50 / 127
49(ジークフリード視点)
しおりを挟む
お茶会が終わり、リアが帰っていくと母上に今度はいつあの天使に会えるの?また二人で遊びたいなと言ったのを昨日のことのように思い出せる。
僕は結局あの日、リアに見とれすぎていて母上達がリアの名前を教えてくれていたのに聞いていなかったんだから。
ただ二人で花を見つめるだけで、話をすることも自己紹介することも出来なかったのが今でも悔やまれる。
母上は僕の質問に困ったように答えた。
「ジギーごめんね。ユメリアちゃんはエイクズのお姫様になるから。もうあなたとは遊ぶことができないの」
その日が最初で最後だと言う事を知った僕は、とってもショックを受けて、静かに自室で涙を流していたんだよなぁ。
でも兄上はその日から2週間後の…2度目のお茶会にも出席することはなかった。
熱もなく体調もどこも悪くないのに、当日にいきなり面倒くさいと城中を逃げ周り捕まると大泣きしたからだ。
困った母上は、再び僕をリアの待つお茶会の場へと連れて行ってくれた。
兄上が我儘で良かったと心の中で、神話に出てくる神々に感謝すると同時に、とても兄上のことが憎らしかった。
あんなに可愛いリアを自身のお姫様にできると言うのに会いもしないだなんてと。
リアが僕のお姫様になってくれたら良いのにとどんなに幼心に願ったことか。
その日も天気がとても良かったので、自慢の庭園でのお茶会だった。
やはりリアはとても可愛い。僕よりちょっと背が高くて銀の髪が太陽の光を浴びてキラキラと輝いていて、つい触れてしまいたくなる。
でも触れることは決して叶わない。僕にできるのは少しでも記憶に残って貰えるように、沢山その愛らしい声を聞けるように、いっぱい話していっぱい遊ぶことだけだった。
リアはすぐに愛称で呼ぶことを許してくれて、僕も母上や父上、そして姉上が呼ぶジギーという愛称ではなく、リアだけに呼んでもらえるようにフリードと呼んでくれるようにお願いしたんだ。
そのままフリードと呼んで欲しかったのだけれど。リアは遠慮してフリード殿下と僕のことを呼ぶ。
あぁ兄上だったら敬称なしで呼んでくれたのかもしれないと心の中で落ち込みつつ、リアにバレないように笑顔で過ごしていった。
母上にはすぐに、僕がリアのことが好きなのだとバレてしまったようで…
母上がその日の夜に父上に、リアを僕の婚約者にすることが出来ないかと相談してくれたようなのだけれど。
父上は良い返事をしてはくれなかったんだ。
僕は結局あの日、リアに見とれすぎていて母上達がリアの名前を教えてくれていたのに聞いていなかったんだから。
ただ二人で花を見つめるだけで、話をすることも自己紹介することも出来なかったのが今でも悔やまれる。
母上は僕の質問に困ったように答えた。
「ジギーごめんね。ユメリアちゃんはエイクズのお姫様になるから。もうあなたとは遊ぶことができないの」
その日が最初で最後だと言う事を知った僕は、とってもショックを受けて、静かに自室で涙を流していたんだよなぁ。
でも兄上はその日から2週間後の…2度目のお茶会にも出席することはなかった。
熱もなく体調もどこも悪くないのに、当日にいきなり面倒くさいと城中を逃げ周り捕まると大泣きしたからだ。
困った母上は、再び僕をリアの待つお茶会の場へと連れて行ってくれた。
兄上が我儘で良かったと心の中で、神話に出てくる神々に感謝すると同時に、とても兄上のことが憎らしかった。
あんなに可愛いリアを自身のお姫様にできると言うのに会いもしないだなんてと。
リアが僕のお姫様になってくれたら良いのにとどんなに幼心に願ったことか。
その日も天気がとても良かったので、自慢の庭園でのお茶会だった。
やはりリアはとても可愛い。僕よりちょっと背が高くて銀の髪が太陽の光を浴びてキラキラと輝いていて、つい触れてしまいたくなる。
でも触れることは決して叶わない。僕にできるのは少しでも記憶に残って貰えるように、沢山その愛らしい声を聞けるように、いっぱい話していっぱい遊ぶことだけだった。
リアはすぐに愛称で呼ぶことを許してくれて、僕も母上や父上、そして姉上が呼ぶジギーという愛称ではなく、リアだけに呼んでもらえるようにフリードと呼んでくれるようにお願いしたんだ。
そのままフリードと呼んで欲しかったのだけれど。リアは遠慮してフリード殿下と僕のことを呼ぶ。
あぁ兄上だったら敬称なしで呼んでくれたのかもしれないと心の中で落ち込みつつ、リアにバレないように笑顔で過ごしていった。
母上にはすぐに、僕がリアのことが好きなのだとバレてしまったようで…
母上がその日の夜に父上に、リアを僕の婚約者にすることが出来ないかと相談してくれたようなのだけれど。
父上は良い返事をしてはくれなかったんだ。
1
お気に入りに追加
484
あなたにおすすめの小説


冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

勝手にしなさいよ
棗
恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

【完結】婚約破棄中に思い出した三人~恐らく私のお父様が最強~
かのん
恋愛
どこにでもある婚約破棄。
だが、その中心にいる王子、その婚約者、そして男爵令嬢の三人は婚約破棄の瞬間に雷に打たれたかのように思い出す。
だめだ。
このまま婚約破棄したらこの国が亡びる。
これは、婚約破棄直後に、白昼夢によって未来を見てしまった三人の婚約破棄騒動物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる