97 / 127
96
しおりを挟む
「ジークフリード殿下。ご機嫌麗しゅうございます。お目にかかる事ができまして大変嬉しく存じますけれど。残念ながら人違いでございます」
私がそう言うと、フリード殿下は不思議そうな顔をなさいました。
「確に化粧や髪色は違うから別人に見える人がほとんどだろうけど。僕が愛しいリアを間違えるはずはないよ」
愛しげに微笑まれてそんなことを言われてしまうと、顔が熱くなるのを止められず、私は俯くことしかできません。
それを見たフリード殿下は、満足げな笑みを浮かべられた後、私に手を差し出されました。
「色々と聞きたいことはあるけれど。ここだともうすぐ人目についてしまうからね。とりあえずいつもの場所に行こうか。リア」
色々と聞きたいことがあるというフリード殿下に連れられるまま、私は最近二人で過ごしている図書館近くの庭へと移動いたしました。
そして庭の奥にあるガゼボまで来ると、フリード殿下は私の隣へと座られました。
「それでリアはそんな変装をして何をしていたのかな。学びの時間は昼からのはずだよね?」
笑顔のはずなのに、目が笑っておられないような気がするのは、私の気のせいだと思いたいのですけれど。
なんと答えるべきなのでしょう。内容が内容だけにとてもお答えしにくいですわ。
「えっと、それは……」
口籠ってしまった私を見たフリード殿下は、先程とは違い悲しそうな表情をされました。
「当ててあげようか?」
そういうフリード殿下の瞳には、嫉妬の色が見え隠れしていらっしゃいましたけれど。
隣に座っていたフリード殿下に抱き寄せられたため、それも見えなくなりました。
少し強めに抱きしめられて、苦しいくらいですが。それでも嫌ではないと思ってしまいます。
フリード殿下は私の耳元で囁かれました。
「兄上と会っていたのだろう?」
私がそう言うと、フリード殿下は不思議そうな顔をなさいました。
「確に化粧や髪色は違うから別人に見える人がほとんどだろうけど。僕が愛しいリアを間違えるはずはないよ」
愛しげに微笑まれてそんなことを言われてしまうと、顔が熱くなるのを止められず、私は俯くことしかできません。
それを見たフリード殿下は、満足げな笑みを浮かべられた後、私に手を差し出されました。
「色々と聞きたいことはあるけれど。ここだともうすぐ人目についてしまうからね。とりあえずいつもの場所に行こうか。リア」
色々と聞きたいことがあるというフリード殿下に連れられるまま、私は最近二人で過ごしている図書館近くの庭へと移動いたしました。
そして庭の奥にあるガゼボまで来ると、フリード殿下は私の隣へと座られました。
「それでリアはそんな変装をして何をしていたのかな。学びの時間は昼からのはずだよね?」
笑顔のはずなのに、目が笑っておられないような気がするのは、私の気のせいだと思いたいのですけれど。
なんと答えるべきなのでしょう。内容が内容だけにとてもお答えしにくいですわ。
「えっと、それは……」
口籠ってしまった私を見たフリード殿下は、先程とは違い悲しそうな表情をされました。
「当ててあげようか?」
そういうフリード殿下の瞳には、嫉妬の色が見え隠れしていらっしゃいましたけれど。
隣に座っていたフリード殿下に抱き寄せられたため、それも見えなくなりました。
少し強めに抱きしめられて、苦しいくらいですが。それでも嫌ではないと思ってしまいます。
フリード殿下は私の耳元で囁かれました。
「兄上と会っていたのだろう?」
0
お気に入りに追加
484
あなたにおすすめの小説


冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

別に要りませんけど?
ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」
そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。
「……別に要りませんけど?」
※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。
※なろうでも掲載中

勝手にしなさいよ
棗
恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

【完結】婚約破棄中に思い出した三人~恐らく私のお父様が最強~
かのん
恋愛
どこにでもある婚約破棄。
だが、その中心にいる王子、その婚約者、そして男爵令嬢の三人は婚約破棄の瞬間に雷に打たれたかのように思い出す。
だめだ。
このまま婚約破棄したらこの国が亡びる。
これは、婚約破棄直後に、白昼夢によって未来を見てしまった三人の婚約破棄騒動物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる