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少し呆然としておりましたが、すぐに扉を調べることにいたしました。


扉の様々な場所に触れてみましたけれど。どうやら扉には解除するための施しはされてはいないようでした。


ならば魔石スイッチと連動しているのかと思い、再びスイッチを押してみましたが……

部屋の中は暗闇に包まれましたが、扉は開けることはできませんでした。


私は再び魔石スイッチに触れ柔らかい光に照らされた教室内を見渡し、周りに何か解除法がないか調べることにいたしました。

先人達のように魔力があれば、すぐにでも解除することができるのですけれど。


時が経つにつれて人々からは魔力が段々と失われていき、現在では生き物として最低限の魔力しか持ち合わせてはおりません。


幸い先人達は完全になくなる未来を憂い、魔物を討伐することで大なり小なり入手できる魔石達を用いながら生活していくための魔導具研究に力を入れ、現在では不自由なく暮らすことができておりますけれど。


扉が開かないということは、これは施錠効果のある魔導具を用いられているのでしょうね。


一度入ると中からは出ることの出来ない魔導具は一般的には売られてはおりませんから。


この教室内に外へ出るための手段があるはずです。


教室内を見渡して見ましたけれど。特に変わった様子もなく机や椅子だけで特に気になるようなものは見当たりませんでしたわ。


私はカーテンが引かれた窓際へと向かい、窓を調べ始めました。

外の風景が見えるように、カーテンを開けることは出来るのですけれど、窓自体はびくともせず開くことは出来ませんでしたが、


「あっ…」


思わず声が出てしまいました。


窓の外には学生食堂の近くの庭が広がっており、素晴らしい花々が咲き乱れ、眺めやすいようにベンチが一定間隔ごとに設置されているのです。


そこに話に花を咲かせているだろう女生徒たちの姿が見えたのでした。


はしたないとは思いながらも、窓を叩きながら彼女達に気付いてもらおうと必死になって呼びかけましたが、一向に反応はありませんでした。


もしかして音が届いていない?確かにここは2階で庭にいる彼女達とは距離が離れてはおりますけれど。


こんなに淑女らしからぬ大声と音を出しているというのに。


不思議に思っていると、ふと一人の女生徒がこちらへと視線を寄越しました。

「助けてください!」

私は精一杯の声を出し、助けを求めましたがその視線は私と絡み合うこともなく、何事もなかったかの様に逸れてしまいました。


そんな……


もしかしたらこの窓には、防音と映像遮断の効果のある魔導具が使われているのかもしれません……


しかし映像遮断は一般で売買されているものではございません。罪人やらを取り調べているときに主に使われるものなのですから。


教室内から外を見る事ができるけれど。外からは中の様子を見ることができず、外に音が漏れることもない教室なんて聞いたこともありませんわ。


なぜこの様な教室が存在するのでしょう……


あれからだいぶ時間が経過しているというのに、誰も来る気配はなく。もしかしてこのままここに居続けることになるのでしょうか。


そう不安に駆られていると、廊下の方から足音が聞こえてきました。


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