馬鹿な婚約者と自称ヒロインがまぐわっておりましたので、婚約破棄後に真実の愛とやらの行く末を見守りますわ

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翌日、いつもと変わらぬ朝を迎え、お父様やお母様と朝の食事をし、馬車に揺られて学園へとやって来たのですけれど……


馬車を降りて、つい姿を探そうとしてしまいました。

本日はフリード様とお会いできない日だとわかっているのですが、もはや習慣となってしまっているようです。

寂しく思いながらも、周りには遠巻きではありますが他の生徒さん達の姿もありましたので、私は気を取り直して教室へと向かうことにしました。


寂しさを表情へと出さないように、少しでも優雅に歩けるように意識しながら歩いていると、背後からゾクリとするような嫌な視線を感じました。


表情には出さぬように、どうにか教室へと足を運ぶことができましたわ。

まだ少しばかり早い時間でしたけれど。教室内には数人の方がいらっしゃり勉学に励まれておりました。


見慣れた光景にほっと安堵しつつ、いつもの席へと座り、ホームルームが始まるまでの間、私は久しぶりに持参してきていた小説を読みすすめていきましたが……
フリード様と語らう事の喜びを覚えてしまったからなのか、寂しさのあまりなのか。


昔の様に楽しむ事はできず、物語の世界に入り込むことは出来ませんでしたけれど。

暫くすると、鐘の音と共に、先生がいらっしゃいましたので、私はそっと本を閉じ、前を向きました。


──────

久しぶりに学食へと一人で向かい、一人だけで昼食を終えた私は、表情には出さないものの、重い足取りで教室へと戻ってまいりました。

次の学びの時間を終えれば、本日の学びの時間は終わりとなりますから。

私は席へと座り、鞄の中に入れたままにしている本日提出予定の課題を取り出したのですけれど。



1枚の見知らぬ紙が課題達の間に挟まっておりました。

そこには本日の日付と、ホームルームを終えてから5分後に、とある教室へ来るようにという文字が書かれており、来なかった場合や他言した場合には、御者に危害が及ぶでしょうという言葉が添えられておりました。

私は驚きを隠せず、手に持っていた課題を落としてしまいました。

どうしてこんなものが……

震える手でその手紙を手に持ち、辺りを見渡せば、数人の生徒がこちらを見ておりました。


まさかあの中にこの手紙を入れた方がいるのでしょうか。

そう考えていると学びの時間を告げる鐘の音が鳴り、その音が鳴り終えると先生が入室され、私は手にしていた手紙を鞄の中へとしまい込みました。

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