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私に指摘されたことで、殿下はお互いの絡み合った指へと視線をうつし、認識すると慌てて手を離してくださいました。

「すっすまない」

殿下の手が離れたことにより、空気に触れた手が少し冷たく感じてしまう。内心で少しの寂しさを感じながらも、私はその熱が逃げてしまわないように咄嗟に片方の手で右手を覆いました。


「私の方こそ、はしたないことをしてしまいました」


このようなはしたない事を教室内でやってしまったことを言葉に出すことで再認識してしまった私は、他の方々に見られていないかが気になり、フリード殿下に不審に思われない程度に教室内を見渡しました。


良かったですわ。現在の教室内にいる生徒は他にはおらず、いつの間にか私とジークフリード殿下の二人だけとなっておりました。


「いつの間にか僕達以外には誰も居なくなってしまったね」


殿下も教室内を見渡されたようで、すこし恥ずかしそうにおっしゃいました。

「ええ。いつの間に皆さん帰られたのでしょうか」


広い教室内に二人だけだというのもどこか恥ずかしいなと思いながらも言葉を返します。


「僕達もそろそろ行こうか」


「そうですわね」


お互いに席を立った私達は、少しぎこちくしながらも教室から出ていきました。




──────

いつもの馬車乗り場へとやってきましたけれど。今回の王家の馬車は初めて見るものでした。

見た目は貴族か裕福な商家の馬車だということが分かるのですけれど。王家の方が乗っているようには見えません。

良く偽装されているなと思いながら、フリード殿下にエスコートをされて馬車の中へと入り座ります。

馬車の中も落ち着いたシンプルな内装となっており、広さは4名ほどが座れそうです。

座り心地はとても柔らかく、普段の王家のものとかわりありませんでしたわ。

お忍び用の馬車なのでしょうね。

座って物珍しそうに内装を見ている私に、フリード殿下はくすりと笑われて、向かい合わせではなく私の隣に座られました。

うぅ…先程の教室での出来事よりも近い距離に、胸の高鳴りが殿下に聞こえてしまいそうですわ。

あらかじめ目的地が伝えられていたのかゆっくりと馬車が進みだしてすぐ…


「リア。触れても良いかな?」

とても真剣なお顔をされて、私に尋ねられるフリード殿下。

「ど…ど…どちらに触れてくださるのでしょうか?」

いつも異常に近い距離。そして密室。デート。真剣な顔と声音の殿下に色々といっぱいになってしまった私は、ご令嬢としてははしたない言葉を使ってしまったのでした。


───────

読んでくださりありがとうございます。
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