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お疲れ様でした①

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 服を掴まれたフェルが後ずさる。けどメディが、がっちりホールドしている。なにこの攻防。

 彼女は上目遣いのまま目をパチパチさせながら、甘い声を出した。

「フェルクス様に……身を捧げに来ましたの」
「はっ……?」
「へ?」

 フェルは顔をひきつらせるし、さっき言ってたことと180度違う内容にびっくりしすぎて呆けてしまう。

 あれ、私、いつの間にか寝てた? メディと話してたのは夢?

 眉間にシワを寄せて首をかしげる。けど目の前のメディがフェルの顔に手を伸ばし始めると、途端に彼の顔色が悪くなる。私は慌てて二人の間に体を滑り込ませ、メディの両肩を掴んでフェルから引き離す。

「!」
「ちょっーと話が違うんじゃないかなー? ねえ、メディ? さっきの話はどこにいったのよ?」

 最後はもう真顔。なにが乙女の傷心よ。どこに傷がついてるんだか。目の前で彼女は悪びれなくフフッと笑った。

「まだいけるかと思って。でもやっぱり無理そうね。ごめんなさい、フェルクス様」
「……ああ、いや……大丈夫」

 先程のショックが抜けていないのかフェルの動きは鈍い。よろけそうなところを支えていたら、横から指でつつかれる。

 視線を向けたらメディがコソコソと耳打ちしてきた。

「ほら、訊いて」
「え、いま?」
「当然」

 なにを言ってるの?と言わんばかりの顔に呆れてしまう。でももう、ここまできたら何を言っても無駄だと思う。私はフェルに「お願いがあるんですが」と声をかけた。
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