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本当の恐怖(挿話)
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パタンと閉じる馬車の中、ふとメディが外に視線を向ける。そこには、別の馬車に乗るフェルクスの姿があった。
(ルーもあそこにいるのかしら)
別れも言えず、先に帰ることになったと心配していた矢先のこと。メディはそこにルミがいるなら、とホッと安堵した。
しばらくして、アンバルが乗り込んでくる。
「待たせたな。少し騒動が起きて処理していた」
「騒動ですか?」
言葉と共に、御者が鞭を振るい発車の合図が響く。落ち着いたところで、アンバルが答えた。
「赤髪のご令嬢が暴れたんだよ」
「ソール様が?」
「ああ。いきなりグラスを投げつけたらしい」
「グラスって、どなたに?」
「ルミに、だと」
「え? 怪我は?」
「無かったみたいだな。ただ、中身を盛大に被って、今はエリック家で着替えてる。後でまたフェルが迎えに行く予定だとさ」
「…………!」
バッと振り返る。小窓からは既に邸が遠ざかっていた。
あそこにはまだ、ルーがいる……。
慌ててメディはアンバルにすがり付く。
「それでは遅いんです! アンバル様、今すぐにフェルクス様へお伝えを! 早くルーを迎えに……助けに行ってと!」
「助け? 何故だ?」
「事情は後でお伝えしますから! お願いします!」
真剣な表情。間を置いてアンバルが答えた。
「……分かった」
その後、すぐにフェルクスの馬車へ停めるよう伝達がいく。そして、アンバルとメディが内容を伝えた。
メディの言葉には言うのを躊躇う部分もあったが、それを察したのか、彼が動くまでに時間はかからなかった。
(ルーもあそこにいるのかしら)
別れも言えず、先に帰ることになったと心配していた矢先のこと。メディはそこにルミがいるなら、とホッと安堵した。
しばらくして、アンバルが乗り込んでくる。
「待たせたな。少し騒動が起きて処理していた」
「騒動ですか?」
言葉と共に、御者が鞭を振るい発車の合図が響く。落ち着いたところで、アンバルが答えた。
「赤髪のご令嬢が暴れたんだよ」
「ソール様が?」
「ああ。いきなりグラスを投げつけたらしい」
「グラスって、どなたに?」
「ルミに、だと」
「え? 怪我は?」
「無かったみたいだな。ただ、中身を盛大に被って、今はエリック家で着替えてる。後でまたフェルが迎えに行く予定だとさ」
「…………!」
バッと振り返る。小窓からは既に邸が遠ざかっていた。
あそこにはまだ、ルーがいる……。
慌ててメディはアンバルにすがり付く。
「それでは遅いんです! アンバル様、今すぐにフェルクス様へお伝えを! 早くルーを迎えに……助けに行ってと!」
「助け? 何故だ?」
「事情は後でお伝えしますから! お願いします!」
真剣な表情。間を置いてアンバルが答えた。
「……分かった」
その後、すぐにフェルクスの馬車へ停めるよう伝達がいく。そして、アンバルとメディが内容を伝えた。
メディの言葉には言うのを躊躇う部分もあったが、それを察したのか、彼が動くまでに時間はかからなかった。
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