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以前ならお互いに顔を朱に染めながら、ぎこちなく触れていたのが嘘のようでしたわ。


これも慣れというものなのでしょう。

触れるだけの口付けも終わりを迎え、フリード様は唇から離れると、私の瞳を覗き込むように見つめられました。

熱の籠もる瞳。


時折見せてくださるフリード様のこの瞳には未だに慣れることができません……

ずっとその瞳を私だけに向けていて欲しい。


そんな独占欲が湧き上がってくるほどですから。

「リア……少し口を開けてくれるかな?」

「こうでしょうか?」

私は少しだけ口を開き、フリード様のご指示を待ちました。

「おりこうだね。リアは。今から深く口付けるけれど。鼻で息をするんだよ。分かったかい?」


いよいよあの深い口づけを体験することができると思うと胸の鼓動がどんどん早くなっていくのを感じます。

「分かりましたわ」

「余裕があったら互いに舌を絡ませてみようね」

フリード様はそう言うと、私を見上げながら、口元に笑みを浮かべられました。

ですがこの笑みの浮かべ方は…… なんだか意地悪なことを企んでいる時の表情の様な気がするのですけれど。

気のせいですよね?


「ではいくよ」

フリード様は私の後頭部に手を添えると、ゆっくりと自分の方へと引き寄せました。


そして、先程までとは違う深い口づけが始まりましたわ。

「んっ……んぅ……」

フリード様の舌が私の下唇をなぞりあげ、その舌は私の少しだけ開けている口の隙間に入り込み、私の中に侵入してきましたわ。


フリード様の舌は私の舌を絡めとったり、吸い付くような動きをしてきました。

私も何だか背筋やらがぞくぞくとしてまいりまして、変な気分になってしまいました。

鼻でどうにか呼吸をしながら、必死にフリード様の舌の動きに応えようとしましたが、だんだん頭の芯が痺れてくる様な感覚に陥ってしまいまして、受け入れるだけになっていきました。

「ふ…んっ」

フリード様の舌が私の舌やら、上顎やら口内を刺激していきますと、段々と身体の力も抜けてきてしまって、いつの間にか私はフリード様に完全に身を任せておりました。

口の端からはどちらのものと分からない唾液が垂れて、漏れる声にも甘さが滲んで来たような気がします。


背中はぞわりとし、下腹部もなんだかむずむずとするような不思議な感覚に襲われており、フリード様に跨っておりますのに、堪らずに太腿を擦り合わせようとしてフリード様を無意識のうちに挟み込んだり、フリード様に跨ったまま腰を揺らしたりしていたようです。


「んんっ」

「くっ」

ずっと漏れ出ていた私の甘さを含んだ声とは別に、少し苦しそうなフリード様の声が聞こえたと思った瞬間に、私はフリード様に思いっきり抱き寄せられていました。

「リア…とても積極的で嬉しいけど、これ以上はまずいから今日はこれくらいにしておこう」

フリード様は熱を帯びた瞳のまま困ったように微笑まれました。

「えっと……?」

私はフリード様の言葉がいまいち理解できておりませんでした。

「この態勢で深い口づけをしたのには理由があるんだ。深い口づけには愛を確かめ合うための意味もあるけれど。お互いの性的興奮を高めるためでもあるんだよ」


「せいてき……こうふん……」

「うん。だから僕も正直限界が近い。体も反応してしまっている。リアも良くわかっただろ?僕が反応してしまっているのが」


「あっ……」

フリード様にそう言われ、私は気付けたのでした。


フリード様の下半身の上に跨るようにして現在も座っている私の秘めたる場所に、何だか固いものが当たっていることに。


そして先程までの私は、その固いものへと秘めたる場所を押し付けるようにして、腰を動かしていたことも思い出してしまったのでした。


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