馬鹿な婚約者と自称ヒロインがまぐわっておりましたので、婚約破棄後に真実の愛とやらの行く末を見守りますわ

文字の大きさ
上 下
102 / 127

101

しおりを挟む
その後、私はフリード殿下に手を引かれながら馬車寄せへとエスコートされました。


馬車寄せ周辺はフリード殿下の御者とヘレンが指示を受けて人払いの手配をしていたようで誰もおりませんでしたわ。

そのため変装している私とフリード殿下が共にいることを学園の誰もが知ることはないでしょう。


私は今朝乗ってきた馬車ではなく、本日フリード殿下が乗っていらした王族専用の黒塗りの豪華な装飾が施された箱型の馬車へと案内されていきます。

「この馬車のほうが音が漏れにくいからね。さぁ、リア、座ってくれるかい?」

「え、えぇ……」


こ…この中で私は…上手くできるのでしょうか。不安はありますけれど。

愛で…愛で乗り切ってみせますわ!と覚悟を決めて、私はフリード殿下と共に馬車の中へと入っていきました。


殿下が御者にゆっくりと公爵邸へと馬車を走らせるようにと指示を出しました。


そして扉に鍵をかけられると、殿下は私の方へ向き直られました。


「リア、先程約束したことを覚えているよね?早速だけど、いいかな?」

そう言うと、フリード殿下は私の腰を抱き寄せられ、そのまま膝の上へと横抱きにされるように座らせました。

「あっ……」

フリード殿下の温もりに包まれると同時に、耳元にかかる吐息を感じ、思わず変な声が出てしまいました。


「可愛い。もっと聞かせて」


「フリード殿下……」


「リア、僕のことはフリードと呼び捨てにしてくれないか?敬称はいらないよ」


「そんな……恐れ多いですわ……」


「公にはしていないとはいえ、僕はリアの婚約者だろう?それに二人だけの時は敬語も必要ないんだよ?」


蕩けるような甘い声で囁かれると、私の心臓は跳ね上がり、身体中が熱を帯びていきました。

「うぅ…善処しますわ……フリード……様」


「……まあいいか。いずれ慣れてくれるよね?ねぇ、リア。君に深く触れても良いかい?君が可愛すぎて限界なんだ」



フリード殿下の瞳に熱が灯り、射抜かれるような視線を向けられました。


私ももう色々な意味で限界です。


「……ええ。フリード様の…お好きな様に……」



するとフリード殿下は私の頬を優しく撫でられると、徐々に唇を近づけて来られたのでした。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

悪役令嬢カテリーナでございます。

くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ…… 気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。 どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。 40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。 ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。 40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

処理中です...