碧天のノアズアーク

世良シンア

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ダスク・ブリガンド編

1 噂のパーティ

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side ノア=オーガスト

「お前……何者だ?」

花鳥風月でいつものように寝ていたオレたちであったが、こんな真夜中に突然珍客がやって来た。

湊の問いかけに、その小さな暗殺者は全く反応を示さない。暗殺者は漆黒のローブを身につけており、顔もよく見えないが、明らかに小さな身体をしている。

「あくまで沈黙を貫くつもりか……」 

湊が斬りかかってみたが、彼はギリギリでかわし後方へ飛び退いた。

「……ほう。ただの暗殺者ではなさそうだ」

湊はその小さな暗殺者に向けて刀を構え直した。だけどその暗殺者は障子を破り外へ出ようとする。

「『五芒星之陣』……!」

秀のいつもより低めの声が響く。すると暗殺者の周囲に結界が施された。

「悪りぃな、クソガキ。俺らの主をろうってんなら……ただじゃおかねぇ。ましてや、そう易々と逃すわけねぇんだよ」

湊と秀は完全に臨戦態勢を取っている。

「……」

この殺伐とした状況でも全く動じない小さな暗殺者。シンはオレの横で待機してるだけで動こうとはしていない。オレのそばを離れる気はないのだろう。

どうしてこんなことになったのか。それを知るためには今から約十日前に遡らなくちゃならない。







エルのお母さんの病が治り、エルは心底安堵した様子だった。そして、「不束者ですが、これからもよろしくお願いします」と改めてオレたちに挨拶をしてくれた。オレよりも歳下なのに、なんとまあ礼儀の正しい子なんだと感動したのはつい昨日のことだ。

オレたちは今、エルのお母さんに挨拶をしに行った後、昼ごはんを食べに行きつけのレストランであるシャムロックへと足を運んでいた。

「ここ最近は毎日うちの料理を食べに来てくれて嬉しいよ」

「いろんな店によってはみたけど、やっぱりここが一番美味しいから……いつもここに足が向くんだよな」

「うふふ。ありがとね。ラルフさんもノア君たちの顔覚えちゃってるみたいでさ、ノア君たちが来るとちょっと嬉しそうな顔をするんだよ」

キキさんの言葉にオレは耳を疑った。ラルフさんには何回か会ったことはあるが、無口でいつも仏頂面なイメージがある。感情が表に出にくい人なのかもな。シンや湊もそういうタイプだし。

「それはなんかありがたいなー。あとでラルフさんに今日も美味しかったって伝えてくれる?」

「ええ、もちろんですよ!ではこちらの皿はお下げしますね」

「ありがとな」

キキさんは両手に何枚もの皿を重ねて持って行った。その姿をソルさんが遠くからあわあわしながらも見ている。

「そういや、俺らのランクっていつになったら上がるんだぁ?」

「あれ?ランクアップ申請ってしてなかったっけ?」

秀の唐突な疑問にカズハが答えた。

「……したか?」

「いや、していないだろう。ただひたすら魔物を狩って依頼をこなしてを繰り返していただけだからな」

たしかに、湊の言う通りだ。そういえばオレたちずっとDランク冒険者のままだった。カズハはAランクでエルはCランクだったよな……。シン、秀、湊はまだDランクでもいいかもしんないけど、リーダーのオレが最低ランクのままってのはヤバくないか?

「それってやっぱ、やった方がいいやつだよな?」

「そうですね。ノアさんたちならもうとっくにCランク冒険者になれる基準をクリアしていると思います。ランクが高いほうが受けられる依頼も増えますので、ランクアップ申請はしたほうがいいと思います」

高ランクなものほど高報酬がもらえるなんて、こんなの常識中の常識。今あるパーティ資金はざっと白金貨一枚、つまりは百万エルツだ。全くもって少なくない金額ではあるけど、六人パーティの資金と考えるとあまりに少ない。いろんな国や場所を見て回る予定だから、金はあるだけ越したことはない。

「……だよなー。じゃあこの後はEDENに寄ってランクアップ申請して……その後は軽く依頼こなして帰るか」

「それでいいんじゃない?」

こんな感じでいつものように食事を済ませ、みんなで軽く雑談をしていたのだが……

「何だこの料理は?よくもまあ、こんな不味いものを僕の前に出せたなぁ、貴様」

オレたちがいつも座る席の東側にあるテーブルから、くぐもった男の声がした。ここからまあまあ離れているが、それでもその客が何を言ったのか分かるぐらいには大きな声だった。見るとそいつは金ピカでやけに派手な服を着ており、その指や首にはこれ見よがしにキラキラと光る石をジャラジャラとつけていた。さらに極めつけとしては、恰幅のいいという表現を飛び越えたその体型である。

……初対面の人にこれは失礼に値すると思うけど、なんか、豚みたいな人だな……。もうちょっと身体を動かした方がいいんじゃないか?

「え、えーと、そんなに不味かったっすかね?」

その客の対応をしているのはどうやらソルさんみたいだな。クレーム客の対応もしなくちゃならないなんて大変だなー……。

「おい貴様……」

「ん?なんすか?」

「この僕に向かってその無礼な言葉遣いはなんなんだ!!」

クレーム客はドンッとテーブルに手をついて立ち上がった。そのせいでテーブルの上の料理は床に落下し、ぐちゃぐちゃになった。

……なんなんだあの客…………。

オレ以外の他の客たちも同様のことを思ったのだろう。オレと同じようにあのクレーム客を睨みつけている。

「へ?言葉遣いっすか……?すんません。俺敬語とかあんま上手く使えないんすよね」

「敬語が使えないだとぉ……?まったく、どうなってんだよこの店はよ!料理が不味いだけでなく、客に対する態度がなってないウエイターがいるなんてよー!」

「は……?」

オレは思わず、たった一音の心の声を漏らしてしまった。だがその一音には、オレの強烈な感情がありありと込められていた。

ザナックたちの時のいざこざでも当然不快感はあったけど、あの時と同様、もしくはそれ以上に今オレは怒り心頭になっている気がする。

みんなここには美味しい食べ物を気分よく食べに来てんだ。あんなマナーのなってない奴がいたんじゃ、ラルフさんが丹精込めて作ってくれた料理がまずくなっちまうってーの。

「……ちょっとアイツ締めてくるわ」

オレは立ち上がり、クソ客の元へ向かった。

「おい、お前」

「あ?何だ貴様は……?いや待て。今僕のこと、お前とか言いやがったか?」

このクレーム客は一丁前にオレを睨みつけてきた。

……これはあれだ。豚に似てるってのは、こいつに対して失礼というよりむしろ、豚に対して失礼に値するな。ごめん、豚さん。こんなやつに似てるとか言っちゃって……。

オレは「はぁ……」と深いため息をひとつついた。

「な、なんだそのため息は……?!」

「ああ、すんません。あんたがあまりにもクズだったんで、思わず」

オレの罵倒混じりの誠意のない謝罪に、こいつは頭から湯気を立てた。

「き、貴様!ぼ、僕を誰だと思ってる?!」

「あんたなんか知るわけねぇだろ」

「ぐぬぬぬ……!ぼ、僕は王貴国ラグジュアリのグーザー伯爵家の息子だぞ!貴族様だぞ!その僕にむかってこのような慇懃無礼な態度は何なのだ……!万死に値する!!」

指を指され、「万死に値する」とか言われてしまったオレ。しかも「貴族様だぞ」って言われてもなー……。

こいつに敬意を払わなきゃいけない要素が全く見つからん。つかここ大帝国グランドベゼルであって王貴国ラグジュアリとやらじゃないんだけど?

それにしたって……なぜこんなにも癪に触るのだろうか……?

「ソルさん、離れてもらっても?」

「あ、はいっす」

ソルさんが十分離れたことを確認し、オレはこのクソ客に向き直った。

「き、聞いているのか、貴様ーーー」

「……さっきからごちゃごちゃうるさいんだよ、お前!」

オレは脂肪で凝り固まったそのふてぶてしい御尊顔を思いっきりぶん殴った。……流石にパワー全開でやったら死んじまうから、オレの感情と理性とで吟味しつつ、できる限り抑えはしたけどな。

『ガシャンッ!』

大きな音が店内に響き渡った。そしてあの不快な男は自分が座っていた椅子やテーブルごと壁にぶっ飛んだ。男は壁にのめり込んでドサッと倒れ、泡を吹いて倒れている。どうやら気絶してしまったようだ。……てかそれよりも……

周囲を軽く見てみると、椅子やテーブルは見事に粉砕され、壁にもかなり大きなひびが入ってしまっている。

後先考えずに殴ったはいいけど、思っきし店内のもの壊しちゃったよ……。あとで『無限再生』使って元に戻しておこう、うん……。

「ごめん、ソルさん。店のもの壊しちゃって」

「あ、いや、全然平気っすよ。それよりノアさんがきてくれて助かったっす。正直この客どうしようかと思ってたんで ……あと、ノアさんが殴ってくれたんで、なんかスカッとしたっす!」

「……なんだこの騒ぎは」

ソルさんの背後にはこの店の唯一のシェフであるラルフさんが立っていた。

「あ、ラルフ師匠。えーと、これはその……なんというか……ははは」

「……何があった?」

ラルフさんは眉をひそめてソルさんを見つめた。

「あそこにぶっ倒れている客があまりにも下品……いや失礼すぎたからノアがお仕置きしたんだよ」

近くの席から立ち上がり現れたのは、Bランクパーティ『チェリー・ツリー』に所属する兄妹だった。

「……イオリ殿か」

「いつもお世話になってるね、ラルフ殿。僕の妹があなたの料理を大絶賛してるよ」

「……それは、大変ありがたく思う……」

「ラルフの料理より美味しいものなんて、この世にない」

イオリ曰く、ミオは小さい頃にここの料理を食べて以来、何があっても毎日欠かさず食べにきているらしい。それだけミオのシャムロック愛は計り知れないそうだ。

「ごめん、ラルフさん。オレが頭にきてこいつ殴っちゃったんだよ」

「…………」

オレの謝罪を聞いたラルフさんはおもむろにあの太りすぎた客を背負った。

ラルフさんもかなり大柄だけど、一介の料理人があの巨体を背負えるって純粋にすごくないか?

「……構わない。……こいつは、出禁だ……」

そう言いながらラルフさんはあいつと共に外へ出た。そして何事もなかったかのような顔をしてラルフさんだけがこの場に戻ってきた。

「兄さん……」

「お、シンか」

シンはオレの様子を見にきてくれたらしい。なんとも優しい弟である。

「あいつ、殺していいか?」

……言うと思ったよ。

「……い……いや、ダメだ」

今ちょっと、いいぞ、って言いかけたわ。

ふぅ……あぶないあぶない。なるべく他人の命は奪わないって決めてるし、何よりシンの手をあんなクズのために汚させるわけにはいかないからな。

「それよりも、だ……」

オレは再び店内の荒れた惨状を見る。ひどい有様だ。

オレはそこへ近づき手をかざす。

「『無限再生クロノライズ』」

すると、壊れた椅子やテーブル、ひび割れた壁といった全ての損壊物が元通りになった。

やろうと思えば飛んでいったテーブルや椅子も元の位置に戻せはしたけど、そこまで正確にやるとサッと済ませられないし、この力はあんまひけらかすなって言われてんだよなー。

「……っ!……すごいね、ノア」

「……ノアすごい」

テーブルや椅子、料理皿などを元の位置へと片付け終わると、目を丸くした桜木兄妹に褒められてしまった。

なんとなく、少し照れくさい。

「こんなの大したことないよ。壊したのはオレなんだしさー」

「……ありがとう、ノア殿。……助かった」

そう言ったラルフさんは厨房へと戻って行った。

初めてラルフさんの笑った顔見たかも。ちょっとぎこちなかったように見えるけど、なんか新鮮だ。

「オレたちも戻るか、シン」

オレたちが席に戻ろうとすると、周りの客からは「にいちゃん、あんがとな。めちゃくちゃ気分爽快だよ」とか「あんたのおかげでいつも通り美味しい料理を食べれるよ、ありがとね」とか数々のお礼の言葉を言われまくった。みんな相当あいつに不満が溜まっていたらしい。

めっっっちゃ分かるわ、その気持ち。

「お疲れ、ノア」

秀はオレのグラスを手渡してきた。

「サンキュー」

オレは中に入ったリンゴジュースを全て飲み干し、テーブルに置いた。カンッという快音が軽く響く。

「さて、気もすんだことだし、EDENに行きますか」

代金をテーブルの上に置き、オレたちはシャムロックを後にした。






side ネラコフ=グーザー

「……ぼっちゃま!しっかりしてくださいませ!」

聞き覚えのある声が頭上から聞こえてくる。目を開け、体を起こそうとしたが、全身が痛くて動けそうになかった。しかも僕が店に入ったのは昼間だったのに、いつの間にか日が暮れようとしている。

「……ランデル……か」

「左様でございます!ぼっちゃまの一番の従者のランデルでございます」

……くそっ。痛くて全然動けない……あの愚か者はこの僕に、失礼な態度を取るだけでは飽き足らず、挙句の果てには僕を殴りやがった。僕はグーザー伯爵家の次期当主だというのに……ふざけやがって!!

「ぐっ……ランデル!」

「はい!何でございましょうか」

「馬車を用意しろ!今すぐあの場所へ向かう!!」

「あそこへですか?……その前にぼっちゃまの手当てをなさいませんと……」

「そんなものは馬車の中ですればいい!一刻も早く向かわねばならんのだ!!」

「承知しました!」

あの愚か者め、みてろよ。僕をこんな目にあわせたことを死ぬほど後悔させてやる……!!







side ノア=オーガスト

「さてと、ランクアップも済ませたことだし、依頼をこなしていきますか」

オレ、シン、秀、湊の四人のCランク昇格を無事に終えたオレたちは依頼書が貼られた掲示板の前に来ていた。

ちなみにCランクになってギルドカードの色が銅色に変化したみたいだ。ランクごとに色が変わるってのは面白いシステムだよなー。一目で何ランクか分かるし。

「これでCランク以上の依頼もこなせるようになったんだよな?」

「そうだねー。今日からはこの隣のボードからも選べるようになったってわけ」

なるほどな。……ん?待てよ。

「あのさ、カズハ。オレたちまだDランクパーティのままだけど、それはいいのか?」

「あー……良くないねー、たぶん。私最近までソロでやってたからすっかり忘れてたけど、たしかパーティで受けるならパーティランクを上げないとダメだったと思う」

だよな。そんな気はしたわ、うん。

「そうなりますと、『トロイメライ』の第二階層までクリアしないといけないですよ」

お、エルの発言に知らない単語が出てきたな。

「トロイメライって何?」

「トロイメライというのはこのEDENの地下に存在する遺跡のことです」

遺跡……?!そんなものがこの地下にあったのかよ。

「それをクリアしないとパーティランクを上げることはできないんです」

「そゆこと。ちなみに、Cランクに上がるには第一階層と第二階層、Bランクに上がるには第三階層と第四階層、Aランクに上がるには第五階層と第六階層、そしてSランクに上がるには第七階層と第八階層をクリアしないといけないことになってるんだよねー」

「なるほどなー。……そういえばSランクパーティっていくつあるんだ?」

「二つだねー、たしか。結構前からある『デュランダル』ってパーティと最近Sランクに上がったばかりの『ダモクレス』ってパーティだったと思うよ」

「へぇー。たった二パーティしかクリアできてないのか」

「そうなんです。私はザナックさんのパーティに入った時にはすでにBランクパーティでしたので、挑戦したことはないんですが……かなりの強敵が揃ってるって噂ですよ」

「私は第六階層だけやったんだよねー。第五階層はすでにやってあったみたいでさー」

「どうだったんだ?」

カズハは湊の感想を求める声にしっかりと答えたのだが、そこには気になる一言が含まれていた。

「めちゃくちゃ強かったよー。みんな、何度トライしたことか……」

へ?何回も死んだ……?どゆこと?

「あのさ、カズハ」

「ん?どしたー?」

「何回も死んだってどういう意味?」

「え?別にそのままの……あ、言い忘れてたねー。トロイメライって精神体?みたいなのが中に入って挑戦するんだよー。つまり、実際には死なないようにできてるんだ」

はー。なるほどなー。そんな特殊機能がついてる遺跡なのか……。面白そうじゃん。

「だけど、絶対に死なないってわけじゃないんだよー。その人の精神力が弱ければ、魂だけが死んで、二度と意識が戻らなくなるからね」

「えっと、だから階層ごとに挑めるパーティを分けているそうです。下の階層に行くほどに、強い精神を持っていないと、下手したら入っただけで死んでしまうこともあるそうなので……」

おー、かなり物騒な遺跡なんだな。でも正直、やってみたい欲の方が勝ってるなー。

「そうそう。そこで死んじゃってもEDENの運営側はなんの責任も取らないからねー。全部自己責任ってこと」

まあそれは冒険者なんだし、当然のことだよな。

「そのトロイメライとかいう遺跡はここにしかねぇのか?」

「そうだねー。本部にしかないんだよ。だから各支部から専用の転移陣を使ってここに来るパーティも結構いるんだよねー」

へぇー。結構しっかりとした体制を整えてるんだなー。

「じゃあ今日はトロイメライを攻略してみるか?」

オレの提案にカズハとエルは微妙な顔をした。

「うーん、それは厳しいかもねー」

「私もそう思います」

「ん?何かクリアしないとならない専用の依頼があるとか?」

「あ、いやそうじゃなくてねー……たぶん予約でいっぱいだろうから、今日は無理だと思うよー」

「え、予約制なのか?」

「そうなんです。受付で予約を取ってから挑戦するらしいですよ」

「なるほどな。じゃあ、アリアさんに聞いてみるか」

オレは早速アリアさんのもとに向かい、トロイメライについて話した。

「トロイメライへの挑戦の予約ですね。実はいつ来るのかなって皆さんのこと待ってたんですよ」

「そうなの?」

「はい。ノアズアークの皆さんなら余裕でクリアできると思いますから」

そう言いながらアリアさんは書類をペラペラとめくった。

「これですね……えーと……一番早くて十日後ですかね」

思ったよりかかるなー。まあしょうがないか。

「じゃあそれで」

「はい。では十日後のお昼頃にまたここに来てください」





side ある冒険者たち

「おい、あいつらか?例のパーティは?」

「そうじゃねぇか?アグレッシブ・ガーディアンのカズハがいるんだ、間違いないぜ」

「……だよな。あいつらDランクパーティのひよっこのくせしてトロールやレックスを倒しちまったらしいじゃねぇか」

「マジかよ。エグすぎだろ。……俺らCランクパーティだけど、トロールなんか倒せそうにないぜ」

「……確かにそうよねー。でもそれってさー、Aランク冒険者のカズハがいるからじゃないのー?」

「いやいや、あのガキども全員、ステータスがやばいらしいぜ」

「……そうなのー?」

「そうそう。たしか、ノアってやつとシンってやつはニ属性もちで、しかも白氣がSなんだとよ」

「「マジで?!」」

「そうだよ。……そんでもって、秀ってやつは白氣がSで湊ってやつもAあるそうだぜ」

「……そんなもん、もはやバケモンの集まりじゃねぇか」

「それ言えてるわー」

「そこに加えてランキングニ位のカズハに支援氣術を使うエルちゃんだぜ?……まったくもってイカれたパーティだと思うよな?」

「うん」
「ああ」

「それに聞いた話じゃ、毎日BランクやAランクの魔物を狩まくってるらしいぜ」

「……マジでか?」

「たぶん」

「なんだよ、それー」

「ま、とにかくだ。……あのパーティは頭がおかしいってこった」

「それは激しく同意だわー」

「同じく」

これはノアたちが依頼ボードの前で話し込んでいた時に交わされていたある冒険者たちの会話である。













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