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「ジークフリード殿下。ご機嫌麗しゅうございます。お目にかかる事ができまして大変嬉しく存じますけれど。残念ながら人違いでございます」
私がそう言うと、フリード殿下は不思議そうな顔をなさいました。
「確に化粧や髪色は違うから別人に見える人がほとんどだろうけど。僕が愛しいリアを間違えるはずはないよ」
愛しげに微笑まれてそんなことを言われてしまうと、顔が熱くなるのを止められず、私は俯くことしかできません。
それを見たフリード殿下は、満足げな笑みを浮かべられた後、私に手を差し出されました。
「色々と聞きたいことはあるけれど。ここだともうすぐ人目についてしまうからね。とりあえずいつもの場所に行こうか。リア」
色々と聞きたいことがあるというフリード殿下に連れられるまま、私は最近二人で過ごしている図書館近くの庭へと移動いたしました。
そして庭の奥にあるガゼボまで来ると、フリード殿下は私の隣へと座られました。
「それでリアはそんな変装をして何をしていたのかな。学びの時間は昼からのはずだよね?」
笑顔のはずなのに、目が笑っておられないような気がするのは、私の気のせいだと思いたいのですけれど。
なんと答えるべきなのでしょう。内容が内容だけにとてもお答えしにくいですわ。
「えっと、それは……」
口籠ってしまった私を見たフリード殿下は、先程とは違い悲しそうな表情をされました。
「当ててあげようか?」
そういうフリード殿下の瞳には、嫉妬の色が見え隠れしていらっしゃいましたけれど。
隣に座っていたフリード殿下に抱き寄せられたため、それも見えなくなりました。
少し強めに抱きしめられて、苦しいくらいですが。それでも嫌ではないと思ってしまいます。
フリード殿下は私の耳元で囁かれました。
「兄上と会っていたのだろう?」
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「えっと、それは……」
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「当ててあげようか?」
そういうフリード殿下の瞳には、嫉妬の色が見え隠れしていらっしゃいましたけれど。
隣に座っていたフリード殿下に抱き寄せられたため、それも見えなくなりました。
少し強めに抱きしめられて、苦しいくらいですが。それでも嫌ではないと思ってしまいます。
フリード殿下は私の耳元で囁かれました。
「兄上と会っていたのだろう?」
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