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馬車が止まりましたので外に出ますと、目の前には大きな湖がありました。
「とても美しいところですね……」
夕陽の光に照らされて、キラキラと光り輝く神秘的な湖の美しさに感動していると、ふいに後ろから抱き寄せられてしまいました。
「え?」
驚きの声を上げた次の瞬間、耳元で囁かれました。
「あまり湖に近づきすぎてしまうと、靴が汚れてしまうよ」
「ひゃう!」
耳に息を吹きかけられたような気がしましたわ。いえ、吹きかけられましたわ! 驚いて振り向くと、
「可愛い声だね。リア」
悪戯に成功した子供のような表情をしたフリード殿下がいらっしゃいました。
「や、止めてくださいませ!!」
みるみるうちに、私の顔には熱が集まっていくのを感じました。きっと凄く真っ赤になっていることでしょう。
そんな私を見たフリード殿下は満足そうな顔をされていますけれど。
私は恥ずかしさを紛らわすべく殿下から視線を外し、夕陽に照らされてキラキラと輝く湖の方を向きました。
馬車を降りたときよりも近い距離にあった湖に内心驚きながらも…
私は無意識のうちに湖の方へと歩いていたのだということに気付きました。
注意してくださるのならもっと普通にしてくだされれたら良いのに。
フリード殿下のホワイトブロンドの御髪も夕焼け色に染め上げられておりますし。ワタクシの熱の集まってしまった顔も夕陽色に染められて頬の熱による赤みもきっと隠されていますわよね。
ほんとお恥ずかしいわ。
─────
殿下が私をこの場へと連れてきてくださったのは、以前学びの時間で絵画について学んでいたときに、私が湖に興味をしめしながら、このように光り輝く湖を実際に見てみたいと呟いていたことを覚えていてくださっていたからだとか…
学園からもほど近く、王家が所有する地であるこの場所には、王家の者や招かれた者しか来ることはできないそうです。
先程まで湖に見惚れていて気付きませんでしたが、湖から少々離れた場所に、変わった屋敷がポツリと建っておりました。
本日の夕食はその屋敷の中で食べるのだというフリード殿下は、この屋敷が数代前のこの国の王であったアレクセイ王とシオリ王妃様の出会った場所なのだと、とても嬉しそうにおっしゃられたのでした。
「とても美しいところですね……」
夕陽の光に照らされて、キラキラと光り輝く神秘的な湖の美しさに感動していると、ふいに後ろから抱き寄せられてしまいました。
「え?」
驚きの声を上げた次の瞬間、耳元で囁かれました。
「あまり湖に近づきすぎてしまうと、靴が汚れてしまうよ」
「ひゃう!」
耳に息を吹きかけられたような気がしましたわ。いえ、吹きかけられましたわ! 驚いて振り向くと、
「可愛い声だね。リア」
悪戯に成功した子供のような表情をしたフリード殿下がいらっしゃいました。
「や、止めてくださいませ!!」
みるみるうちに、私の顔には熱が集まっていくのを感じました。きっと凄く真っ赤になっていることでしょう。
そんな私を見たフリード殿下は満足そうな顔をされていますけれど。
私は恥ずかしさを紛らわすべく殿下から視線を外し、夕陽に照らされてキラキラと輝く湖の方を向きました。
馬車を降りたときよりも近い距離にあった湖に内心驚きながらも…
私は無意識のうちに湖の方へと歩いていたのだということに気付きました。
注意してくださるのならもっと普通にしてくだされれたら良いのに。
フリード殿下のホワイトブロンドの御髪も夕焼け色に染め上げられておりますし。ワタクシの熱の集まってしまった顔も夕陽色に染められて頬の熱による赤みもきっと隠されていますわよね。
ほんとお恥ずかしいわ。
─────
殿下が私をこの場へと連れてきてくださったのは、以前学びの時間で絵画について学んでいたときに、私が湖に興味をしめしながら、このように光り輝く湖を実際に見てみたいと呟いていたことを覚えていてくださっていたからだとか…
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先程まで湖に見惚れていて気付きませんでしたが、湖から少々離れた場所に、変わった屋敷がポツリと建っておりました。
本日の夕食はその屋敷の中で食べるのだというフリード殿下は、この屋敷が数代前のこの国の王であったアレクセイ王とシオリ王妃様の出会った場所なのだと、とても嬉しそうにおっしゃられたのでした。
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