見えたのに……」
ふらつく足取りで、アロイヴはガゼボの中に入った。
ここでケイに誕生日を祝ってもらってから、まだ半日しか経っていない。それなのに、この場所でケイと笑い合った時間が遠い昔のことのように思えた。
首元で紫紺が心配そうに鳴いていたが、今はその声に応える気力もない。
遠くに聞こえる爆発音を聞きながら、この音が聞こえている間はケイが生きているのだと――そうやって自分を奮い立たせるので精一杯だ。
でなければ、今ここで心が折れてしまいそうだった。
「もういいから……ケイ、逃げて。お願い」
その声はどうやっても届かない。
自分だけでは、ケイを助ける方法がないのだ。
「誰でもいいから……助けて」
アロイヴの声はむなしく虚空に響く。
それでも、自分にできるのはこうして祈ることぐらいだ。
「神様……いや、魔王でもいい。僕は魔王の生贄なんでしょ。だったら一つぐらい、僕の願い事を聞いてよ。お願い……ケイを助けて」
ぽろり、と涙がこぼれた。
自分の涙はもう枯れてしまったと思ったのに、あふれ出したら止まらなかった。
「ケイ……ケイ…………っ」
子供のように泣きじゃくりながら、ケイの名前を呼ぶ。
ケイはいつだって傍にいてくれた。
本当の家族よりも自分に寄り添ってくれたケイは、アロイヴにとって、もう家族と変わらない存在だった。
そんな人を、こんなところで失いたくない。
自分のせいで失うなんて、耐えられない。
「ケイ…………ッ」
アロイヴがもう一度、ケイの名前を呼んだ瞬間、一帯を異変が襲った。
目を開けていられないぐらいの真っ白な閃光が辺りを包んだかと思えば、急に周囲から音が消える。
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