2 / 14
へびのとりこ
02
しおりを挟む
「……入っていくか?」
もう一度くしゃみをした俺に、人外の人は意外に優しい言葉をかけてくれた。
「いいんですか?」
「ああ。そこじゃ風邪をひくだろ」
「じゃあ……失礼します」
それにしても人外だ、人外。すごい、本物だ。
いや、夢だから本物も偽物もないんだろうけど……でも、夢でもこんな間近で人外を見る機会なんて初めてだったから、俺はまじまじとその人のことを見てしまう。
人って呼んでいいのかな。まぁいいよね。半分は人っぽいし。
上半身は俺と変わらない。
いや、容姿は全然違うよ。超整ってる顔。めちゃくちゃ美形。俺の描く絵よりも整ってる……うん、これは言ってて悲しいから、もう言わない。
淡い紫色の髪は全体的に短いが、横に垂らした一房だけ長い。それは綺麗に編まれていて、鎖骨の下のあたりまで垂らされていた。
目の色は濃い金色。爬虫類っぽい瞳孔で、それもまた人外感を引き立てている。
でもって、下半身は……これたぶん、蛇だよな。すごく太くて長いから一瞬何かわかんなかったけど、ちゃんと鱗だってあるし……うん、蛇だ。すごい。
上半身人間で下半身蛇ってなんかいたよな。ラミア? ナーガ?
それはどっちも女の人だった気がするけど、男の人だとこんな感じなんだな……すげー色っぽく感じる。
真珠みたいな高級感の光沢のある鱗が、お湯に濡れてすごく艶めかしい感じがするからかな。うーん……ホントなんか目に毒って感じだ。
でも、目が離せないのは、絵を描く人間の性なのかも。
だってこんな美しいものが目の前にあって、見ないなんて勿体なさすぎるだろ。
「あからさまに見るんだな。お前は」
「あ、綺麗だなぁって思いまして……」
「変わったやつだ」
「そうですか? これ、下半身って蛇ですよね?」
「蛇だな……そういうことも普通に聞くし、少し見ない間に人間も図太くなったものだ」
「触っていいですか?」
「お前な」
だめ? やっぱり触るのはアウト?
……確かに下半身だもんな。明確にここが尻、ここから足みたいな境目が分かんない分、下手に触って当たっちゃダメなとことかに当たっちゃったらまずいもんな。
「……触りたいのか?」
「はい」
「好きにしろ」
「やったぁ! あ、ここは触るなとかあれば避けるので! むしろ、ここ触れって言ってもらったほうがいいんですかね?」
「どこでもいい」
「……そうですか? じゃあ」
何かちょっと呆れた顔をされてる気もしなくもないが、せっかく触っていいってお許し貰えたんだし。ここは遠慮なく。
―――うわぁ。
とりあえず、この辺なら足かな? ってところに触ってみた。
人間でいうところの太ももらへん? お湯の中だから、冷たさとかは全然ない。むしろ、お湯より少し熱いかもしれない。
触り心地は見た目の印象と同じですごい滑らかで、鱗とかちょっとぐらい引っかかるかなって思ってたけど、そんなことも全然なくて。
「……すごい、気持ちいい」
無意識にそんな声が出ちゃうぐらい、病みつきになる触感だった。
俺、爬虫類とか全く興味なかったのに、これはハマっちゃうかもしれない。
売れてお風呂のある物件の次は、ペット可物件で蛇飼っちゃう? マジそれやっちゃう? いつ売れるかわかんないけど。売れるかも不明だけど。
もう一度くしゃみをした俺に、人外の人は意外に優しい言葉をかけてくれた。
「いいんですか?」
「ああ。そこじゃ風邪をひくだろ」
「じゃあ……失礼します」
それにしても人外だ、人外。すごい、本物だ。
いや、夢だから本物も偽物もないんだろうけど……でも、夢でもこんな間近で人外を見る機会なんて初めてだったから、俺はまじまじとその人のことを見てしまう。
人って呼んでいいのかな。まぁいいよね。半分は人っぽいし。
上半身は俺と変わらない。
いや、容姿は全然違うよ。超整ってる顔。めちゃくちゃ美形。俺の描く絵よりも整ってる……うん、これは言ってて悲しいから、もう言わない。
淡い紫色の髪は全体的に短いが、横に垂らした一房だけ長い。それは綺麗に編まれていて、鎖骨の下のあたりまで垂らされていた。
目の色は濃い金色。爬虫類っぽい瞳孔で、それもまた人外感を引き立てている。
でもって、下半身は……これたぶん、蛇だよな。すごく太くて長いから一瞬何かわかんなかったけど、ちゃんと鱗だってあるし……うん、蛇だ。すごい。
上半身人間で下半身蛇ってなんかいたよな。ラミア? ナーガ?
それはどっちも女の人だった気がするけど、男の人だとこんな感じなんだな……すげー色っぽく感じる。
真珠みたいな高級感の光沢のある鱗が、お湯に濡れてすごく艶めかしい感じがするからかな。うーん……ホントなんか目に毒って感じだ。
でも、目が離せないのは、絵を描く人間の性なのかも。
だってこんな美しいものが目の前にあって、見ないなんて勿体なさすぎるだろ。
「あからさまに見るんだな。お前は」
「あ、綺麗だなぁって思いまして……」
「変わったやつだ」
「そうですか? これ、下半身って蛇ですよね?」
「蛇だな……そういうことも普通に聞くし、少し見ない間に人間も図太くなったものだ」
「触っていいですか?」
「お前な」
だめ? やっぱり触るのはアウト?
……確かに下半身だもんな。明確にここが尻、ここから足みたいな境目が分かんない分、下手に触って当たっちゃダメなとことかに当たっちゃったらまずいもんな。
「……触りたいのか?」
「はい」
「好きにしろ」
「やったぁ! あ、ここは触るなとかあれば避けるので! むしろ、ここ触れって言ってもらったほうがいいんですかね?」
「どこでもいい」
「……そうですか? じゃあ」
何かちょっと呆れた顔をされてる気もしなくもないが、せっかく触っていいってお許し貰えたんだし。ここは遠慮なく。
―――うわぁ。
とりあえず、この辺なら足かな? ってところに触ってみた。
人間でいうところの太ももらへん? お湯の中だから、冷たさとかは全然ない。むしろ、お湯より少し熱いかもしれない。
触り心地は見た目の印象と同じですごい滑らかで、鱗とかちょっとぐらい引っかかるかなって思ってたけど、そんなことも全然なくて。
「……すごい、気持ちいい」
無意識にそんな声が出ちゃうぐらい、病みつきになる触感だった。
俺、爬虫類とか全く興味なかったのに、これはハマっちゃうかもしれない。
売れてお風呂のある物件の次は、ペット可物件で蛇飼っちゃう? マジそれやっちゃう? いつ売れるかわかんないけど。売れるかも不明だけど。
51
お気に入りに追加
1,615
あなたにおすすめの小説
生贄の奴隷青年は青龍に娶られ溺愛される
花房いちご
BL
青龍と生贄にされた奴隷の美青年の話です。人化はしません。ずっと龍のままです。
ラブラブハッピーエンドです。
以下あらすじ。最後までのネタバレありです。
祠に住む【青龍】は、求めてもいない生贄を捧げられて激怒した。しかし生贄にされた奴隷の青年【ガランサス】は、青龍に食べられる事を望んだ。
それはガランサスの家族を救い、故郷に帰すためだった。
青龍はガランサスの魂の美しさに惹かれ、ガランサスとその家族を彼らの故郷まで連れて行く。
青龍に感謝するガランサスは、恩返しを申し出た。青龍はガランサスに求婚した。
ガランサスは驚きつつも、青龍に惹かれていたため喜んだ。しかし奴隷時代に陵辱されていた事を思い出してしまう。
穢れた自分は青龍に相応しくないと思い身を引こうとするが、青龍はガランサスの身の上を知った上で愛を告げ、二人は結ばれる。
蜜月を過ごし、優しく甘い青龍の愛撫に蕩けるガランサス。
身体が変化していき、次第に閨以外でも淫らな気分になることが増えた。
特に、青龍の鱗に触れると駄目だった。すぐ発情してしまう。
ガランサスは自己嫌悪におちいり、青龍と距離を置く。
青龍は距離を置かれたことに気づき、ガランサスに嫌われたと勘違いする。
すれ違う二人だったが、最後は誤解が解けて子供が出来るまで愛し合うのだった。
男とラブホに入ろうとしてるのがわんこ属性の親友に見つかった件
水瀬かずか
BL
一夜限りの相手とホテルに入ろうとしていたら、後からきた男女がケンカを始め、その場でその男はふられた。
殴られてこっち向いた男と、うっかりそれをじっと見ていた俺の目が合った。
それは、ずっと好きだけど、忘れなきゃと思っていた親友だった。
俺は親友に、ゲイだと、バレてしまった。
イラストは、すぎちよさまからいただきました。
イケメン変態王子様が、嫌われ者の好色暴君王にドスケベ雄交尾♡で求婚する話
嶋紀之/サークル「黒薔薇。」
BL
他国の王様に惚れた変態王子様が、嫌われ者でヤリチンのおっさん国王を、ラブハメ雄交尾♡でメス堕ちさせて求婚する話。
ハイテンションで人の話を聞かない変態攻めが、バリタチだった受けを成り行きでメス堕ちさせちゃうアホエロです。
・体臭描写
・デブ専描写
・受けが攻めに顔面騎乗&アナル舐め強要
・受けのチンカス・包茎描写
・マジカルチンポ/即堕ち
などの要素が含まれます。
ノンケ向けエロでたまに見る、「女にケツ穴舐めさせる竿役」ってメス堕ち適正高いよな……ガチデブ竿役が即オチするとこが見たいな……って思ったので書きました。
攻め…アホでスケベな変態青年。顔だけはイケメン。デブ専、臭いフェチ、ヨゴレ好きのド変態。
受け…バリタチの竿役系ガチデブおっさん。ハゲでデブで強面、体臭もキツい嫌われ者だが、金や権力で言いなりにした相手を無理矢理抱いていた。快楽にクッソ弱い。
試験的に連載形式にしていますが、完結まで執筆済。全7話、毎日18時に予約投稿済。
浮気をしたら、わんこ系彼氏に腹の中を散々洗われた話。
丹砂 (あかさ)
BL
ストーリーなしです!
エロ特化の短編としてお読み下さい…。
大切な事なのでもう一度。
エロ特化です!
****************************************
『腸内洗浄』『玩具責め』『お仕置き』
性欲に忠実でモラルが低い恋人に、浮気のお仕置きをするお話しです。
キャプションで危ないな、と思った方はそっと見なかった事にして下さい…。
初めてを絶対に成功させたくて頑張ったら彼氏に何故かめっちゃ怒られたけど幸せって話
もものみ
BL
【関西弁のR-18の創作BLです】
R-18描写があります。
地雷の方はお気をつけて。
関西に住む大学生同士の、元ノンケで遊び人×童貞処女のゲイのカップルの初えっちのお話です。
見た目や馴れ初めを書いた人物紹介
(本編とはあまり関係ありませんが、自分の中のイメージを壊したくない方は読まないでください)
↓
↓
↓
↓
↓
西矢 朝陽(にしや あさひ)
大学3回生。身長174cm。髪は染めていて明るい茶髪。猫目っぽい大きな目が印象的な元気な大学生。
空とは1回生のときに大学で知り合ったが、初めてあったときから気が合い、大学でも一緒にいるしよく2人で遊びに行ったりもしているうちにいつのまにか空を好きになった。
もともとゲイでネコの自覚がある。ちょっとアホっぽいが明るい性格で、見た目もわりと良いので今までにも今までにも彼氏を作ろうと思えば作れた。大学に入学してからも、告白されたことは数回あるが、そのときにはもう空のことが好きだったので断った。
空とは2ヶ月前にサシ飲みをしていたときにうっかり告白してしまい、そこから付き合い始めた。このときの記憶はおぼろげにしか残っていないがめちゃくちゃ恥ずかしいことを口走ったことは自覚しているので深くは考えないようにしている。
高校時代に先輩に片想いしていたが、伝えずに終わったため今までに彼氏ができたことはない。そのため、童貞処女。
南雲 空(なぐも そら)
大学生3回生。身長185cm。髪は染めておらず黒髪で切れ長の目。
チャラい訳ではないがイケメンなので女子にしょっちゅう告白されるし付き合ったりもしたけれどすぐに「空って私のこと好きちゃうやろ?」とか言われて長続きはしない。来るもの拒まず去るもの追わずな感じだった。
朝陽のことは普通に友達だと思っていたが、周りからは彼女がいようと朝陽の方を優先しており「お前もう朝陽と付き合えよ」とよく呆れて言われていた。そんな矢先ベロベロに酔っ払った朝陽に「そらはもう、僕と付き合ったらええやん。ぜったい僕の方がそらの今までの彼女らよりそらのこと好きやもん…」と言われて付き合った。付き合ってからの朝陽はもうスキンシップひとつにも照れるしかと思えば甘えたりもしてくるしめちゃくちゃ可愛くて正直あの日酔っぱらってノリでOKした自分に大感謝してるし今は溺愛している。
【報告】こちらサイコパスで狂った天使に犯され続けているので休暇申請を提出する!
しろみ
BL
西暦8031年、天使と人間が共存する世界。飛行指導官として働く男がいた。彼の見た目は普通だ。どちらかといえばブサ...いや、なんでもない。彼は不器用ながらも優しい男だ。そんな男は大輪の花が咲くような麗しい天使にえらく気に入られている。今日も今日とて、其の美しい天使に攫われた。なにやらお熱くやってるらしい。私は眉間に手を当てながら報告書を読んで[承認]の印を押した。
※天使×人間。嫉妬深い天使に病まれたり求愛されたり、イチャイチャする話。
隠れて物件探してるのがバレたらルームシェアしてる親友に押し倒されましたが
槿 資紀
BL
どこにでもいる平凡な大学生、ナオキは、完璧超人の親友、御澤とルームシェアをしている。
昔から御澤に片想いをし続けているナオキは、親友として御澤の人生に存在できるよう、恋心を押し隠し、努力を続けてきた。
しかし、大学に入ってからしばらくして、御澤に恋人らしき影が見え隠れするように。
御澤に恋人ができた時点で、御澤との共同生活はご破算だと覚悟したナオキは、隠れてひとり暮らし用の物件を探し始める。
しかし、ある日、御澤に呼び出されて早めに家に帰りつくと、何やらお怒りの様子で物件資料をダイニングテーブルに広げている御澤の姿があって――――――――――。
潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
あかさたな!
BL
潜入捜査官のユウジは
マフィアのボスの愛人まで潜入していた。
だがある日、それがボスにバレて、
執着監禁されちゃって、
幸せになっちゃう話
少し歪んだ愛だが、ルカという歳下に
メロメロに溺愛されちゃう。
そんなハッピー寄りなティーストです!
▶︎潜入捜査とかスパイとか設定がかなりゆるふわですが、
雰囲気だけ楽しんでいただけると幸いです!
_____
▶︎タイトルそのうち変えます
2022/05/16変更!
拘束(仮題名)→ 潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
▶︎毎日18時更新頑張ります!一万字前後のお話に収める予定です
2022/05/24の更新は1日お休みします。すみません。
▶︎▶︎r18表現が含まれます※ ◀︎◀︎
_____
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる