83 / 127
82
しおりを挟む
白い木の床をみて頬を染める私に気づかぬまま、フリード殿下は白い木の床に片膝をつき、低めの高さにある棚から見慣れないふわふわとしていそうな白い物を取り出され私の方を振り向かれました。
「え!リアどうしたの?」
「…」
私の顔があまりにも色付いていたからでしょうか。驚いた顔はすぐに心配そうな顔へと変わりました。
私は言葉にするのもお恥ずかしく、殿下と文字から視線をそらし口を閉ざすことしかできません。
白い物を白い木の床に置かれたフリード殿下は立ち上がると、とても心配してくださいましたわ。
私の額へと触れ、熱はないようだけれどと未だ心配そうにしてらっしゃいます…
そう触れられてしまうと…本当に熱を出してしまいそうになりますわ。フリード殿下と思いながらも、私はフリード殿下に床の文字についてお話することにしました。
「床を見てしまいましたの…」
そう言われたフリード殿下は、床の文字を見て、忘れていたというような顔をされ、
「驚かせてしまったね。僕の配慮が足りなかった。すまない。この屋敷は、この白い床から先に進むためには靴のままでは入っては行けないんだ。だから室内用のスリッパという靴を君に渡そうと思って用意をしていたところなんだけれど。先に言っておけば良かったね」
慌てて謝罪をするフリード殿下。
「そう…だったのですね。私ったら勘違いをしてしまって申し訳ございませんでしたわ」
私はフリード殿下の言葉を聞きホッとすると同時に、早とちりしてしまったことを恥じ入り俯きました。
「僕はリアの素足を見たいし。君との仲をもっと深めて色々としたいと思っているんだけどね」
フリード殿下の声はとても小さく、私は聞き取ることができませんでした。
「今何か仰いまして?」
私が問いかけると、フリード殿下は顔を真っ赤にされ慌てられていました。
「いいや。何も言っていないよ。僕は壁の方を向いているから、このスリッパを履いてみて」
そう言われ、私は履いていたヒールを脱ぎ、白い床の上へと素足のまま足を踏み入れ、恐る恐る白い木の床の上においてあるその柔らかいスリッパと呼ばれるものを手に取りました。
これはなんとも不思議な感触ですわね。そしてゆっくりと足を入れてみました。
「まあ!」
足を入れた瞬間、フワリとした感覚に包まれたのです。
「どうかな?」
「とても柔らかいのですね。あたたかくて気持ち良いですわ」
「それはよかった」
私がスリッパへと履き替えている間に、壁を向いていたフリード殿下も靴からスリッパへと履き替えられていたようです。
「じゃあ行こうか。リア」
フリード殿下は私の手をとり、歩き始めました。
「え!リアどうしたの?」
「…」
私の顔があまりにも色付いていたからでしょうか。驚いた顔はすぐに心配そうな顔へと変わりました。
私は言葉にするのもお恥ずかしく、殿下と文字から視線をそらし口を閉ざすことしかできません。
白い物を白い木の床に置かれたフリード殿下は立ち上がると、とても心配してくださいましたわ。
私の額へと触れ、熱はないようだけれどと未だ心配そうにしてらっしゃいます…
そう触れられてしまうと…本当に熱を出してしまいそうになりますわ。フリード殿下と思いながらも、私はフリード殿下に床の文字についてお話することにしました。
「床を見てしまいましたの…」
そう言われたフリード殿下は、床の文字を見て、忘れていたというような顔をされ、
「驚かせてしまったね。僕の配慮が足りなかった。すまない。この屋敷は、この白い床から先に進むためには靴のままでは入っては行けないんだ。だから室内用のスリッパという靴を君に渡そうと思って用意をしていたところなんだけれど。先に言っておけば良かったね」
慌てて謝罪をするフリード殿下。
「そう…だったのですね。私ったら勘違いをしてしまって申し訳ございませんでしたわ」
私はフリード殿下の言葉を聞きホッとすると同時に、早とちりしてしまったことを恥じ入り俯きました。
「僕はリアの素足を見たいし。君との仲をもっと深めて色々としたいと思っているんだけどね」
フリード殿下の声はとても小さく、私は聞き取ることができませんでした。
「今何か仰いまして?」
私が問いかけると、フリード殿下は顔を真っ赤にされ慌てられていました。
「いいや。何も言っていないよ。僕は壁の方を向いているから、このスリッパを履いてみて」
そう言われ、私は履いていたヒールを脱ぎ、白い床の上へと素足のまま足を踏み入れ、恐る恐る白い木の床の上においてあるその柔らかいスリッパと呼ばれるものを手に取りました。
これはなんとも不思議な感触ですわね。そしてゆっくりと足を入れてみました。
「まあ!」
足を入れた瞬間、フワリとした感覚に包まれたのです。
「どうかな?」
「とても柔らかいのですね。あたたかくて気持ち良いですわ」
「それはよかった」
私がスリッパへと履き替えている間に、壁を向いていたフリード殿下も靴からスリッパへと履き替えられていたようです。
「じゃあ行こうか。リア」
フリード殿下は私の手をとり、歩き始めました。
0
お気に入りに追加
484
あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。


悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

【完結】婚約破棄中に思い出した三人~恐らく私のお父様が最強~
かのん
恋愛
どこにでもある婚約破棄。
だが、その中心にいる王子、その婚約者、そして男爵令嬢の三人は婚約破棄の瞬間に雷に打たれたかのように思い出す。
だめだ。
このまま婚約破棄したらこの国が亡びる。
これは、婚約破棄直後に、白昼夢によって未来を見てしまった三人の婚約破棄騒動物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる