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衝撃②
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「長い遠征だと聞きました。お体は変わりないですか?」
「ああ、いつも通りだよ」
さっき嘔吐してたのに、今はもう笑顔を見せている。それはどこかプロのような仕事中毒とも言える行動に変に感心してしまう。騎士って役職だそうだけど、接客業のひとつなのかしら。
何気なく見ていたら、女性の一人が背伸びをしてフェルクスさんの額に手を当てた。
なんだろう。映画みたい。モノクロであればさらに完璧かも。あまり馴染みのない光景に私は完全に傍観者と化していた。
「あら、少し高い気がしますわ」
「本当? わたくしも計りましょう」
「私も確かめますわ!」
最初の人を皮切りに、どんどん他の人まで手を伸ばし始める。先ほどまでの映画な雰囲気はどこへやら。まるでバーゲンセールの目玉商品に群がるみたいな振るまいに心配になる。
あまりにしつこいので、さすがにやりすぎじゃない?と反射的に止めようとしたけど、当のフェルクスさんが苦笑しながら控えめに避けていた。
「いや、本当に大丈夫だから……」
嫌そうにしてるのは離れていてもわかる。でも興奮気味の女性たちはさら気遣いを口にしていながら反対に距離を詰めていた。隣の馬がかろうじて塞き止めていたものの、何もなければ雪崩れ込む勢いだ。
軽く不安になって様子を窺っていたら、ある時からフェルクスさんの顔が引きつったように見えた。
心なしか全体的に青ざめているようにも思える。あまり口を出すのも考えものだけど、それとなく連れ出した方がいいかもしれない。
そんなことを考えていたら、彼の方が私へ視線を向けた。
「ああ、いつも通りだよ」
さっき嘔吐してたのに、今はもう笑顔を見せている。それはどこかプロのような仕事中毒とも言える行動に変に感心してしまう。騎士って役職だそうだけど、接客業のひとつなのかしら。
何気なく見ていたら、女性の一人が背伸びをしてフェルクスさんの額に手を当てた。
なんだろう。映画みたい。モノクロであればさらに完璧かも。あまり馴染みのない光景に私は完全に傍観者と化していた。
「あら、少し高い気がしますわ」
「本当? わたくしも計りましょう」
「私も確かめますわ!」
最初の人を皮切りに、どんどん他の人まで手を伸ばし始める。先ほどまでの映画な雰囲気はどこへやら。まるでバーゲンセールの目玉商品に群がるみたいな振るまいに心配になる。
あまりにしつこいので、さすがにやりすぎじゃない?と反射的に止めようとしたけど、当のフェルクスさんが苦笑しながら控えめに避けていた。
「いや、本当に大丈夫だから……」
嫌そうにしてるのは離れていてもわかる。でも興奮気味の女性たちはさら気遣いを口にしていながら反対に距離を詰めていた。隣の馬がかろうじて塞き止めていたものの、何もなければ雪崩れ込む勢いだ。
軽く不安になって様子を窺っていたら、ある時からフェルクスさんの顔が引きつったように見えた。
心なしか全体的に青ざめているようにも思える。あまり口を出すのも考えものだけど、それとなく連れ出した方がいいかもしれない。
そんなことを考えていたら、彼の方が私へ視線を向けた。
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