部屋の中に自称異世界の王子様が倒れていて助けたら溺愛されました

少年ってちょっと頑固なんだな

「え！？大丈夫なのか？」



　醤油ラーメンを立ち食いしているなんて、なんとも情けない姿を少年に見せながらも、私は少年の心配をした。

「ああ、だいぶ楽になった」


　薬効くのはやすぎないか？まだ10分も経っていないはずなんだが……



「そっか。それなら安心したよ」


　かなり顔色もいいし。呼吸も楽そうだけど。

　一応体温計で熱を測り直してもらわなきゃいけないよな？

　そう思った私は、手にしていたラーメン達を調理台の上へと置くと、首だけではなく、体ごと少年の方を向いた。


　少年、熱を測り直してとみようか？と提案しようとした声は、

「し…」


「感謝する。この御恩は一生忘れない」


　感謝の言葉を言うと、ぎこちないながらも頭を下げる少年によって遮られた。


「大げさだな。そんなに気にすることじゃないって」


　異世界から何でこの世界に、転移してきたのかは分からないけど。薬もそんなに高くはなかったし。


　歩いたことで、運動不足も少しは解消されたはずだから、気にしなくてもいいさと思いつつ言葉を紡ぐ。


「だが、この借りは必ず返す」


「別にいいってば」


「俺が気になるんだ」


　頑固な奴め。


「わかった。じゃあ今度お礼してもらうことにするよ」


　まいったなと、笑いながら少年に言うと。


「良い顔だな」

　と、少年はなんだか大人びた表情で言った。


　そんな中、突然異変がおこった。



　少年の体からキラキラと輝く妖精のような、白い粉が出始めたのだ。