馬鹿な婚約者と自称ヒロインがまぐわっておりましたので、婚約破棄後に真実の愛とやらの行く末を見守りますわ

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男性は半開きになったドアの前に立っており、私と視線を交えると、とても優雅な仕草で、

「ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。私の事はルクスとお呼びください。ユミリア嬢と同じ3年生です。以後、お見知り置きを」

自己紹介をしてくださいました。

私もご挨拶をしなければ…

「私と同学年の方でしたか。同学年の方と関わる機会が少なかったもので、存じ上げず失礼致しました。私はユミリア・マキシマムと申します。よろしくお願いいたします」


「いえ、こちらこそ。あの女に目を付けられて災難でしたね。見たところ怪我は無いようですが、どこか痛むところはありますか?」

心配そうな眼差しを向けてくださるルクス様。

「いいえ、問題ございませんわ。お気遣いいただき、ありがとうございます」


私はルクス様へ返事を返すと、もう一度頭を下げました。


「ご無事なら良かったです。ユミリア嬢はどうしてこちらに?」

「それは…」

私は少し言い淀みながらも、この教室へと足を運ぶ事となったあの紙についてルクス様にお話することにいたしました。


─────────────────


「それでこの教室へとやってきたというわけですか」

ルクス様は半開きだった扉をカチャリと閉じました。

「ルクス様?と…扉が」

ルクス様が扉を閉じてしまったことにより、ルクス様も私も教室内に閉じ込めらてしまったのではなくて?

私の心配をよそに、ルクス様は私の目の前へと歩みを進められました。

「ユミリア嬢。無礼だとは承知の上で言わせて頂きたい」

「は…はい」

「学園内とはいえ、この様な場に一人で赴いてはいけない。貴女にとって危険な場所がこの学園にはこの教室の様に沢山あるのですから」

とても厳しい眼差しで見つめられながら、更に私の方へと近づいて来られるルクス様に条件反射的に後ずさってしまい、背中が壁にぶつかる感触を覚えました。

「ユミリア嬢」

私の顔のすぐ横の壁に手を当てられてしまい、逃げ道を塞がれてしまいました。

「あ、あの……」

「ユミリア嬢」


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