君の瞳に魅せられて〜一途な王子と追うヒロイン〜

兄と私、それぞれの計画

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いつまでたっても泣きやまないお父様の耳元で、お母様が何かを言うと、お父様は途端に泣き止み元気になった。

一体何を言われたのだろうか。品のある食べ方なのに異様に早いペースで綺麗に食事を平らげると、片付けなければならない仕事があると言いながら何だかソワソワしつつも食堂を出て行くお父様。

お母様もいつの間に食事を食べ終えたのか。お先に失礼するわねと言いながらお父様のあとを追っていく。

「近いうちに新しい家族ができるかもしれないね」
お兄様が何かを呟いたが上手く聞き取れなかった私は、ニコリと微笑んだ。

食堂に残された私とお兄様は、明後日の話をしたりしつつ、食後のデザートとして出されたレモンのシャーベットを食べていく。

食事も終わり、お兄様に部屋の前まで送っていただき、おやすみの挨拶をしてから部屋の中へと戻った。

明後日の朝には、屋敷からノルンへと旅立つことになるので、ノルンへと持って行くものの用意をしようと思った私は、まるで空気のように気配を消して一緒に部屋へと帰ってきたキャシーに、明後日の準備を少ししたいから荷物入れを持ってきてほしいと伝えた。

「エリーシェ様。既に荷の準備はこちらにできておりますので、明後日に備えてゆっくりとお休みくださいませ」

キャシーがこちらに準備ができていると教えてくれた方向を見ると、大人の男性が一人は入れそうな木箱が2つほど置いてあった。

「それは多すぎないかしら」

想像以上の荷物の量に私はとても驚いたのだった。