44 / 50
第八章
1
しおりを挟む
その手紙が来たのは、イルティアが邸を去って、しばらくのことだった。
リュクス・フォルミスからザフラ・シュヴァーユへ、渡したいものがある、とのことだった。
ザフラはわざわざ、その日の予定を全て別日に振り替え、彼の到着を待つ。朝から籠っていた執務室の扉が叩かれたのは、昼を過ぎた頃だった。
執事から、応接間に通したと聞いて、彼は真っ直ぐ向かう。部屋に入る間際、その執事に人払いを頼んだ。
扉を開けると、来客用のソファにリュクスの姿がある。他に従者も部下もいなかった。
彼も自分と同じことを考えたのだと、直感的に感じた。ザフラは静かに息を吐いて、再び歩き出す。
近づくと、一つに結んだコーラルの髪を揺らして、リュクスが窓際に向けていた金色の瞳をゆったりと動かした。
服装は、ラフな白シャツに黒のボトムス。商談で来たわけではなさそうだ。ザフラが自身のジャケットを軽く整え正面に行くと、彼も同じタイミングで立ち上がった。
「忙しい時にすまなかった」
その一言に、彼を一瞥したザフラは腰を下ろす。
「そうだね。君のおかげで、離縁の手続きもしなくちゃいけなくなったから」
そう言った彼は、一拍置いて、鋭い視線を投げ掛けた。
「よく僕の前に顔を出せものだね。ある意味、感心するよ」
自分の感情を隠そうともしないザフラを、リュクスは無言のまま見つめる。だが、しばらくしてフッと表情を崩すと、ゆっくりソファに座り直した。
「そうだな。けど俺は、自分の行動に後悔していない。当然、謝るつもりもないな」
その言い分に、ザフラは憎々しげに言葉を吐き出す。
「……開き直るんだね。図々しいことだ」
彼は、長い足を組んで続けた。
「僕は君を訴えるつもりだよ。そうなれば、君の家にも、事業にも影響が出るだろうね」
けれど、その言葉にリュクスは顔色一つ変えない。それどころか、強い眼差しを返した。
「好きにすればいい。さっきも言ったはずだ。俺は全てを含めて行動した。だから当然、その責任も取る」
「…………」
その言い方が、一瞬、イルティアと重なった。ザフラは眉を顰め、視線を逸らす。
同じように、話を変えた。
「……それで、今日は何の用だい? 君を見てるのも気分が悪くなる。手短に頼むよ」
「そうか。なら、余計な話は無しだ。手紙にも書いたが、アンタに渡したいものがある。今日はそれを持ってきたんだ」
そう言って、テーブルに出したのは品の良い灰白色の樹木で作られた小さな箱。ザフラが眉根を寄せる。
「注文した品は無いはずだけど……」
「ああ。だがこれは、アンタへ納品すべき品だ」
リュクスが、ゆっくりと蓋を開ける。柔らかい紺のベルベット生地で作られたクッションの上に、小さな装飾品があった。
細かな彫刻が施された半円の台座。その金の台座には、錨が模されていた。その中央に、五枚の花びらが可憐に開くユリリアスの花と、濃い紅茶に似た色の宝石がはめこまれている。
ザフラが首を傾げると、リュクスは淡々と説明を始めた。
「懐中時計のチェーン先につける飾りだ。錨は平穏と安定を。そのユリリアスの花は……思い出の花だそうだ」
「思い出の花?」
「使われている石はマデイラシトリン。アンタの瞳に合わせたらしい」
「僕の……」
そこまで言って、言葉を詰まらせる。ザフラがそっと手を伸ばすと、さりげなくリュクスが、箱を彼の元へ近づけた。
「石に彫られている紋章の半分は彼女が、後は、俺が仕上げさせてもらった」
「…………」
手に持つと、わずかな重みを感じる。煌めく宝石の中に、雪の結晶と一本の剣が描かれていた。ザフラは、手の中でそれを転がしながら、やがてギュッと握り締める。
「これを……今更、僕にどうしろと?」
「それは自分で決めろ。俺は、預かった品を届けに来ただけだ」
「無責任だね」
「どう言われても構わないさ。ただ……」
迷うように、一度口を閉じた。けれどすぐ、続ける。
「そこに込められてる彼女の想いは本物だから。それだけは信じて欲しい」
「……」
リュクスの言葉に、ザフラは動きを止める。次第に落ちていく視線。そのまま何も言わなくなった彼に、しばらくしてリュクスは、テーブルへ手をつき立ち上がった。
「じゃあ、確かに渡したからな」
「……」
そう言って、彼は背を向ける。歩き出す間際、ザフラが引き留めるように小さな声を出した。
「すまなかった……」
その言葉に立ち止まる。振り返ると、リュクスは眉間にシワを寄せて、疑問を口にした。
「どうしてアンタが謝る?」
「僕は……」
顔を上げたザフラが、真っ直ぐ視線を向ける。けどすぐに、逃げるように逸らした。
「僕は、弱かったんだ」
「……」
リュクスが改めてソファへ座り直すと、ザフラは額に手を添えた。
誰にも言えなかった想い。何故だかそれを、今……口にしたくなった。胸のつかえを取り除くように、彼は、ゆっくりと言葉にしていく。
「ずっと……彼女の苦しみに気づいていたんだ。だけど僕は……その苦しみに気付いていながら……何もしてあげられなかった」
打ち明けられたその心情に、ひとつ息を吐いてリュクスは静かな声で応えた。
「……それは酷いな」
「……」
ザフラは、その言葉を噛み締めるように瞳を閉じて、同意する。
「そうだね。だから、君の元に行くようになって正直……ホッとしていたのかもしれない」
「それでも彼女は、アンタを想ってた」
「ああ。けど、それに甘えてしまったんだ」
「だろうな」
リュクスは、腕を組んで続ける。
「アンタが、俺を許せないのは分かってる。だが俺も、ティアを傷つけたことは許さないつもりだ」
「あれは……」
再び、手の平の中を見つめる。変わらない輝きを湛える宝石に、彼は瞳を細めた。
呼び起こされる記憶の中、リエンラからの報せを思い出す。
下働きの者が邸を訊ねたこと。その応対を夫人が行ったこと。謝罪に行きたいが、行けば更に迷惑をかけてしまうだろうということ。
ザフラは、小さく溜め息を吐いて続けた。
「あの時の僕は……どうかしてたんだ。変わっていく彼女に戸惑って、臆病になってしまった。向き合うことを怖れてしまったんだ」
その言葉に何かが含まれていることは、リュクスも感じ取っていた。だが彼は、訊くことも、責め立てるわけでもなく、一言返しただけだった。
「そうか」
ザフラは、淡然としたその言葉に救われる思いがした。
リュクス・フォルミスからザフラ・シュヴァーユへ、渡したいものがある、とのことだった。
ザフラはわざわざ、その日の予定を全て別日に振り替え、彼の到着を待つ。朝から籠っていた執務室の扉が叩かれたのは、昼を過ぎた頃だった。
執事から、応接間に通したと聞いて、彼は真っ直ぐ向かう。部屋に入る間際、その執事に人払いを頼んだ。
扉を開けると、来客用のソファにリュクスの姿がある。他に従者も部下もいなかった。
彼も自分と同じことを考えたのだと、直感的に感じた。ザフラは静かに息を吐いて、再び歩き出す。
近づくと、一つに結んだコーラルの髪を揺らして、リュクスが窓際に向けていた金色の瞳をゆったりと動かした。
服装は、ラフな白シャツに黒のボトムス。商談で来たわけではなさそうだ。ザフラが自身のジャケットを軽く整え正面に行くと、彼も同じタイミングで立ち上がった。
「忙しい時にすまなかった」
その一言に、彼を一瞥したザフラは腰を下ろす。
「そうだね。君のおかげで、離縁の手続きもしなくちゃいけなくなったから」
そう言った彼は、一拍置いて、鋭い視線を投げ掛けた。
「よく僕の前に顔を出せものだね。ある意味、感心するよ」
自分の感情を隠そうともしないザフラを、リュクスは無言のまま見つめる。だが、しばらくしてフッと表情を崩すと、ゆっくりソファに座り直した。
「そうだな。けど俺は、自分の行動に後悔していない。当然、謝るつもりもないな」
その言い分に、ザフラは憎々しげに言葉を吐き出す。
「……開き直るんだね。図々しいことだ」
彼は、長い足を組んで続けた。
「僕は君を訴えるつもりだよ。そうなれば、君の家にも、事業にも影響が出るだろうね」
けれど、その言葉にリュクスは顔色一つ変えない。それどころか、強い眼差しを返した。
「好きにすればいい。さっきも言ったはずだ。俺は全てを含めて行動した。だから当然、その責任も取る」
「…………」
その言い方が、一瞬、イルティアと重なった。ザフラは眉を顰め、視線を逸らす。
同じように、話を変えた。
「……それで、今日は何の用だい? 君を見てるのも気分が悪くなる。手短に頼むよ」
「そうか。なら、余計な話は無しだ。手紙にも書いたが、アンタに渡したいものがある。今日はそれを持ってきたんだ」
そう言って、テーブルに出したのは品の良い灰白色の樹木で作られた小さな箱。ザフラが眉根を寄せる。
「注文した品は無いはずだけど……」
「ああ。だがこれは、アンタへ納品すべき品だ」
リュクスが、ゆっくりと蓋を開ける。柔らかい紺のベルベット生地で作られたクッションの上に、小さな装飾品があった。
細かな彫刻が施された半円の台座。その金の台座には、錨が模されていた。その中央に、五枚の花びらが可憐に開くユリリアスの花と、濃い紅茶に似た色の宝石がはめこまれている。
ザフラが首を傾げると、リュクスは淡々と説明を始めた。
「懐中時計のチェーン先につける飾りだ。錨は平穏と安定を。そのユリリアスの花は……思い出の花だそうだ」
「思い出の花?」
「使われている石はマデイラシトリン。アンタの瞳に合わせたらしい」
「僕の……」
そこまで言って、言葉を詰まらせる。ザフラがそっと手を伸ばすと、さりげなくリュクスが、箱を彼の元へ近づけた。
「石に彫られている紋章の半分は彼女が、後は、俺が仕上げさせてもらった」
「…………」
手に持つと、わずかな重みを感じる。煌めく宝石の中に、雪の結晶と一本の剣が描かれていた。ザフラは、手の中でそれを転がしながら、やがてギュッと握り締める。
「これを……今更、僕にどうしろと?」
「それは自分で決めろ。俺は、預かった品を届けに来ただけだ」
「無責任だね」
「どう言われても構わないさ。ただ……」
迷うように、一度口を閉じた。けれどすぐ、続ける。
「そこに込められてる彼女の想いは本物だから。それだけは信じて欲しい」
「……」
リュクスの言葉に、ザフラは動きを止める。次第に落ちていく視線。そのまま何も言わなくなった彼に、しばらくしてリュクスは、テーブルへ手をつき立ち上がった。
「じゃあ、確かに渡したからな」
「……」
そう言って、彼は背を向ける。歩き出す間際、ザフラが引き留めるように小さな声を出した。
「すまなかった……」
その言葉に立ち止まる。振り返ると、リュクスは眉間にシワを寄せて、疑問を口にした。
「どうしてアンタが謝る?」
「僕は……」
顔を上げたザフラが、真っ直ぐ視線を向ける。けどすぐに、逃げるように逸らした。
「僕は、弱かったんだ」
「……」
リュクスが改めてソファへ座り直すと、ザフラは額に手を添えた。
誰にも言えなかった想い。何故だかそれを、今……口にしたくなった。胸のつかえを取り除くように、彼は、ゆっくりと言葉にしていく。
「ずっと……彼女の苦しみに気づいていたんだ。だけど僕は……その苦しみに気付いていながら……何もしてあげられなかった」
打ち明けられたその心情に、ひとつ息を吐いてリュクスは静かな声で応えた。
「……それは酷いな」
「……」
ザフラは、その言葉を噛み締めるように瞳を閉じて、同意する。
「そうだね。だから、君の元に行くようになって正直……ホッとしていたのかもしれない」
「それでも彼女は、アンタを想ってた」
「ああ。けど、それに甘えてしまったんだ」
「だろうな」
リュクスは、腕を組んで続ける。
「アンタが、俺を許せないのは分かってる。だが俺も、ティアを傷つけたことは許さないつもりだ」
「あれは……」
再び、手の平の中を見つめる。変わらない輝きを湛える宝石に、彼は瞳を細めた。
呼び起こされる記憶の中、リエンラからの報せを思い出す。
下働きの者が邸を訊ねたこと。その応対を夫人が行ったこと。謝罪に行きたいが、行けば更に迷惑をかけてしまうだろうということ。
ザフラは、小さく溜め息を吐いて続けた。
「あの時の僕は……どうかしてたんだ。変わっていく彼女に戸惑って、臆病になってしまった。向き合うことを怖れてしまったんだ」
その言葉に何かが含まれていることは、リュクスも感じ取っていた。だが彼は、訊くことも、責め立てるわけでもなく、一言返しただけだった。
「そうか」
ザフラは、淡然としたその言葉に救われる思いがした。
0
お気に入りに追加
797
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
隠れ御曹司の手加減なしの独占溺愛
冬野まゆ
恋愛
老舗ホテルのブライダル部門で、チーフとして働く二十七歳の香奈恵。ある日、仕事でピンチに陥った彼女は、一日だけ恋人のフリをするという条件で、有能な年上の部下・雅之に助けてもらう。ところが約束の日、香奈恵の前に現れたのは普段の冴えない彼とは似ても似つかない、甘く色気のある極上イケメン! 突如本性を露わにした彼は、なんと自分の両親の前で香奈恵にプロポーズした挙句、あれよあれよと結婚前提の恋人になってしまい――!? 「誰よりも大事にするから、俺と結婚してくれ」恋に不慣れな不器用OLと身分を隠したハイスペック御曹司の、問答無用な下克上ラブ!
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる