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おまけ
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賑やかな市場を通りすぎて静かな道に差し掛かった頃、ふとフェルクスさんが口を開く。
「もうひとつ、謝らせてほしい」
「謝る?」
特に思い当たらなくて首をかしげる。彼は言いづらそうに続けた。
「勝手に名を呼んでしまってすまなかった。気が動転していて……」
「あーさっきのですか?」
ワラワラと集まるお嬢さん方に囲まれたとき、瑠美と呼ばれた気がする。たしかにいきなりの名前呼びは内心驚いた。周りはみんな○○嬢と一線引いた呼び方だったから。けど今さらどっちでも大差ない、正直なんと呼ばれても構わなかった。
私はそのまま答える。
「平気ですよ。これからも瑠美と呼んでいただいて」
「だが失礼にならないだろうか」
「私の国ではそれほど問題にはなりません。でももし気になるなら……友人になりませんか?」
「友人……」
「それなら対外的にも問題ないと思います」
あまり気に病まれても困るから、半ば強引に押しきる。彼は「そうか…」と納得しきれていない様子で返事をした。これ以上突っ込まれないように、さりげなく話をそらしていく。
「ちなみに私の国では家名が先に来ます」
「……ああ。それは私も気づいた。音的にそうじゃないかと」
「こちらでは珍しい方ですか?」
「そうだね。聞き慣れないかもしれない」
「なら当分は瑠美だけでいこうかな」
私が言うと一瞬キョトンとしながら、でもようやく彼は表情を和らげて、フフッと微笑った。
「その発想はなかったかな。名だけで不便であれば私の家名でも使ったらいい」
「貸し出しですね。じゃあその時は遠慮なく」
「ああ。君にならいつでも」
その柔らかい声が心地よくて、私も自然と笑みをこぼして「ありがとうございます」とお礼を返した。
「もうひとつ、謝らせてほしい」
「謝る?」
特に思い当たらなくて首をかしげる。彼は言いづらそうに続けた。
「勝手に名を呼んでしまってすまなかった。気が動転していて……」
「あーさっきのですか?」
ワラワラと集まるお嬢さん方に囲まれたとき、瑠美と呼ばれた気がする。たしかにいきなりの名前呼びは内心驚いた。周りはみんな○○嬢と一線引いた呼び方だったから。けど今さらどっちでも大差ない、正直なんと呼ばれても構わなかった。
私はそのまま答える。
「平気ですよ。これからも瑠美と呼んでいただいて」
「だが失礼にならないだろうか」
「私の国ではそれほど問題にはなりません。でももし気になるなら……友人になりませんか?」
「友人……」
「それなら対外的にも問題ないと思います」
あまり気に病まれても困るから、半ば強引に押しきる。彼は「そうか…」と納得しきれていない様子で返事をした。これ以上突っ込まれないように、さりげなく話をそらしていく。
「ちなみに私の国では家名が先に来ます」
「……ああ。それは私も気づいた。音的にそうじゃないかと」
「こちらでは珍しい方ですか?」
「そうだね。聞き慣れないかもしれない」
「なら当分は瑠美だけでいこうかな」
私が言うと一瞬キョトンとしながら、でもようやく彼は表情を和らげて、フフッと微笑った。
「その発想はなかったかな。名だけで不便であれば私の家名でも使ったらいい」
「貸し出しですね。じゃあその時は遠慮なく」
「ああ。君にならいつでも」
その柔らかい声が心地よくて、私も自然と笑みをこぼして「ありがとうございます」とお礼を返した。
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