馬鹿な婚約者と自称ヒロインがまぐわっておりましたので、婚約破棄後に真実の愛とやらの行く末を見守りますわ

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共に1つの教科書を読みながら学ぶというのは、私の心臓には少々刺激が強かったようです。


夢中になりすぎてお互いの肩が触れてしまったり、時にはページをめくろうとした指先が触れてしまったりと…


今まで家族以外との異性に触れることの無かった私にとっては初めてのことでしたから。

ほんのりと顔には熱が集まってしまいましたし、殿下にこの心臓の音がバレてしまうのではないかと思ってしまうほどに激しくなっていきました。



───────

もう少しで鐘が鳴るわ。
本日の授業はお昼まででしたから。この鐘が鳴りましたらマッシュポルト先生のホームルームだけになり、教科書を使用する授業はもうありません。


異性である殿下との近すぎた距離を、適切な距離へと戻せるのですから、私は鐘が鳴るのを今か今かと待っておりました。


ようやく鐘が鳴り響き、教科担当の先生が退室されまして、殿下が私に声をかけてくださいました。

「リア。今日は本当にありがとう。おかげで最高の学びの時間だったよ」


殿下のふにゃりとした微笑みに、私の心臓は更に高鳴ります。

私は不敬だとは思いつつも少しだけ視線を下に向けて言葉を紡いでいきました。

「ジークフリード殿下のお役に立てて光栄ですわ」


「もっと昔みたいに砕けた口調が良いんだけどなぁ」

大変ですわ。とても小さい声でポツリと話された殿下の言葉を聞き逃してしまいました。

「なんとおっしゃいましたか?」

慌てて聞き返したのですが…


「何でもないよ。リア」



殿下は答えてはくださいませんでした。次回がありましたら聞き逃さないようにしなければなりませんね。


──────

その後マッシュポルト先生が入室し、何事もなくホームルームが終わりました。


クラスメイトの皆様方は、帰る様子はなく仲の良い方々と談笑をしてらっしゃいます。


通学に使用している鞄に、必要な物を入れ終わった私は、まだ隣の席にいらっしゃる殿下に挨拶をしてから退室することにしました。


殿下の方を見ると、頬杖をつき何処か色気をはなっている殿下とお互いの視線が絡み合いました。


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