部屋の中に自称異世界の王子様が倒れていて助けたら溺愛されました

手伝うアレクはやはりチートでした

　アレクに手伝ってもらいながら作り上げたのは、だし巻き卵だ。

　料理があまり上手ではない私には珍しく、見た目も良いし。めんつゆとかを入れてるから味も悪くはないはずだ。

　本格的なものは作れない。それは引っ越してきてから自炊料理に何度も挑戦してきて、痛いほど味わってきた。

　レシピ本通りに作ってるつもりだったんだけどな。
　人に食べさせられるものは……だし巻き卵のみである。

　ああ、後は味噌汁も作ろうか。もちろんインスタントだからお湯を用意するだけだ。

　具材は……長ネギとわかめと豆腐のうちどれにようか？

　食料棚を確認してみたら豆腐のやつしかなかった。


　今度買いに行かなきゃな。アレクに聞いてみたら苦手なものは特にはないって言ってたけども。まぁ口に合わなかったら私が食べればいいし。

　アレクも異世界に戻って食事をすればいいよね？

　適当なお皿に、だし巻き卵を盛り付けて、珍しく炊いていたお米をお茶碗へ。

　まとめて持っていけるように、トレイに置く。


「美麗。他に手伝えることはないか？」

「じゃあこれを隣の部屋に持っていってもらえるかな」


「わかった。そっちも持っていくぞ」

　アレクは味噌汁のことを気にしてくれたみたいだけど。

「これは私が持っていくから大丈夫だよ」

　もしこぼしたら、火傷しちゃうかもしれないからね。

「こうすればいい」

　え？

　浮いてる！！

　アレクが飲みやすいようにと用意した味噌汁入りのマグカップが、アレクがふと視線を向けただけで浮いたんだけども。

　魔法やば！

　こうして私は何も持たないまま、なぜか浮遊魔法？を使わずにトレイを大事そうに、手に持つアレクと隣の部屋へと移動したのでした。