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「もうそろそろ食事にしようか。リアは肉料理と魚料理はどっちが良い?」
「両方とも好きですけれど……。今日は魚の気分かもしれませんわ」
私がそういうと、フリード殿下はとても嬉しそうな顔をなさいました。
「じゃあ魚にしよう。ソファで待っててもらえるかな?いま準備をするから」
フリード殿下の口から想像もしていなかった言葉が紡がれましたわ。
フリード殿下自らが、この私に給仕をしてくださるというのです!信じられないことでした。
王族の方が自ら調理場に出向かれるなど聞いたこともありませんでしたから。
「料理自体は既に出来ているんだ。それを皿に盛りつけるだけだからすぐだよ」
「でも、そんなことをしていただくわけにはまいりません!」
「可愛い私の客人。どうか僕のわがままを聞いてくれないだろうか」
そんな風に言われてしまえば、私には断る術はありません。
私は素直にお願いしますと言って、ソファに戻りました。
しばらくして、フリード殿下はいくつかの皿を持って戻ってこられました。
ソファの前にあるきれいなガラスの机に並べていくフリード殿下。
「召し上がってくれ」
並べ終えて食べるように促してくださいましたけれど。
私は目の前に置かれた魚料理を見て、とても驚いておりました。
その料理は、鯛という魚の煮付けというものらしいです。
その鯛は切り身の形では無く、丸々一匹使われていましたのよ。
「まぁ……なんて豪華なお料理なのかしら……」
私は思わず呟いてしまいました。
私は食事の祈りを捧げ、鯛の煮付けを一口食べてみました。
白身で淡泊な味であるにもかかわらず、しっかりとした旨味が感じられる素晴らしいものでした。
そして味噌汁というスープとご飯という穀物の炊き込みご飯も出てきましたの。
どれもこれも初めて見るものばかりでしたが、見た目の通りに美味しいもので、私はフリード殿下に微笑みながら感謝を述べました。
フリード殿下は少し照れくさそうにしながら、
「天に召されたシオリ王妃もさぞ喜んでいることだろう」
「え?」
まさか数百年前に亡くなった王妃様の名前が出てくるとは思いもしなかった私は、つい驚きの声をあげてしまいました。
「この料理はシオリ王妃が渡り人としてこの屋敷とともにやってくる数刻前に作ったものらしい」
「数百年も前に作られた料理がなぜここに?」
私の頭は混乱しておりました。
「この屋敷の加護の1つなんだ。この料理を食してしまっても、また翌日には作りたてのものが補充されるようになっている。だから安心して食べてほしい」
「なんと不思議なことでしょうか」
私はあまりの不思議さに呆然としてしまいました。
「両方とも好きですけれど……。今日は魚の気分かもしれませんわ」
私がそういうと、フリード殿下はとても嬉しそうな顔をなさいました。
「じゃあ魚にしよう。ソファで待っててもらえるかな?いま準備をするから」
フリード殿下の口から想像もしていなかった言葉が紡がれましたわ。
フリード殿下自らが、この私に給仕をしてくださるというのです!信じられないことでした。
王族の方が自ら調理場に出向かれるなど聞いたこともありませんでしたから。
「料理自体は既に出来ているんだ。それを皿に盛りつけるだけだからすぐだよ」
「でも、そんなことをしていただくわけにはまいりません!」
「可愛い私の客人。どうか僕のわがままを聞いてくれないだろうか」
そんな風に言われてしまえば、私には断る術はありません。
私は素直にお願いしますと言って、ソファに戻りました。
しばらくして、フリード殿下はいくつかの皿を持って戻ってこられました。
ソファの前にあるきれいなガラスの机に並べていくフリード殿下。
「召し上がってくれ」
並べ終えて食べるように促してくださいましたけれど。
私は目の前に置かれた魚料理を見て、とても驚いておりました。
その料理は、鯛という魚の煮付けというものらしいです。
その鯛は切り身の形では無く、丸々一匹使われていましたのよ。
「まぁ……なんて豪華なお料理なのかしら……」
私は思わず呟いてしまいました。
私は食事の祈りを捧げ、鯛の煮付けを一口食べてみました。
白身で淡泊な味であるにもかかわらず、しっかりとした旨味が感じられる素晴らしいものでした。
そして味噌汁というスープとご飯という穀物の炊き込みご飯も出てきましたの。
どれもこれも初めて見るものばかりでしたが、見た目の通りに美味しいもので、私はフリード殿下に微笑みながら感謝を述べました。
フリード殿下は少し照れくさそうにしながら、
「天に召されたシオリ王妃もさぞ喜んでいることだろう」
「え?」
まさか数百年前に亡くなった王妃様の名前が出てくるとは思いもしなかった私は、つい驚きの声をあげてしまいました。
「この料理はシオリ王妃が渡り人としてこの屋敷とともにやってくる数刻前に作ったものらしい」
「数百年も前に作られた料理がなぜここに?」
私の頭は混乱しておりました。
「この屋敷の加護の1つなんだ。この料理を食してしまっても、また翌日には作りたてのものが補充されるようになっている。だから安心して食べてほしい」
「なんと不思議なことでしょうか」
私はあまりの不思議さに呆然としてしまいました。
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