馬鹿な婚約者と自称ヒロインがまぐわっておりましたので、婚約破棄後に真実の愛とやらの行く末を見守りますわ

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来訪者はお父様でした。


「お父様?」


私はなぜお父様がここに?と思い首を傾げてしまいました。


「ユミリア無事なのか!?」


なぜお父様は私の心配をなさるの?私がフリード殿下と、このお屋敷で食事をしていることは知っていたはずですのに。


「ええ。大丈夫ですけれど。それより、どうしてこちらに?」


私がお父様に聞き返しますと、隣で私の腰を抱くフリード殿下へと射抜くような視線を向けました。


「遅すぎるだろ。ユミリアにいかがわしいことをしていたのではないだろうな?ジークフリードよ」

お父様。敬称が抜けておりますわ。これでは不敬でしてよと内心焦っている私でしたけれど。

フリード殿下はとくに気にする様子もなく、とても真剣な表情をされながら言葉を紡がれました。


「マキシマム公爵。決して美しき薔薇を手折る真似など致しておりませんゆえ、ご安心ください」


「その言葉を信じていいのか?」


「はい。ですが先ほど食事後に、リアにプロポーズし、了承を頂きました」


「なん……だと……」


驚きを隠せないお父様の様子に、私の方が驚いてしまいましたわ。


「リア」

お父様を見つめていましたら、私にしか聞こえないような小さな声で、フリード殿下が囁かれました。


「お義父上のところに行こうか」


「そうですわね」



私はフリード殿下にエスコートをされながら、お父様の元へと数歩進んだのですけれど。


突然私とフリード殿下の体を淡い光が包み込んだのです。


「これは…」


お父様の呟きと息を呑む声も聞こえました。

私も呆然としてしまいます。だってこんなこと初めてなのですもの。

光は数秒ほどでキラキラと何事もなかったかのように消えていきました。


「リア、やったね。屋敷の中は加護の力が働いて無効化されてしまったのかと肝を冷やしたけれど。ちゃんと誓いがなされたようだ」

嬉しそうなフリード殿下のお言葉に、私はハッとしましたわ。


あれは、姓名の誓いを結んだ事による誓いの輝きでしたのね。

──────

読んでくださりありがとうございます。

ちょっと私の妄想力があらぬ方向へと進んでいるような気がします。あたたかいめで見守っていただけたらと思います。


近々ユミリアのもとにエイクズ殿下とボニータ様の近況報告書が届くようにしたいと思っています。
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