馬鹿な婚約者と自称ヒロインがまぐわっておりましたので、婚約破棄後に真実の愛とやらの行く末を見守りますわ

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白い木の床をみて頬を染める私に気づかぬまま、フリード殿下は白い木の床に片膝をつき、低めの高さにある棚から見慣れないふわふわとしていそうな白い物を取り出され私の方を振り向かれました。


「え!リアどうしたの?」

「…」

私の顔があまりにも色付いていたからでしょうか。驚いた顔はすぐに心配そうな顔へと変わりました。

私は言葉にするのもお恥ずかしく、殿下と文字から視線をそらし口を閉ざすことしかできません。

白い物を白い木の床に置かれたフリード殿下は立ち上がると、とても心配してくださいましたわ。


私の額へと触れ、熱はないようだけれどと未だ心配そうにしてらっしゃいます…


そう触れられてしまうと…本当に熱を出してしまいそうになりますわ。フリード殿下と思いながらも、私はフリード殿下に床の文字についてお話することにしました。


「床を見てしまいましたの…」


そう言われたフリード殿下は、床の文字を見て、忘れていたというような顔をされ、


「驚かせてしまったね。僕の配慮が足りなかった。すまない。この屋敷は、この白い床から先に進むためには靴のままでは入っては行けないんだ。だから室内用のスリッパという靴を君に渡そうと思って用意をしていたところなんだけれど。先に言っておけば良かったね」


慌てて謝罪をするフリード殿下。



「そう…だったのですね。私ったら勘違いをしてしまって申し訳ございませんでしたわ」



私はフリード殿下の言葉を聞きホッとすると同時に、早とちりしてしまったことを恥じ入り俯きました。


「僕はリアの素足を見たいし。君との仲をもっと深めて色々としたいと思っているんだけどね」



フリード殿下の声はとても小さく、私は聞き取ることができませんでした。


「今何か仰いまして?」


私が問いかけると、フリード殿下は顔を真っ赤にされ慌てられていました。


「いいや。何も言っていないよ。僕は壁の方を向いているから、このスリッパを履いてみて」



そう言われ、私は履いていたヒールを脱ぎ、白い床の上へと素足のまま足を踏み入れ、恐る恐る白い木の床の上においてあるその柔らかいスリッパと呼ばれるものを手に取りました。


これはなんとも不思議な感触ですわね。そしてゆっくりと足を入れてみました。

「まあ!」

足を入れた瞬間、フワリとした感覚に包まれたのです。

「どうかな?」

「とても柔らかいのですね。あたたかくて気持ち良いですわ」

「それはよかった」

私がスリッパへと履き替えている間に、壁を向いていたフリード殿下も靴からスリッパへと履き替えられていたようです。

「じゃあ行こうか。リア」

フリード殿下は私の手をとり、歩き始めました。



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