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その後、私はフリード殿下に手を引かれながら馬車寄せへとエスコートされました。
馬車寄せ周辺はフリード殿下の御者とヘレンが指示を受けて人払いの手配をしていたようで誰もおりませんでしたわ。
そのため変装している私とフリード殿下が共にいることを学園の誰もが知ることはないでしょう。
私は今朝乗ってきた馬車ではなく、本日フリード殿下が乗っていらした王族専用の黒塗りの豪華な装飾が施された箱型の馬車へと案内されていきます。
「この馬車のほうが音が漏れにくいからね。さぁ、リア、座ってくれるかい?」
「え、えぇ……」
こ…この中で私は…上手くできるのでしょうか。不安はありますけれど。
愛で…愛で乗り切ってみせますわ!と覚悟を決めて、私はフリード殿下と共に馬車の中へと入っていきました。
殿下が御者にゆっくりと公爵邸へと馬車を走らせるようにと指示を出しました。
そして扉に鍵をかけられると、殿下は私の方へ向き直られました。
「リア、先程約束したことを覚えているよね?早速だけど、いいかな?」
そう言うと、フリード殿下は私の腰を抱き寄せられ、そのまま膝の上へと横抱きにされるように座らせました。
「あっ……」
フリード殿下の温もりに包まれると同時に、耳元にかかる吐息を感じ、思わず変な声が出てしまいました。
「可愛い。もっと聞かせて」
「フリード殿下……」
「リア、僕のことはフリードと呼び捨てにしてくれないか?敬称はいらないよ」
「そんな……恐れ多いですわ……」
「公にはしていないとはいえ、僕はリアの婚約者だろう?それに二人だけの時は敬語も必要ないんだよ?」
蕩けるような甘い声で囁かれると、私の心臓は跳ね上がり、身体中が熱を帯びていきました。
「うぅ…善処しますわ……フリード……様」
「……まあいいか。いずれ慣れてくれるよね?ねぇ、リア。君に深く触れても良いかい?君が可愛すぎて限界なんだ」
フリード殿下の瞳に熱が灯り、射抜かれるような視線を向けられました。
私ももう色々な意味で限界です。
「……ええ。フリード様の…お好きな様に……」
するとフリード殿下は私の頬を優しく撫でられると、徐々に唇を近づけて来られたのでした。
馬車寄せ周辺はフリード殿下の御者とヘレンが指示を受けて人払いの手配をしていたようで誰もおりませんでしたわ。
そのため変装している私とフリード殿下が共にいることを学園の誰もが知ることはないでしょう。
私は今朝乗ってきた馬車ではなく、本日フリード殿下が乗っていらした王族専用の黒塗りの豪華な装飾が施された箱型の馬車へと案内されていきます。
「この馬車のほうが音が漏れにくいからね。さぁ、リア、座ってくれるかい?」
「え、えぇ……」
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そして扉に鍵をかけられると、殿下は私の方へ向き直られました。
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そう言うと、フリード殿下は私の腰を抱き寄せられ、そのまま膝の上へと横抱きにされるように座らせました。
「あっ……」
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「可愛い。もっと聞かせて」
「フリード殿下……」
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「そんな……恐れ多いですわ……」
「公にはしていないとはいえ、僕はリアの婚約者だろう?それに二人だけの時は敬語も必要ないんだよ?」
蕩けるような甘い声で囁かれると、私の心臓は跳ね上がり、身体中が熱を帯びていきました。
「うぅ…善処しますわ……フリード……様」
「……まあいいか。いずれ慣れてくれるよね?ねぇ、リア。君に深く触れても良いかい?君が可愛すぎて限界なんだ」
フリード殿下の瞳に熱が灯り、射抜かれるような視線を向けられました。
私ももう色々な意味で限界です。
「……ええ。フリード様の…お好きな様に……」
するとフリード殿下は私の頬を優しく撫でられると、徐々に唇を近づけて来られたのでした。
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