馬鹿な婚約者と自称ヒロインがまぐわっておりましたので、婚約破棄後に真実の愛とやらの行く末を見守りますわ

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馬車は無事に公爵邸へと到着し、フィッセル爺やにより合図があったあとに、ゆっくりと馬車の扉が開きました。


殿下は先に馬車を降りられて、私が馬車から出やすいように手を差し伸べてくださいます。


軽やかな身のこなしに、場馴れされているのでしょうねと思いつつ、私もこれから異性の方への免疫をつけてしっかりしなければと思いました。

いずれは自立しなければなりませんもの。


殿下のあたたかき手に触れて馬車を降り、ありがとうございますと殿下にお礼を言っておりますと大きな玄関扉が開きました。

中から外へと出てきたのは、まだ隣国でゆっくりとされているのだろうと思っていたお母様と、お父様にお母様の警護をするようにとそのまま隣国へと置き去りにされていた執事長のコーネリアンでした。

二人は私達の前へとなんだか嬉しそうにやってきましたけれど。


なんの連絡もなく帰ってきているお母様達に私は内心とても驚きながらお母様へとお声をかけました。

「おかえりなさいませ。お母様。いつこちらに?」


「うふふ。ただいま。実は今朝王都に帰ってきていたのだけれど。城に寄っていたからユミィちゃんとは入れ違いになっちゃったのよね~」

銀色に輝く長い髪はサラサラふわふわと風になびいていて、ほんのりと垂れた瞳は慈愛に満ち、まるで聖母のようだと賛えられていたお母様。

ふわりと笑うその笑顔は娘の私でも癒やされてしまうほどです。


和やかな雰囲気を漂わせているお母様と私とは対象的に、先程から一言も言葉を発していない殿下の存在を思い出しました。


私としたことが…尊きお方がいる前で放置してしまうなんて。殿下はとても忙しい身なのにと、慌てて殿下を見上げたのですが、とても緊張されていらっしゃるようでした。

私と目が合うと、はっとし我にかえったようで…
深く頭を下げ、王族としての最上級の礼をとり、お母様に言葉をかけられました。



「挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。ファティリシア様のおかげでリアとも無事に再会を果たすことができ、素晴らしい時を過ごせました。ありがとうございます」


「あらあら~そんなに丁寧にしなくて良いのよ~私はもう公爵夫人なのですから」


「いえ。ファティリシア様には感謝をしてもしきれないほどですから」


良いのよ~と言うお母様とお母様に感謝を伝えるジークフリード殿下のやり取りはしばらく続きました。



───────

読んでくださりありがとうございます。

現在筆が進まずノロノロスピードで物語を進めておりますが、少しずつでも物語を進めていけるように頑張りたいと思います。


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