馬鹿な婚約者と自称ヒロインがまぐわっておりましたので、婚約破棄後に真実の愛とやらの行く末を見守りますわ

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49(ジークフリード視点)

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お茶会が終わり、リアが帰っていくと母上に今度はいつあの天使に会えるの?また二人で遊びたいなと言ったのを昨日のことのように思い出せる。

僕は結局あの日、リアに見とれすぎていて母上達がリアの名前を教えてくれていたのに聞いていなかったんだから。

ただ二人で花を見つめるだけで、話をすることも自己紹介することも出来なかったのが今でも悔やまれる。



母上は僕の質問に困ったように答えた。

「ジギーごめんね。ユメリアちゃんはエイクズのお姫様になるから。もうあなたとは遊ぶことができないの」


その日が最初で最後だと言う事を知った僕は、とってもショックを受けて、静かに自室で涙を流していたんだよなぁ。



でも兄上はその日から2週間後の…2度目のお茶会にも出席することはなかった。


熱もなく体調もどこも悪くないのに、当日にいきなり面倒くさいと城中を逃げ周り捕まると大泣きしたからだ。


困った母上は、再び僕をリアの待つお茶会の場へと連れて行ってくれた。


兄上が我儘で良かったと心の中で、神話に出てくる神々に感謝すると同時に、とても兄上のことが憎らしかった。

あんなに可愛いリアを自身のお姫様にできると言うのに会いもしないだなんてと。


リアが僕のお姫様になってくれたら良いのにとどんなに幼心に願ったことか。


その日も天気がとても良かったので、自慢の庭園でのお茶会だった。

やはりリアはとても可愛い。僕よりちょっと背が高くて銀の髪が太陽の光を浴びてキラキラと輝いていて、つい触れてしまいたくなる。


でも触れることは決して叶わない。僕にできるのは少しでも記憶に残って貰えるように、沢山その愛らしい声を聞けるように、いっぱい話していっぱい遊ぶことだけだった。


リアはすぐに愛称で呼ぶことを許してくれて、僕も母上や父上、そして姉上が呼ぶジギーという愛称ではなく、リアだけに呼んでもらえるようにフリードと呼んでくれるようにお願いしたんだ。


そのままフリードと呼んで欲しかったのだけれど。リアは遠慮してフリード殿下と僕のことを呼ぶ。


あぁ兄上だったら敬称なしで呼んでくれたのかもしれないと心の中で落ち込みつつ、リアにバレないように笑顔で過ごしていった。


母上にはすぐに、僕がリアのことが好きなのだとバレてしまったようで…


母上がその日の夜に父上に、リアを僕の婚約者にすることが出来ないかと相談してくれたようなのだけれど。


父上は良い返事をしてはくれなかったんだ。


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