へびのとりこ

コオリ

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へびのとりこ

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 そんなことを考えながらも、その間も手は止めない。
 だって、こんなの触るのやめられないって!
 上の方から下の方まで、満遍なく撫でていく。
 っていっても、相手がとぐろを巻いて座ってる(座ってるでいいのかな?)から後ろのほうまでは撫でられないけど。
 一番先端の尖がってるところも見えなかった。これも後ろの方なのかな。ちょっと気になってたんだけどな。残念。

「うー……すごい。めっちゃやばい」

 頬ずりとかもしてみたい。あ、でもそこまで行くと変態かな。
 だって足だもんな……足に頬ずりとか……うん。完全アウト。いや、こうやって触ってるだけでも大概アウトなのかもしれないけど。

「ありがとうございました」
「…………いや」

 ま、頬ずりしなくても、ちょっと呆れられちゃってるよね。うん。ごめんなさい。
 でも、そんな魅力的なもの、触っていいって言われたらやっちゃうよね。え? やらない? やっちゃうって。ホント、めっちゃ綺麗なんだもん。

「なんか夢中になって触っちゃって……ごめんなさい」

 そう言って頭を下げたら、世界がくらりと揺れた。
 冷えたところから一気に熱が上がったから、短時間ですっかりのぼせてしまったらしい。もしかしたら、触って興奮したのもあったかも。

「あ、俺ちょっと外に……っ」

 一度湯船から上がって、少し風にあたろうと思ったのに、湯船から出ようとしたところを何故か後ろから長い腕に押さえつけられた。

「え、と……蛇さん?」

 名前は知らないから、とりあえずそう呼んでみる。

「ヤトだ」
「あ、えっと俺は睦月です。えっと、ヤトさん……これは」

 腕はしっかりと俺の体に巻き付けられている。
 ヤトさんって鱗も白くて綺麗だったけど、腕も白くて綺麗だな……なんて、のぼせた頭でぼんやりと思う。

「ヤトさん? ん……ッ?」

 もう一度名前を呼んだけど返事はなくて、ただ耳元でシュルと音が聞こえたかと思ったら、肩口の辺りにちくりと痛みが走った。え、何?

「え? ……あの、何かちくって」
「……あれだけ誘っておいて、逃げようとするからだ」
「いや、……にげようと、なんか……あ、れ?」

 急に頭がふわふわが増す。のぼせすぎた?
 いや、のぼせたのともなんか違う……ふわふわしてるのに、体が熱い。
 特に股の間が熱くて、じんじんして、内股で太ももを擦りつけるけど、その熱は収まるどころか高まるばっかりで。

「なに……これ、あつぃ……」
「血の巡りがいいから、毒の巡りもいいみたいだな……安心しろ、死ぬようなものじゃない」
「ど、く……? なんで?」
「あそこまでしておいて、ただで済むとは思うなよ」

 低い声でそう言われたと思ったら、くるりと体を反転されて、噛みつくように唇を奪われた。
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