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人と我々
しおりを挟む人には、自ら歌を作る者が少ないらしい。
なんて謙虚な生き物なのだろうか。
我が同族は意見を歌でかわし、存在をも歌で示す。
生きてる限り音を奏で続け、自分を語り続ける。
人はなんと器用なのだろうか。
音楽無しに、文字の羅列だけで心を伝えるらしい。
我が子は本当に伝わっているか怪しいとロック調で訴えたが、伝わっているからこそあんなに静かに存在できるのだろう。
我々なら相手の気持ちが分からず、発狂の戯曲を歌う他に落ち着くすべなど無い。
人はなんと静かなのだろう。
一通り歌って気づいたが、羨ましくはないようだ。
素晴らしい存在だとは思うが、我々には合わない生き方だ。
他の存在を知り、他に存在を伝えるのにこんなに適したツールがあるのに使わないなど、不可能だ。
我々は歌い続けよう。
我々の生き方で生きよう。
門を静かに閉じる。
人とは難しい生き物であった。
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