馬鹿な婚約者と自称ヒロインがまぐわっておりましたので、婚約破棄後に真実の愛とやらの行く末を見守りますわ

文字の大きさ
上 下
115 / 127

114※

しおりを挟む
以前ならお互いに顔を朱に染めながら、ぎこちなく触れていたのが嘘のようでしたわ。


これも慣れというものなのでしょう。

触れるだけの口付けも終わりを迎え、フリード様は唇から離れると、私の瞳を覗き込むように見つめられました。

熱の籠もる瞳。


時折見せてくださるフリード様のこの瞳には未だに慣れることができません……

ずっとその瞳を私だけに向けていて欲しい。


そんな独占欲が湧き上がってくるほどですから。

「リア……少し口を開けてくれるかな?」

「こうでしょうか?」

私は少しだけ口を開き、フリード様のご指示を待ちました。

「おりこうだね。リアは。今から深く口付けるけれど。鼻で息をするんだよ。分かったかい?」


いよいよあの深い口づけを体験することができると思うと胸の鼓動がどんどん早くなっていくのを感じます。

「分かりましたわ」

「余裕があったら互いに舌を絡ませてみようね」

フリード様はそう言うと、私を見上げながら、口元に笑みを浮かべられました。

ですがこの笑みの浮かべ方は…… なんだか意地悪なことを企んでいる時の表情の様な気がするのですけれど。

気のせいですよね?


「ではいくよ」

フリード様は私の後頭部に手を添えると、ゆっくりと自分の方へと引き寄せました。


そして、先程までとは違う深い口づけが始まりましたわ。

「んっ……んぅ……」

フリード様の舌が私の下唇をなぞりあげ、その舌は私の少しだけ開けている口の隙間に入り込み、私の中に侵入してきましたわ。


フリード様の舌は私の舌を絡めとったり、吸い付くような動きをしてきました。

私も何だか背筋やらがぞくぞくとしてまいりまして、変な気分になってしまいました。

鼻でどうにか呼吸をしながら、必死にフリード様の舌の動きに応えようとしましたが、だんだん頭の芯が痺れてくる様な感覚に陥ってしまいまして、受け入れるだけになっていきました。

「ふ…んっ」

フリード様の舌が私の舌やら、上顎やら口内を刺激していきますと、段々と身体の力も抜けてきてしまって、いつの間にか私はフリード様に完全に身を任せておりました。

口の端からはどちらのものと分からない唾液が垂れて、漏れる声にも甘さが滲んで来たような気がします。


背中はぞわりとし、下腹部もなんだかむずむずとするような不思議な感覚に襲われており、フリード様に跨っておりますのに、堪らずに太腿を擦り合わせようとしてフリード様を無意識のうちに挟み込んだり、フリード様に跨ったまま腰を揺らしたりしていたようです。


「んんっ」

「くっ」

ずっと漏れ出ていた私の甘さを含んだ声とは別に、少し苦しそうなフリード様の声が聞こえたと思った瞬間に、私はフリード様に思いっきり抱き寄せられていました。

「リア…とても積極的で嬉しいけど、これ以上はまずいから今日はこれくらいにしておこう」

フリード様は熱を帯びた瞳のまま困ったように微笑まれました。

「えっと……?」

私はフリード様の言葉がいまいち理解できておりませんでした。

「この態勢で深い口づけをしたのには理由があるんだ。深い口づけには愛を確かめ合うための意味もあるけれど。お互いの性的興奮を高めるためでもあるんだよ」


「せいてき……こうふん……」

「うん。だから僕も正直限界が近い。体も反応してしまっている。リアも良くわかっただろ?僕が反応してしまっているのが」


「あっ……」

フリード様にそう言われ、私は気付けたのでした。


フリード様の下半身の上に跨るようにして現在も座っている私の秘めたる場所に、何だか固いものが当たっていることに。


そして先程までの私は、その固いものへと秘めたる場所を押し付けるようにして、腰を動かしていたことも思い出してしまったのでした。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

悪役令嬢カテリーナでございます。

くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ…… 気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。 どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。 40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。 ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。 40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

【完結】婚約破棄中に思い出した三人~恐らく私のお父様が最強~

かのん
恋愛
どこにでもある婚約破棄。 だが、その中心にいる王子、その婚約者、そして男爵令嬢の三人は婚約破棄の瞬間に雷に打たれたかのように思い出す。 だめだ。 このまま婚約破棄したらこの国が亡びる。 これは、婚約破棄直後に、白昼夢によって未来を見てしまった三人の婚約破棄騒動物語。

処理中です...