馬鹿な婚約者と自称ヒロインがまぐわっておりましたので、婚約破棄後に真実の愛とやらの行く末を見守りますわ

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「お前達…もしや姓名の誓いを勝手に交わしたというのか」


信じられないものを見るかのように、お父様は私たちを凝視しておられますわ。


「はい。リアを愛し続け、裏切らないことを誓わせていただきましたよ。お義父上」


なぜだか挑発的な笑みを浮かべてフリード殿下がお父様に告げましたわ。


お父様はそんなフリード殿下を苦々しい表情で睨みましたけれど。


「フリード殿下。決してその誓いを違えぬように。ユミリア帰るぞ」


そう言い、私達に背を向けるお父様。


フリード殿下は自信満々な様子で私の肩を抱き寄せました。


「もちろんですよ。私の愛は全てリアのためにあるのですから」


無言のお父様とともに馬車に乗るのはちょっと気不味かったですけれど。


公爵邸へと着くと同時に、王家からの早馬が来まして、陛下からの感謝の文とフリード殿下と陛下のサイン済みの婚約届、そして私宛の報告書が入っておりました。


お父様は眉間に深い皺を刻みながらも、公爵邸の皆に温かい目で見つめられながらサインをし、私もお母様に良かったわね。ユミィと祝いの言葉を言われながらサインをしました。


こうして私とフリード殿下はその日のうちに、正式な婚約者となることができましたの。


貴族や民へ向けての婚約の正式な発表は、私とフリード殿下の学園の卒業とともに行われることになったのです。


私の頬は部屋に帰り、私宛の報告書を読むまで緩みきっておりました。


─────
次回エイクズとボニータの報告書をユミリアが読んでいく回になる予定です。

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