血術使いの当主様

重陽 菊花

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深雪の決意

弐無月の双子の弟

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【六月十六日】
 目が覚めると私に絡みつく漆蛇ウルチの腕の中だった。
「漆蛇…苦しい」
「深雪ちゃん…ごめんね…おはよう」
「漆蛇…おはよう…苦しい」
「深雪ちゃんと血術縛りが結べて嬉しくて」
「嬉しそうで何より…今何時?」
「九時位じゃない?」
「取り敢えず朝ごはん食べないと…葵ちゃんと菫ちゃんが作ってくれてて」
「そうなんだ…」
「だから漆蛇も一緒に食べに行こう」
「深雪ちゃんは童の頃から優しくて可愛いね」
「?良く分からないけど長襦袢も振袖も帯もぐちゃぐちゃになってる…二人に怒られる…」
「ごめんね…気が利かなくて」
「…取り敢えず自室に戻って着替えたい」
「そうだね…その格好は誰にも見せたく無い…部屋に送ってあげる」
そう言うと彼は私を横向きにして振袖類を持って襖を開けたら私の自室だった。
「何で…漆蛇が此処に入れるの?」
「ふふふ…正式な式になったからだよ」
「何か…騙された気持ち…」
「今日は何を着るの?」
「着替えるから出てって」
「ごめんね」と言い額にキスをし自室を出て行った。
取り敢えず洋装の下着を付けて高校時代の体操着の上下を着て部屋から出ると漆蛇が待っていて一緒に台所に行く羽目になった。
 台所の扉を開けると双子が椅子に座ってお茶を飲んでいた、漆蛇は台所の扉に隠れてる。
「おはよう…朝ごはん二人分ある?」
「「おはようございます!」」
「作りすぎちゃったのでありますよ!」
「深雪様と誰分?」
隠れてる漆蛇を無理やり台所に引きずり込んだ。
「「何で黒蛇さんが居るんですか!!」」
「式になったから…」
騒ぎを聞き付けて壱捨駒ヒシャコマ弐無月ニナツキが台所に入って来た。
「ちょっと待って!噂の拗らせヤンデレ蛇なんか式にするなんて正気なの?」
「昨日弐無月が部屋を出て行ってから色々あってね…二人とも従者で捨て駒呪詛師が壱捨駒でオネエの殺し屋が弐無月で拗らせヤンデレ蛇の漆蛇…三人とも仲良くね…血術縛り仲間だからね…血で血を洗う事はしないでね?返事は?」
「「「はぁい」」」
「ちょっと待ってちょうだい!何で左手の甲に竜の丸があるのよ!」
「昨日…色々あって龍神と双方で真名の血術縛りをしたから…」
「深雪ちゃんは面倒事を増やす天才だね」
「全く…本当に規格外ね…貴女」
「龍神の異空間に連れて行かれて断れなかった」
「まぁ良いわ…それより随分戸お寝坊さんね…支度が出来次第家を出るから早く支度して!」
「御意」
「深雪ちゃん…何処に行くの?俺も行く」
「何で拗らせ蛇も一緒に連れて行かないと行けないのよ!」
「漆蛇は常に一緒に式だから連れて行くが建前で本音は拗らせて問題行動されたら困る」
「あっ」と納得して皆が黙った。
 朝ごはんを食べ終わって自室に戻り急いで顔面を作って前髪と毛先を巻いて袖と裾が七分丈の黒いワンピースとストッキングと黒い微丈の靴下を履いて黒い鞄を持って廊下を走り居間の襖をスパーンと勢い良く開けた。
「お待たせしました」
「ねぇ葬式にでも行くの?」
「立派な黒ずくめ」
「俺とお揃いで嬉しい」
「三人も黒ずくめじゃん」
壱捨駒は黒いパーカーに黒いパンツ、弐無月は黒いライダースジャケットに黒いパンツ、漆蛇はいつも通りの黒い着流し。
「そう言えば式の子供達は?」
「俺が居るからいらない」
「凄い怒ってたけどね」
「そもそも式は呼べば現れるんだから、わざわざ着いて行く必要なんて無いのよ?漆蛇さん?」
「二人とも仲良くして…深雪ちゃんも大変だね」
「それな、そもそも漆蛇って一般人に見えるの?」
「見える訳無いじゃ無い、でも見える人間も勿論居るわ」
「なるほど…子供達と同じで漆蛇と話す時は気を付けないとおつむがヤバい人になるのか」
「だから気を付けるのよ…早く行くわよ」
「深雪ちゃん車の鍵ちょうだい」
「え、壱捨駒はお留守番…」
「俺も着いてく事になったから」
「そうなんだ…壱捨駒の運転…死にたくない」
「アタシも死にたくないわ」
「失礼な奴らだな運転手やってたから大丈夫」
玄関で壱捨駒に鍵を渡して黒い靴を履いたら双子と式が来た。
「「深雪様!!」」
「買い物リストです!」
「よろしくお願いします!」
「ありがとう」
「主様!気を付けてください!」
「特にその蛇には気を付けてください!」
「変態蛇です!」
「「いつか一升瓶に漬けてやる!!」」
女の子達は頼もしいし面白い、壱捨駒と弐無月が爆笑し漆蛇が拗ねた。
「変態行動を起こしたら呼んでください」
「龍神様に返品出来ないんですか?」
「また強制退場しましょう!」
爆笑してる壱捨駒に漆蛇が蹴りを入れた。
「それじゃ行って来ます!お土産買って来るね!」
「行ってらっしゃいませ」
双子と式に見送られ屋敷を出た。
 四人で駐車場に向かいながら防犯上よろしく無い敷地をどうするか相談をした結果、敷地を囲む様に塀を建てて玄関の呼び鈴を外して門の表札の横にインターホンを付ける事になった、工事業者と工事費用は父に任せよう。
 駐車場に着くと壱捨駒が運転席に乗り、弐無月が運転席の後ろに乗り、漆蛇が助手席の後ろに乗った。
私は勿論、後部座席の真ん中で二人に挟まれている。
「それで何処に行けば良いの?」
「先ずはアタシの弟に会いに行くわ此処に行ってちょうだい」
弐無月が壱捨駒に住所が書かれてるであろう紙を渡し、壱捨駒がナビを入れて出発した。
「十八日の会合の件だけど俺達は昨日と同じ格好で行くけど黒蛇じゃなくて漆蛇は何着てくの?」
「狩衣に決まってるじゃない…平安時代から生きてる黒蛇を式にしたと認知させるには丁度良いわ」
「私は何を着れば良いの?」
「そうねぇ…昨日の振袖でいいんじゃない?五つ紋付いてたし龍神カラーだし」
「家紋の簪と蝶のつまみ細工の簪で良かったと思う」
「振袖だけどね…昨日色々あってシワシワになっちゃったから別の着る…帰ったら代わりを探す」
「ちょっと!もう手を出したの?淫乱蛇!」
「まだ手は出してない」
「二人とも仲良くして…深雪ちゃんも大変だね」
「それな…そもそも会合って何するの」
「十八日の会合は柊家当主の就任と家業再活動の報告と従者にした壱捨駒とアタシと式にした橘家の子供達と平安時代の蛇のお披露目が主な目的よ」
「それと!手の甲の柊蝶と竜の丸を見せる事!」
「そうだったわ!普通の当主や縛りは青い血管が家紋に見える程度だけど…血術は皮膚が剥がされた様な赤い家紋だからひと目で血術使いと分かるから良いわ!」
「それと!深雪ちゃんと漆蛇は余計な事を言わない為に必要以上に喋らないでね!」
「アタシと壱捨駒で対応するから!」
「御意…漆蛇…我が家の黒幕は弐無月だから従ってね」
「嫌だけど深雪ちゃんが言うなら仕方が無い」
「本当に平安時代の蛇は当主様の事が好きなのね…人目が無い所なら手を繋いでも抱き合っても何しても良いけど人前では絶対に止めてちょうだいね?当主様の威厳に関わるから…絶対ね?」
「…分かった」
「流石黒幕…尊敬」
雑談をしていると着いたのか壱捨駒が車を草原に止め四人とも車から降りて目的地に向かった。
 目的地に着いたのか弐無月が廃墟の建物に入って行った、入り口に喫茶店らしき看板が立っているが廃墟にしか思えない。
 入ってみると中は綺麗で大正浪漫を感じる素敵な内装で居心地が良さそうだ、奥の席に坊主の男が座っていた、多分アレが弐無月の兄弟だろう。
「お待たせしてごめんなさいね」
そう言うと弐無月は男の向かいに座り車内と同じ様に弐無月と漆蛇の間に座り、壱捨駒は向かいの弐無月の弟の隣に座った。
弐無月の双子の弟は青いアイメイクに青い口紅を塗っていた。
「今来たところよ」
「なら良かったわ」
「双子の坊主の閻魔顔のオネエとか怖い!無理!」
「「ぶっ殺すぞてめぇ」」
私が言おうとした事を壱捨駒が言って双子のオネエ様にテーブルの下で脚を数回蹴られてた、怖すぎる無理。
そこに店員さんが注文を取りに来た。
「珈琲を四つお願いします」
「それとクリームソーダお願いします」
「飲み物は五つでよろしいですか?」
「それでお願いします」
注文確認をすると店員は厨房に戻って行った。
「壱捨駒、一人分忘れてるよ『二度はないぞ小僧、次は祟り殺す』って漆蛇が言ってるよ」
「「この場で祟り殺されろ」」
壱捨駒はまたテーブルの下で双子のオネエ様に脚を数回蹴られてた、仲良しでいいな。
「柊家の御当主様、挨拶が遅れて申し訳ありません。私はフリーの呪術師で現在は橘家に雇われています兄がお世話になってます」
「いえ、こちらこそお兄様には大変お世話になっております」
「昨夜兄から柊家様に引き抜きのお話を聞きましたがお間違えないでしょうか?」
「はい、もう一人呪術師又は呪詛師を雇いたいと思いましてお兄様に紹介をお願いして頂きました」
「アナタ転職したいって言ってたじゃない?それに規格外の当主様は面白いわよ」
「転職したいって言ったけど橘家と余計拗れるわ」
「もう充分に拗れてるじゃない…十八日の御三家主催の会合で当主様が式にした橘家の呪詛を唱える子供達をお披露目するの…こちら側にアナタも居たら面白いじゃない?それに橘家と結託してる柳田家の呪詛師と依頼を受けていた殺し屋のアタシも居るわ」
「それは大変面白いわ…でも柊家の御当主様はそれで良いのかしら?」
「我が家の黒幕の仰せのままに」
「アナタ…黒幕にまで上り詰めたのね」
「それで?アナタはどうするの?」
「私としては弐無月の弟様が来てくれたら嬉しいのですが…」
「「嬉しいが?」」
「血術縛りをするのが絶対条件なので無理強いはしたくないです…なので嫌なら断ってください」
「ふふふ…血術縛りなんてゾクゾクしちゃうわぁ」
「その反応見るの二回目…怖い」
そこに店員が注文した飲み物を持って来て、私の前に珈琲とクリームソーダが置かれた。
「ごゆっくりどうぞ」そう言うと店員は厨房に戻って行った。
漆蛇の前に珈琲を置いてクリームソーダに手を付けた。
「それでいつからアタシを雇ってくれますの?当主様」
「今日からでも明日からでも…」
「そう…なら今からですわ!帰ったら血術縛りをしてくださいませ!」
「あ…はい…名前は…参無月ミナツキで良いですか?」
「良いですわね!兄と統一感があって」
「それでアナタ、今日は此処まで何で来たの?」
「バイクよ」
「蔵にもう一台入るかな…?」
「入るわよ…少し片付けるけど」
「橘家に退職願はいつ出しに行くんですか?普通は離職三カ月前だと思うんですけど…」
「電話で良いんですよ…来る途中の公衆電話で離職を伝えます」
「この業界って緩いんですね…」
「この業界が社会保険の正社員って方が気持ち悪いでしょ」
「確かに…でも私は週休三日にしようと思いすし…そもそも用事の無い時は適当に遊んだり出掛けたりしてくださいね」
「ね?当主様は面白いでしょ?」
「?…普通はどうなんですか?」
「普通は休みは無く用事が有る際に休みを貰う程度ですよ」
「うわぁブラック企業…労基は関係無いのか…」
「本当に面白い当主様ですね」
「そうでしょ?それでこの後は本屋とスーパーに用があって商業施設に行くんだけどアナタも着いて来るでしょ?」
「勿論行くわ、ねぇそろそろお暇しましょ」
「何処かの偵察が見てるわ」
「あら本当ね、撒かないと。商業施設で会いましょう」
勿体無いからメロンソーダを一気飲みしアイスを口の中に無理やり詰め込んでさくらんぼを手に持った。
「そのみっともない姿で外に出るの?」
「もっと当主としての自覚を持って欲しいですね」
 いつの間にか壱捨駒が会計を済ませ店を出た。
確かに姿を隠してる人間に見られてるが殺気が漏れている。
行きと同じ様に車に乗り出発すると後ろから黒塗りのセダンが着いて来た。
「来たわねぇ…壱捨駒撒けそうかしら?」
「勿論!」
「死ぬなら即死がいい!」
「ちょっと!縁起でもない事を言わないでちょうだい!」
「深雪ちゃんは俺が守るから大丈夫」
「「俺達も守れよ!!」」
「守る義理は無い」
「漆蛇…私は壱捨駒も弐無月も漆蛇の次に好きだから…死んじゃったら立ち直れない」
「深雪ちゃんに悲しい思いをさせない為に助けるよ…多分」
青梅街道の片側一車線道の真っ直ぐな一本道を法定速度を遥かに超えたスピードで走り出した、前方に車が有ると対向車の有無を確認せずに追い越す為クラクションの嵐、赤信号の交差点に侵入し右折した。
追手の車二台は交差点内は急ブレーキした車に追突して玉突き事故起こさせたが追手の一台のセダンがまだ着いて来た。
その速度のまま青信号を左折し新青梅街道の片側二車線道路に入り追い越しを繰り返してまたクラクションの嵐の中で赤信号の交差点で反対車線にUターンした、さっきの青梅街道の一車線の信号無視の交差点より酷い事故を起こして着いて来た一台も巻き込まれて直ぐに左折をした。
「完全に撒けたでしょ!」
「そうねぇ」
「死ぬかと思った」
「楽しかった」
「このまま待ち合わせ場所に向かうよ」
今度は法定速度で片側一車線の真っ直ぐな道を走り目的地に着き駐車場に車を止めるとその隣に参無月のバイクが止まった、フルフェイスを外した満面の笑みの参無月と目が合い、車から四人とも降りると参無月が私の両手をにぎった。
「当主様…無事で良かったわ」
「死にぬかと思ったけどバイクの後ろよりはましだと思う」
「ふふふ…今度後ろに乗せてあげますね」
「そうねぇ三人でツーリングに行きましょう」
「怖すぎるから…丁重にお断りさせて頂きま
す」
「「強制連行するから楽しみにしててね」」
「この双子のオネエ様、怖すぎる…無理」
「そうだわ!アタシ達を側近にして壱捨駒は運転手で平安時代の蛇は守護式!これで決まりね!」
「平安時代の蛇は常に当主様といられれば良いんでしょ?」
「勿論異論は無い」
「俺は運転手なのね…側近じゃないのね」
「捨て駒が側近なんておこがましいにも程がある」
嬉しそうな漆蛇と肩を落とす壱捨駒と楽しそうな双子のオネエ様を連れて商業施設に入った。
「服と生活用品と本を買いたいから二時間後に此処に集合ね」
入り口のソファーを待ち合わせ場所にして解散した、勿論漆蛇は私に着いて来たが会話は無い。
言っても着いて来るから諦めて下着売り場も一緒に入ったが、更衣室とトイレは扉の向こうで持たせた。
色々と買い込んで待ち合わせ時間より少し前に待ち合わせ場所に行くと既に三人は揃っていた。
「沢山買ったんですね」
「壱捨駒持ってあげなさいよ、礼儀作法の本は買った?」
「きものコーナーに有った厳しそうな本を買った!」
全ての荷物を壱捨駒が持ってくれて、昼は大好物のとんかつ屋にはいった。
 それから食料品売り場に向かったが人間では無い視線が気になるが敵意は無い為気にせず大量の食料品とお土産を買い込んで帰途に着いた。
 車内は行きと同じ座席順で雑談をしながら帰宅した、参無月はバイクで後ろから着いて来た。
駐車場に着き車を止めると全荷物を持った壱捨駒が勝手口に向かって行き弐無月が参無月にバイクを止める場所を案内した。
玄関を開けて「ただいま」と言うと双子と式と平井権八がお迎えに出て来てくれた。
双子ちゃんはいつも通りの格好だが式達は名前の由来する花の色のきものを着ていた。
柏葉は緑・梔子は梔子色・露草は青・菖蒲は紫・桔梗は薄紫・睡蓮は桃色のきものに男の子は黒い兵児帯に女の子は黒い縦や結びに桃割れに白いちんころ髪飾りを付けている、子供達は黒髪で男の子は白い元結で後で一本に纏めている。
「六人とも似合ってて良いね!お土産買って来たよ!」とリーダーぽい睡蓮にお土産のケーキを渡し、双子ちゃんにもケーキの箱を渡すと八人共とても喜んでるでくれて見てうちの子が一番可愛いと自覚した。
「平井権八さんにはこれ」っと日本酒の一升瓶を渡すと喜んでくれた。
「本当に橘家の呪詛子達が居るのねぇ」
「ね、面白いでしょう?」
双子のオネエ様が玄関に入って来た、双子ちゃんと式が固まっている、普通の反応で安心したが平井権八は違った。
「また愉快なのが増えたのか!面白い!」平井権八は笑いながら居間に入って行った。
 取り敢えず双子ちゃんと式と双子のオネエ様にも居間に入ってもらい壱捨駒がおぼんに十四個のお茶を乗せて襖を足で開けて入って来て各自にお茶を配った。
「弐無月の弟の参無月が従者に加わり二人を側近にして壱捨駒は運転手で漆蛇は常に私の側に出しておきます…拗らせ問題児になるから。それで葵ちゃんと菫ちゃんには今後ご飯を十四人前作って貰いたいのと台所は狭いから此処でご飯を食べようと思うから式の子供達は運ぶのを手伝ってね!朝は七時で昼は十二時で夜は十九時ね!バラバラだと片付けが面倒くさいから協力してね!」
「それで十八日の会合の日だけどお留守番組の双子ちゃんと平井権八は常に襲撃の警戒をしてね、それと式の子供達はこの前のきものね」
「その事だけど!きものと帯は統一で女の子の小物類は名前にちなんだ色で髪飾りは家紋の簪と蝶の簪にする…式に自由を与えられる余裕感を出したい!男の子は…男の子は…ごめん前回のままで小物類が思い浮かばない」
「それは良いわね!」
「呪詛子達が可愛いのは良い事ですね」
「それで…葵ちゃんと菫ちゃん、後で新しい長襦袢と振袖と帯を探すので…場所を教えて」
「「もう手を出したのね!変態蛇!」」
「愉快愉快!据え膳食わねば男の恥!」
「平井殿は分かってくれるか」
「当たり前だろういつの世も変わらぬ事よ」
平井権八と漆蛇は気が合って地味に仲が良い、たまに二人で夜縁側で晩酌をしている。
「あっ!思いだした!明日の十五時頃に私の父と母と加賀カガ夫妻が来るから!」
「どうして貴女と御三家の加賀家が知り合いなのよ!」
「加賀夫妻は誕生日にケーキと花束とプレゼントをくれるし数カ月に一回はご飯を食べに行く、子供に恵まれなかったから母を娘の様に私を孫の様に可愛がってくれてる!皆粗相が無い様にね!特に壱捨駒!」
「「はぁ…本当に規格外ね」」
「双子ちゃん達…明日は当主様にきものを着せてちょうだい」
「アタシ達もきものですね」
「当主様の式と平井権八はその格好のままで良いわ」
「いつ来るって分かったの?」
「朝連絡したら昼に返信が来た」
「「何でその時に言わないのよ!」」
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「狩衣を着る事に意味が有るから色は任せるわ」
「もうこんな時間!双子ちゃんは食事の準備があるでしょう?アタシ達は明日明後日の準備が有るし当主様は振袖を探さないと行けないから解散よ」
「当主様…振袖の前に…血術縛りよ!」
 その後、書斎に連れて行かれて弐無月と同じように参無月の右手首と私の左手の動脈を切りお互いの血を混ぜた。

【我に忠誠を誓いし役に立て安堂健アンドウタケシ参無月ミナツキと名付ける】
参無月が心臓を抑えながら「ふふふ…これが血術縛りなのね…名付けの感じも初めて…」

「だめよ…アタシの記憶は見ない方が見の為よ」
血術縛りをして後ろに倒れると弐無月に受け止められて、いつものように意識を飛ばして起きたらご飯の時間で居間で皆でご飯を食べた。
その後に双子ちゃんと一緒に振袖と帯を選んで風呂を済ませて布団に入った、当たり前の様に漆蛇も布団に入って来た。
何言っても聞かないし実害が無いから良いやと諦めた、今日一日色々あったがまぁ楽しかったと思いながら眠りに着いた。
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