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翌日 、私は本日もフリード様と約束をしているガゼボのベンチへと座り、フリード様をお待ちしておりました。


本日は出入り口を見渡せるベンチに座っておりますので、フリード様が来られたらすぐに分かりますわ。


昨日の夜に読みかけだった小説は読み終えておりますので、本日は周りに咲き誇る花々を眺めて過ごしました。

するとほどなくしてフリード様がこちらに向かって歩いてこられる姿が目に入りましたの。


とても優雅に歩かれていて、歩いているだけなのに一つ一つの動きがとても洗練されており、見惚れてしまいそうになってしまいました。


「リア。待たせてすまなかったね」


婚約者とはいえ、まだ公にできていないため、こうして時間をずらして会わざるをえないのはしかたがないことですから。


「いいえ。フリード様を待つ時間も、とても楽しいものでしたから。お気になさらないで」


微笑みを返すと、フリード様も嬉しそうに笑ってくださいました。

「リアは本当に愛らしい…その笑顔は反則だよ」


少し照れたように仰ったフリード様は、私のすぐ隣に座られました。


フリード様こそ…その様な表情をされるのは反則ではないでしょうか。

私は内心そう思いながらも、

「フリード様。本日はどのような事をされるのですか?」

と少しそっけない口調で尋ねました。


「そうだね。まだ昨日始めたばかりだからね。今日もお互いの好きなところに触れることにしようか。ただし、昨日選んだところは駄目だよ」


とくに気にした様子のないフリード様は手以外に触れるようにと提案されましたけれど……

手以外にどこに触れれば良いのでしょうか。手以外に触れるだなんて……はしたないのではなくて!? 


心の中では驚きを隠せない私ですけれども。表情には多分出ていないはず……


私は淑女の仮面をしっかりと被ったまま言いました。


「本日はフリード様からお先に触れてくださいませ」

「じゃあ…遠慮なく」


フリード様はそう言うと、私の肩へと腕を回されました。


そしてそのまま引き寄せると、私の耳元で囁いたのです。

「リアの髪はサラリとしていて気持ちが良いね」

腕を回されていらっしゃいますから。私の髪に自然と触れてしまうとフリード様。


「あ、ありがとうございます」

私が咄嗟に返せた言葉はお礼を言うだけで、その後の言葉がどうしても続けられませんでしたわ。


昨日に比べて触れている面積が広く、フリード様の熱が私に伝わってきているような気がしてきました…

「それから……君の匂いはとても甘くて心地よい香りだよね」


フリード様の吐息が私の耳や首筋にかかり、ぞくりとした感覚が走るのと同時に、とても小さな声でしたけれど。

幸せだなぁと呟かれた言葉を聞き逃すことなく耳にしてしまいました。

もう…駄目ですわ。恥ずかしすぎます。


─────

読んでくださりありがとうございます。
少しずつ触れ合いのベルアップをはかろうとしているのですけれど。のんびりしすぎてしまいました。次回ユミリアの触れる番を投稿して時をちょっと進めていこうかなと思っております。

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