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恥ずかしいのは、気持ちいい【凌】 01
しおりを挟む「……ね、凌。お願い」
そう言って、すりっと顔を寄せられる。
熱い素肌が触れた状態で、颯斗にそんな風に懇願されて……こんなの嫌なはずなのに、何故だか鼓動がどくりと跳ねた。そんな自分の反応にすら戸惑う。
「俺は凌以外に触るつもりはないよ」
「……っ、でも」
「ほら、二人はもう始めてる」
身体を押され、そっと視線を誘導される。
志乃くんと秋也がベッドの上でキスをしていた。舌を絡める深いやつだ。他人キスシーンすら、こうしてじっくりと見るのは初めてだった。
ぴちゅ、と濡れた音が聞こえる。一緒に志乃くんの甘い吐息も聞こえて、その音にまた鼓動が跳ねた。ぞくりとした何かが背中を走る。
「……気持ちよさそうだね」
颯斗が耳元で囁いた。その声にぞくぞくとしたものが増幅されて、僕は肩をふるりと震わせる。
その反応に気づいた颯斗が、僕の耳に優しく噛みついた。
「や……ぁ」
耳は弱いって知ってるくせに。
そんな風にされたら、僕は声を抑えることができなくなる。手で口元を押さえようとしたけど、それは颯斗の腕に止められてしまった。
僕の甘い声に気づいた志乃くんが、視線だけでこちらを見る。秋也とのキスを堪能しながら、熱のこもった視線で僕の方を見つめてくる。
「ん、ぁ……、だめ、颯斗……、ンッ」
くちゅりと耳の中に舌が差し込まれる。
一緒に腰やお尻を撫でられれば、身体には力が入らなくなってしまう。僕の身体は僕よりも颯斗に従順だ。気持ちよくしてくれるのが誰なのかよく知っている。
身体を蕩けさせられてしまえば、思考も蕩けてしまうのは時間の問題だった。
耳を責められ、身体を優しく撫でられる。思わせぶりな場所を刺激されれば、僕は颯斗の腕の中でただひくひくと身体を揺らすだけの生き物になっていった。
吐く息が短く、早くなる。
身体が内側からどんどん熱くなっていくのがわかる。
気持ち良さに思考が支配されていく―――颯斗が欲しくてどうしようもない気持ちにさせられてしまう。
「―――凌、ベッドに行こ?」
そんな状態で大好きな優しい声でそう誘われれば、僕に頷く以外の選択肢は残されていなかった。
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