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あふたー④
しおりを挟む…………なんということでしょう。
なんて。
昔見たテレビ番組のナレーションを付けてみたくなるほど、ロギアスタ邸の内装を変えてみた。
まずは、問題の裏の扉。
鍵穴を塞いでから不審者の姿は見なくなった。まあフェルの行動も相まって、ということなのかもしれないけど。
そこに、さらに念には念をと飾り付けておいた。リボンとお花を使ったリースを内側に、同じ色合いのリボンを緩く編んで邪魔にならない程度に扉の外側に付ける。
感想はもちろんセルトンに訊いた。
「どうかな?」
「良いと思いますよ。ルミ様の可愛らしさが出てますから」
「ふふっ、ありがとー」
ガルシアさんといい、セルトンも誉め上手なんだから。私からあげられるものは何もないから、素直に感謝を伝える。
そしてお次は客間。
内職して作ったパッチワークのクッションカバーをふんだんに使い、大きめサイズの膝掛けをソファに配置した。
「今までと雰囲気変わったかな?」
「ええ。明るくなってますよ」
そう言ってもらえると嬉しい。後は、お花とか飾りたいな、なんて思う。
リースを作ったときに、材料のお花をくれた庭師さん。彼のところにまた行ってみようかな、とセルトンに提案しようと振り返る。けどそれより奥の扉のところに金髪の少年が立っていた。
一瞬ドキッとする。まだ誰かが勝手に入ってきたのかと思ったから。でも彼は目が合うとボソリと呟く。
「……何してんの?」
それに返事をするより早く、セルトンが反応した。
「カデム、相手はルミ様だ。話し方に気を付けろよ」
「ちょっとセルトン? そんなの別にいいよ?」
初めて聞く低い声にわずかに戸惑う。いつもニコニコしてるイメージだったから、こんなことで怒るなんて思わなかった。
彼の服を軽く引っ張ると、その手に手を添えられる。
「そういうわけにはいきません」
「セルトン……」
「カデム。お訊きするならちゃんとしろ」
「……」
しばしの沈黙の後、カデムはフイッと顔を逸らすと、そのまま去っていってしまった。
ありゃりゃ、嫌われちゃったかな?
すぐに、セルトンが申し訳なさそうに眉尻を下げる。
「カデムが失礼致しました」
「ううん、全然気にしないで? カデムとはまた今度、話してみるから。あとね、お花を飾りたいと思ったの。手伝ってくれる?」
「……承知しました。では、ユアンの元に参りましょう」
「ええ! 早く行きましょ」
カデムのことも気になるけど、今はとにかく改装を進めたい。どんな色合いにしようかな、と思ったら楽しくなってきてしまった。そのままスキップでもしそうな気分でセルトンと共にお庭に向かった。
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