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私語禁止では……ありません?③
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雑談していて、思い出したのは父のこと。
父は長く大病を患っていた。でも私が成人して安定した生活をするまでは死ねんと頑張ってくれていたのだ。
そして仕事が落ち着くと、安心したように逝ってしまった。
すごく悲しかったけど、過ごした日々は笑顔に満ちた楽しい生活だった。
だから、本当に平気。寂しくもない。
「……」
でも久々に思い出したからか、ふとしたことで言葉が出なくなる。しばらく無言でいたら、ガルシアさんの方から声をかけられた。
「ルミ様、完成しましたよ」
そう言われて顔を上げる。出来上がったのはハーフアップに編み込みを合わせたもの。その仕上げには水色の服に合わせたような濃い青のリボンを結んでくれた。
髪型一つで印象がずいぶん変わる。若作りの無理矢理感がない。意外と似合ってると思うと、子どもじゃないけど嬉しくなる。
「わあ、可愛いです! 有難うございます」
「喜んでいただけて光栄です」
彼は微笑みながら言う。そのまま道具を仕舞い始めた。その動きを見ていて、そういえば、と思い出す。
「フェルはもう下にいますか」
「旦那様でしたら、すでに城へ向かいました。次の遠征に向けて軍事会議がなされるようです」
「そうなんですね」
軍事会議なんて聞きなれない。どんなことを話すんだろう、と考えていたらお腹が鳴った。
小さく「すみません」と言ったらガルシアさんが軽く首を振って、手を差し出す。
「準備も出来たことですし参りましょうか。マギラスが腕によりをかけてお待ちしてますから」
柔らかい笑みに吸い寄せられるようにして、手を重ねる。そっと促されて立ち上がった。
父は長く大病を患っていた。でも私が成人して安定した生活をするまでは死ねんと頑張ってくれていたのだ。
そして仕事が落ち着くと、安心したように逝ってしまった。
すごく悲しかったけど、過ごした日々は笑顔に満ちた楽しい生活だった。
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「……」
でも久々に思い出したからか、ふとしたことで言葉が出なくなる。しばらく無言でいたら、ガルシアさんの方から声をかけられた。
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「準備も出来たことですし参りましょうか。マギラスが腕によりをかけてお待ちしてますから」
柔らかい笑みに吸い寄せられるようにして、手を重ねる。そっと促されて立ち上がった。
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