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へびのきゅうあい
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「や、と……もっと、触って」
「……っ、お前は、本当に」
余裕がないのは俺もだったけど。
触ってほしい。もっとぐちゃぐちゃにしてほしい。そんな果てのない欲望にちょっと笑ってしまいそうだった。ついこの間まで性的欲求なんて薄い人間だったのに。
ヤトと出会って、こういうことを知ってしまって……人ってどこまで貪欲なんだろう、って思う。でも、この蛇のすべてがほしい、その気持ちは全く揺らぐ気はしなかった。
そして、そんな気持ちなのは俺だけではなかったらしい。
ガツガツと強い力で貪られる。肌にも噛み跡だらけだ。いろいろな場所に、ヤトの跡が刻まれていく。
全身が熱い。溶けて、なくなってしまいそうだ。溶けたら、ヤトと全部混ざれるだろうか。ぐちゃぐちゃに混ざりあって、境界線もわからなくなって……いつか一つになれたりするだろうか。
「……物騒なことを考えているな」
「え」
「だが……お前と混ざり合うなら悪くない」
―――心の声が、聞こえてる?
そう聞こうと思ったら、唇を塞がれた。
ま、どっちでもいいか。ぐちゃぐちゃに舌を絡めあって、唾液を分け合って……もう与えられているのに、もっともっとと願ってしまう。
腰の動きが早まっていく。喘ぎも叫びも、ヤトの中に吸い込まれていく。
「ん、あ……っ、くる……―――ッ」
「……くッ」
びくっと体が大きく跳ねた後、仰け反ったような状態で動けなくなった。気持ちよさが次から次に体の内側から湧いてきて、うまく呼吸もできない。このまま死んじゃいそうなぐらいに、すごく気持ちがいい。
俺のナカにはドクドクと熱が吐き出されているのを感じる。ヤトも一緒にイったらしい。
「睦月、出さずにイったのか」
「え……っ、嘘」
確かに俺の前からは何も出ていなかった。確かにイったような感覚があったのに。
今だって、勝手に体ひくひくしてるのに。空イキ? 雌イキ? え? 俺まさかそこまでできるようになっちゃった?
「前も出しておくか?」
「ゃ、だめ……いま、触ったら……んぁあああ!」
ダメって言ったのに、ヤトは容赦がない。
自分は余裕ができたからってそういうのは良くないと思うぞ? イジメよくない。
やめて、っていうのにその指が俺の中心にかかる。いや、本当にやめて。今触っちゃダメだって。
「や、ぁ、……だめ、だ、って……んぁッ」
「甘い声で何を戯けたことを」
「……だ、ってぇ……ひっ、あっ、……も、でるからぁッ」
俺が嫌がると、本当に心底楽しそうだよな。ヤトって!
目を細めて笑うヤトの顔は本当に楽しそうで―――幸せそうで。
クソ蛇! なんて、悪態をついてやろうかとも思ったけど、それもそんな顔を見るとできそうにない。
でも、やられっぱなしも悔しいから、ぎゅう、っと首に手を回して、体を密着させる。あー、もう早くそこから手を離せって。
「匂い、する」
「悪いか」
「……んなわけないじゃん」
だって、これって俺。ヤトに愛されてるってことだろ?
「俺からはしないの?」
「しなくても、お前の心はわかりやすい」
あー、それはそうかも。
少し体を離して、ヤトの顔を見る。そのまま、顔を近づけて俺の方からキスをする。
ずっとずっと、一緒にいられますように。
そんな気持ちを込めて、絡み合う番の蛇のようにその腕と足をヤトの体にしっかり絡めた。
「へびのきゅうあい」END
「……っ、お前は、本当に」
余裕がないのは俺もだったけど。
触ってほしい。もっとぐちゃぐちゃにしてほしい。そんな果てのない欲望にちょっと笑ってしまいそうだった。ついこの間まで性的欲求なんて薄い人間だったのに。
ヤトと出会って、こういうことを知ってしまって……人ってどこまで貪欲なんだろう、って思う。でも、この蛇のすべてがほしい、その気持ちは全く揺らぐ気はしなかった。
そして、そんな気持ちなのは俺だけではなかったらしい。
ガツガツと強い力で貪られる。肌にも噛み跡だらけだ。いろいろな場所に、ヤトの跡が刻まれていく。
全身が熱い。溶けて、なくなってしまいそうだ。溶けたら、ヤトと全部混ざれるだろうか。ぐちゃぐちゃに混ざりあって、境界線もわからなくなって……いつか一つになれたりするだろうか。
「……物騒なことを考えているな」
「え」
「だが……お前と混ざり合うなら悪くない」
―――心の声が、聞こえてる?
そう聞こうと思ったら、唇を塞がれた。
ま、どっちでもいいか。ぐちゃぐちゃに舌を絡めあって、唾液を分け合って……もう与えられているのに、もっともっとと願ってしまう。
腰の動きが早まっていく。喘ぎも叫びも、ヤトの中に吸い込まれていく。
「ん、あ……っ、くる……―――ッ」
「……くッ」
びくっと体が大きく跳ねた後、仰け反ったような状態で動けなくなった。気持ちよさが次から次に体の内側から湧いてきて、うまく呼吸もできない。このまま死んじゃいそうなぐらいに、すごく気持ちがいい。
俺のナカにはドクドクと熱が吐き出されているのを感じる。ヤトも一緒にイったらしい。
「睦月、出さずにイったのか」
「え……っ、嘘」
確かに俺の前からは何も出ていなかった。確かにイったような感覚があったのに。
今だって、勝手に体ひくひくしてるのに。空イキ? 雌イキ? え? 俺まさかそこまでできるようになっちゃった?
「前も出しておくか?」
「ゃ、だめ……いま、触ったら……んぁあああ!」
ダメって言ったのに、ヤトは容赦がない。
自分は余裕ができたからってそういうのは良くないと思うぞ? イジメよくない。
やめて、っていうのにその指が俺の中心にかかる。いや、本当にやめて。今触っちゃダメだって。
「や、ぁ、……だめ、だ、って……んぁッ」
「甘い声で何を戯けたことを」
「……だ、ってぇ……ひっ、あっ、……も、でるからぁッ」
俺が嫌がると、本当に心底楽しそうだよな。ヤトって!
目を細めて笑うヤトの顔は本当に楽しそうで―――幸せそうで。
クソ蛇! なんて、悪態をついてやろうかとも思ったけど、それもそんな顔を見るとできそうにない。
でも、やられっぱなしも悔しいから、ぎゅう、っと首に手を回して、体を密着させる。あー、もう早くそこから手を離せって。
「匂い、する」
「悪いか」
「……んなわけないじゃん」
だって、これって俺。ヤトに愛されてるってことだろ?
「俺からはしないの?」
「しなくても、お前の心はわかりやすい」
あー、それはそうかも。
少し体を離して、ヤトの顔を見る。そのまま、顔を近づけて俺の方からキスをする。
ずっとずっと、一緒にいられますように。
そんな気持ちを込めて、絡み合う番の蛇のようにその腕と足をヤトの体にしっかり絡めた。
「へびのきゅうあい」END
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