馬鹿な婚約者と自称ヒロインがまぐわっておりましたので、婚約破棄後に真実の愛とやらの行く末を見守りますわ

文字の大きさ
上 下
52 / 127

51(ジークフリード視点)

しおりを挟む
その条件とは、新しい講師陣を招き、今以上に教養を身につける事。


そうすれば兄上がリアに会えない時に、代わりにお茶会に出席することを許可するというものだった。


兄上とリアには3ヶ月ほど交流をもたせる計画だったようで、残り2ヶ月…全部兄上がリアと会わなかったとしてもあと4回しか会うことができないという…


僕にとっては物足りなくもっと会いたいと願いたいところだったけれど。無理を承知の上で願ったことだったので僕はその条件をすぐに飲んだ。


その日の昼間からは第二王子としてゆっくりと学んできた事がどんなに簡単なことだったのかと驚いてしまうぐらいに、とても忙しい日々を過ごすことになるが、あと数日でリアに会えると思えば、朝からいつも寝ている時間まで学び続けることも苦ではなかったかな。


リアに会えるかもしれないという前日は夜遅くまである学びの時間も短くなり夕食前には終わったからゆっくりと眠る事ができたし。

リアに会う当日は講師陣達が学びの時間を父上に内緒で休みにしてくださっていたからリア達の時間が許すまで僕は、リアと話したり、時には遊んだりしながらたっぷりとリアに癒やしてもらったんだ。


見目も内面までも優しく美しく愛らしいリアに魅了されながら過ごした4日間。


とても幸せだった。


リアと会えなくなってからも、僕は学びの時間に励んでいった。


この生活にも慣れてきたのか、課題を効率よくこなせるようになり、学びの時間は夕食前には終わるようになっていた。


でも何かに励んでいないと、僕はずっとリアの事を考えてしまうからね。

予習や復習。それでも満足しなくなって、姉上と共に体を鍛えることにしたんだ。


──────

そう過ごしていくうちに、兄上とリアの婚約式の日となった。

ずっと会えないまま長い年月が経ってしまったが、僕のリアを思う心は変わることがなくというか…

更に深まった気がする。


僕は遠くの窓から、リアが馬車を降り婚約式のための儀式の間に移動していく姿を見守っていた。


見ない間に可愛さの中にさらに美しさが増したリア。

背も伸びたようだからまだ僕よりも高いのだろうなと思い見る。

リアの成長していく姿を間近で見られないことが悔やまれるし。話がしたい。触れたい。様々な欲望が渦巻く中自身をおさえる。


聞いた情報によると、翌週からはリアが兄上と交流を深めるために、城へとやってくるようになるらしい。

側に居ることはできないが、こうやって僕は遠くから愛しい彼女を見守り続けたい。


どうかリアが幸せになれますように。



そう願った僕だけれど。その願いは翌週のリアと兄上のお茶会によって叶わないものとなる。


兄上は最低なクズ野郎だったんだから。



───────

ちょっとジークフリード視点での回想が長くなっておりますが…

申し訳ありませんがまだまだ続きそうです。
あたたかい目で見守ってくださいませ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

悪役令嬢カテリーナでございます。

くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ…… 気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。 どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。 40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。 ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。 40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

処理中です...