馬鹿な婚約者と自称ヒロインがまぐわっておりましたので、婚約破棄後に真実の愛とやらの行く末を見守りますわ

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学びの時間を終え、ホームルームも終わり馬車へと向かう時にもフリード殿下と共に歩いていくのが当たり前になってしまいました。

鞄に教科書を入れ終え、帰る準備ができたのと同時にかけられる声。

「リア。行こうか」

優しい声と、微笑むフリード殿下に最近では言い慣れてしまった言葉を返す。


「ええ。お待たせしてしまいましたわね」



「気にしなくて良いんだよ。僕がリアと一緒に帰りたいだけだから」

フリード殿下の言葉に頬を染めそうになり、必死に紛らわそうとする私。

「お手をどうぞ」

そんな私に、綺麗だけれどしっかりと男性の手をしたフリード殿下がエスコートをしようと手を差し伸べてくださった。


どうか心臓の音がフリード殿下に聞こえてしまいませんようにと祈りつつ、私はその手をとりました。


フリード殿下と共にお話をしながら向かう馬車への廊下は、一人で歩いていくよりもとても短く感じてしまう。


もっとお話できたら良いのに…
そう思いながらも二人の時間を楽しませていただきました。


馬車へと着くと護衛騎士の方と、御者であるフィッセル爺やが出迎えてくれる。


挨拶を交わし、殿下とのお別れの時間がやってきてしまいました。


「ジークフリード殿下。本日も楽しいひと時を過ごせました。ありがとうございます」

精一杯のありがとうの気持ちをこめてお礼を言い、カーテシーをする。


「僕の方こそ夢のようなひとときだったよ。まだリアの側を離れたくはないけれど。明日のために色々と片付けておきたいことがあるから。また明日。楽しみにしていて」


瞳を輝かせながら言うフリード殿下。
なんだかいつもとご様子が違うようなと疑問に思いましたけれど。


フリード殿下と過ごす日々が楽しい私は、いつものように返事を返しました。



「ええ。また明日お会いしましょうね」


少しだけのお話の時間も終わり、フリード殿下に見送られて私の馬車は進みだす。

───────

フリード殿下は、転入された翌日から公務や王子としての学びの時間やらで、大変忙しくされている。


公務と学びの時間の両立は、とても大変なものでしょうに。

フリード殿下と別れ馬車に乗って公爵邸に到着するまで私は心の中でフリード殿下のお身体の心配ばかりをしておりました。


邸へと帰った私は、夕食の時間までのんびりと過ごしたあとに食事の間へと向かいます。


公爵邸にお母様が帰ってきてからお父様とお母様で夕食や朝食を共にすることが多くなりました。


いつもは私かお母様が1番目に食事の間へとやってくるのですけれど…


なぜか機嫌の悪いお父様と、それとは対象的なニコニコ笑顔のお母様。お二人ともいつもより早い時間に食事の間へといらっしゃっていたようです。

遅くなったことを謝らなければと思い口を開こうとすると


「ユミィちゃん。謝らなくて良いのよ~メレちゃんはユミィちゃんが、明日学園終わりにデートだってことを知っちゃってね。ちょっと拗ねちゃってるだけだから~」


物凄く機嫌良さそうに楽しそうに言うお母様。お父様の眉間には深い皺が刻まれていく。無言のお父様と…


お母様が言った言葉を最初理解できず、遅れてその意味を知った私。

「デート…」

私には無縁だった言葉。

「ユミィちゃん。明日は楽しんでらっしゃいね~」


「ええ?私?デートとは?」

混乱する私。え?私…デート?明日ですか?どなたとなのでしょう?


「ファティ。ユミィはとても混乱しているようだが」

お父様がお母様に訪ねます。

「あらぁ~私ったら~言うの忘れちゃってたかも。ユミィちゃんは明日ジークフリード殿下と放課後デートするのよ。いっぱい楽しんできてね」


「ええー!!フリード殿下と明日デートなのですか!?」


「あらぁ。愛称で呼び合う仲だったのね。仲が良いことは良い事だわ~」


驚きすぎて心の中やフリード殿下と二人だけの時に言う愛称で呼んでしまった私。

お父様の眉間のシワが更に深まってしまったことは言うまでもありませんでした。



─────

読んでくださりありがとうございますね。
私には恐れ多いです。ジークフリード殿下とデートだなんてと言われないようにお母様前日までユミリアには内緒にしていたという設定にさせていただきたいと思います。
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