馬鹿な婚約者と自称ヒロインがまぐわっておりましたので、婚約破棄後に真実の愛とやらの行く末を見守りますわ

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23(リンハルト視点)

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ユミリアの生家であるマキシマム公爵邸は寮から5分ほどと、とても近い距離にあり、ちょうど城と寮の中間にある。

休日の昼間とはいえ、商人達や平民達で賑わう地域から離れており、高位貴族達の住む広い敷地と邸があるぐらいで、周りはとても静かだった。

馬車は大きな邸の敷地前へとつき、警備の者たちの手により、立派な門が開かれる。

普段のユミリアならば、その門の開く音で目を覚ますのだが…

一筋の雫のあとを残したまま眠るユミリアには全く起きる気配がみられなかった。


庭師達に整えられたきれいな花壇が並ぶ道を進み、馬車はゆっくりと速度を落とし、レンガ造りの立派なお屋敷の前へにてとまる。

両開きの玄関扉が、開かれ学園の制服を着た青年が早足で、ユミリアの眠る馬車へと近付いて行く。


それに少し遅れ、慌てて青年のもとへと急ぐのは執事服を着た20代前半の執事長補佐だった。


青年は馬車の扉を開けて息を呑み、慌ててやってきた執事長見習いの男に、止まれと合図を出す。


すやすやと座ったまま俯き眠るユミリアに…

「姉上?」

馬車の中へと入り近寄るリンハルトは、姉へと声をかけるが反応はない。

自身と同じ銀色の長い髪をかきあげ、顔を覗き見る。母上そっくりのアメジストの濃い綺麗な瞳は閉じられており、泣いていたのか一筋の雫のあとが伺える。

青年は父に似た夜空を連想させるような深い青みがかったタンザナイトの瞳を悲しげにふせると、ユミリア嬢を優しく抱きしめ、両手で抱え上げ、馬車の外へと出た。

「え?お嬢寝てるんっすか?俺がお嬢を持ちますから代わってください」

ユミリアを起こさない程度の音量で、次期公爵となるリンハルトに声をかける執事長補佐。


リンハルトは執事長補佐を一瞥し…

「姉上が穢れる。ニコロお前はそちらにいる護衛騎士様を別室へと案内し、もてなしておいてくれ。私は姉上を寝室へと連れて行く。ヘレン悪いが扉を開けるのを手伝ってくれ」

「「承知いたしました」」



─────

すみません。その場のノリで新たなる登場人物を2名ほど追加させていただきました。


本日の夜に現時点での登場人物紹介を投稿したいと思います。
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