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「お嬢。第一王女殿下が、陛下の書簡を持参の上、ユミリア様をお迎えに参られたんっすが。応接室にご案内して待っていただくように提案しても断固拒否状態で、私は馬と共に外でのんびりしているからと断られちゃいましたよ」


やれやれといった様子で、ニコロは言う。

いきなりとはいえ、流石に今の格好であるワンピースのまま登城するわけにはいかないわよね…


「あまりお待たせするわけにはいかないわ。ヘレン。学園の制服を用意してくださる?」


「承知いたしました」

学園の制服は、在学中であれば正装と同様の扱いになる。

学園の終わりに王太子妃教育を学びに行く時のほとんどは、そのまま制服姿のまま通っていたのだから…


今日ものその格好で良いわよね。


普通なら本日も学園に通う日なのだし。


登校前に登城せざるをえなかったように見えるはずよ。

私はすっかりと着慣れた制服をヘレンから受け取ると、壁のすぐそばに控えるニコロを見る。

「部屋から出ていってくださらないかしら」


「どうぞ私には構わず、そのままお着替えになってください」

若干ニヤついてるじゃない。いつも砕けた口調なのに、こういう時だけ敬語を使うニコロに私は冷ややかな視線を送る。

「ヘレン」

名を呼ばれたヘレンは、私の言いたいことが分かったかのように、少々手荒に彼を部屋の外へと退室させてくれた。


さて準備をいたしましょうか。

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