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■N21 今日の言霊6/21 アメリカ

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N21:ニート息子 21歳
H48:母48歳
ネッコ7:飼い猫 7才メス※ネッコセブン


ネット検索で、引きこもりやニートに関する書き込みを見て、ゴミや片付け問題で悩んでいる家族がたくさんいるということがわかった。

確かにうちのN21も自身が公言しているように片付けはできない。料理で台所を使うのはいいが片付けができない、何度言ってもペットボトルの始末ができない、煙草の吸殻、灰、灰皿問題など。一緒に生活する身としては、毎日毎日同じ場面を目にし、小言をつき……の繰り返しでこちらのストレスは計り知れない。

いくら言ってもやってくれないとなると、周りにいる人間が我慢の持久力で負けてしまい「自分がやった方が早い」ということで、つい手を出してしまう。その結果的、N21は何もしなくてもよいことになり、いつまでも進歩無しである。

それでもニート生活も4カ月に入り、生活も苦しくなってきたところでH48は仕事に出かける前にN21に協力を仰いでみたりする。

「H48が仕事に行っている間、ネッコ7のトイレの後片付け」「節電」「昼は工夫して食べて食器は片付ける」「ペットボトルはラベルを剥がして所定の場所に捨てる」この4つのことをお願いする。N21が起床していない時は書き置きをしたり。本当はもっとお願いしたいことはたくさんあるが、この4つのうち3つできればまずはH48としては助かるのだ。

結果、全てできた日はほぼないが予想外に3つくらいはクリアしているか、4つとも8割できているかというところである。
なかなかの好成績の要因はネッコ7が膀胱炎であるためどうしてもお世話が必要なことと、事情があってH48とN21は手狭なアパートに引っ越しをしたため新しい環境でニート暮らしをしなければならなかったことだ。
手狭なスペースでは台所も食器もいつまでも汚しっぱなしというわけにはいかないのだ。
H48は仕事に出てしまうので、日中はN21しか家事をする人はいない。そのため、ネッコ7のお世話で動く流れで家事と環境美化の義務と責任が否応なしに生まれてしまうのだろう。

そんな中で、なかなか改善しないのは空きペットボトルの散乱と煙草の灰がどこかしらに散っていることだ。

H48「ちょっと、なんでこんなに散らかすのよ。片付けてよ。」

N21「いいんだよ、アメリカでは物を散らかすんだよ」

H48「はい?」

どういうことなのか、アメリカと言えば何でもこの世界では許されるのか……。
N21の言葉の意味は伺い知れないが、この小狭いアパートの一角で世界を意識してニート暮らしをしているのかもしれない。
それに、私も何かの折には「いいんだよ、アメリカでは大概そうなんだよ」と言ってみようかな、と考えたりもして。
案外使えるな、このセリフと感心してしまったのだった。
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