部屋の中に自称異世界の王子様が倒れていて助けたら溺愛されました

聞きたいことは沢山あるんだけど

　少年には聞きたいことが、他にも沢山あったけれど。


　今、目の前で起こっている出来事に、思っていたよりも混乱していたからなのか。


　私は黙ったまま少年を見つめていた。


　いや、その美貌にあてられて見惚れていただけなのかもしれない。


　なんで体調が悪いのかは分からないけれど。

　苦しみながらハァハァと息をする姿は、どう見ても私よりも年下な少年だとは思えないほどに、凄く色気を感じさせられる。


「……っ」

　私が黙っているため、何かを言おうとして、また辛そうに顔を歪める少年に、私はこのままではいけないなと思い、言葉を紡いだ。


「無理に喋ろうとしなくていいから。とりあえず君に触れても良いかな？」

　普通なら触れずに、警察に通報案件だと思うけれど。なぜかこの時の私には、そういった選択肢は存在していなかった。


　少年は深く深く、息を吐きながらもゆっくりと頷いた。

　少年のすぐ側へと近づいた私は、片膝をつくと少年の顔をまじまじと見た。

　倒れたままの少年の頬はとても赤く、肩で息をしている感じでとても苦しそうだ。


　重そうなまぶたを閉じまいと頑張っている。汗で髪が濡れ、額や頬に髪がはりついている。


　これは……結構熱が出ているんじゃないか？