馬鹿な婚約者と自称ヒロインがまぐわっておりましたので、婚約破棄後に真実の愛とやらの行く末を見守りますわ

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フリード様との放課後の逢瀬を重ねて数日が経ちましたわ。


放課後になると私が先に教室を出て、いつものガゼボへと向かい、時間をずらしてフリード様が後からやってくる日々は今では日常となってきました。


待たせたねと言うフリード様に全然待っておりませんわと返事をして、時にはベンチで、時には立ったまま触れるだけの口づけを交わしたり、抱きしめて頂けるようなりましたの。

お互いに慣れたことで、赤面してしまったり緊張しすぎてしまったりすることは無くなり、ただただお慕いする気持ちが溢れんばかりになり、この時間がもっと長く続けば良いのにと願わずにはいられなくなりました。


「リア?」


立ったまま抱きしめられている私が心ここにあらずといった様子でぼーっとしているのを不思議そうに見つめているフリード様。


いけないわ! 今はフリード様と二人きりだというのに、他の事を考えてしまうだなんて。

「もっと長くフリード様と一緒にいたいなと思ってしまっていたのです」


正直に話すとフリード様はふわりと微笑んでくださいました。

その笑顔はまるで花が咲いたかのような美しさがありましたわ。


「僕もリアと同じだよ。こうして君に触れることが出来る時間はとても幸せなんだ。君を公爵邸に帰さずに連れ帰ってしまいたいくらいだよ」


「フリード様ったら」


冗談を仰っているのだと思い、つい笑ってしまった私に、


「ほんとだよ」

と小さな声でフリード様が呟いていただなんてこのときの私は全く気が付きませんでしたわ。


「フリード様? 何か言われましたか?」


「何でもないよ」


フリード様は悪戯っぽく笑い、触れるだけのキスをくださいました。


────

本日のキスを終えた私達はベンチへと移動いたしました。


だいぶお互いに触れることに慣れてきましたので、本日からはもっと閨教育に近いものを学ぶことになっておりますの。

「今日は深い口づけの仕方について学ぼうか。リアは僕に抱きつくように跨るようにして座ってごらん」


フリード様はベンチに座ると、足を閉じ、膝の上に乗るようにとおっしゃいました。

エイクズ殿下とボニータ様が愛を育んでいた時の姿にちょっと似ておりましたので、私の頬はあっという間に熱を帯びていきました。


でも、ここで恥ずかしがっていては何もできませんわ。

私はフリード様に閨教育について学ばせて頂いている身ですもの。


「失礼しますね」


フリード様の両肩に手を置き、跨ぐようにしてゆっくりと腰を落としていくと、自然とフリード様を少し見下ろす形となりました。

「リア……」


フリード様の甘い声が私の名を囁くだけで、本能なのか私の身体の奥に熱のようなものが生まれた気がしました。


「リア……僕の首に腕を回して」


言われるままにフリード様の首に両腕を回し、更に密着するように身を寄せました。


フリード様の手が私の背中と頭に添えられるとそのまま引き寄せるように、触れるだけのキスを何度も繰り返してくださいました。


─────

次回18禁回になる予定です。
フリード視点もたまには入れたほうが良いのかなと思いましたけど。

悩み中です。



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