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魔王と聖なる乙女 ~一万年前の真実~
魔王と聖なる乙女 ~ 8年の月日が流れ ~
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※視点が何回か切り替わります。誰視点が注意書きがあります。
※冒頭はファラット視点です。
ーーーー
ディアの【白数珠】が壊れ “ 反動 ” で倒れた事件から8年の月日が流れ、ディアとファラットは18歳に成長し、ファラットは村長と呪術一族の長の約束どおりに魔物討伐に森へ来ていた。
ファラットは地面に魔方陣を描き終えると、上空から殺気を感じて、殺気に目線をむける。
( ん、あれは 『 ブレイズファルコン 』 だな )
火を吐き真っ赤に燃え盛る鷹に似た魔物・ブレイズファルコンが羽ばたいており、魔方陣を描くファラットを敵と見なしたのかファラットを見据えていた。
ファラットも上空のブレイズファルコンを見上げながら両手を左右に広げ、
「 〈 古の地から、この地に住まう者よ。 我の魔力を対価に、かの地から水流の能力を宿し “ 精霊 ” を此処へ、召喚せよ 〉 」
ファラットの呪文に共鳴するように、魔方陣から蒼白い光が溢れ、魔方陣の中心からざっぱんと水が溢れだし、その水は徐々に美しい水の精霊・ウンディーネに姿をかえる。
ウンディーネはブレイズファルコンから、ファラットを庇うように立ちはだかる。
ブレイズファルコンが口から火柱を、ファラット達をめがけ噴射し、
「 ウンディーネ、防いで! 」
ファラットの “ 命令 ” に従いウンディーネは水の盾を作り火柱を防ぐ。
防がれた火柱が森の木々へ燃え移ろうとして、
「 ウンディーネ、燃え移らないよう消火して! 」
ウンディーネは上空にたっぷんと水の塊を出現させ、ざっぱんと大雨の如く降らせて火柱を消火した。
ぐっ、ぐぐぅ……と、水が弱点のブレイズファルコンは呻き声をあげるが逃げる気配はなく。
( 何かあれば風の精霊にディアを癒すよう命じてあるけど……自然発生した魔物か、ディアが制御できなくて呼び出した魔物か判断出来ない以上、ディアの負担を考えれば極力倒したくない、けど )
「 ……倒すしかないのか 」
ブレイズファルコンは身体を覆う炎の温度をあげ、真っ赤に燃え盛る炎は青白く色をかえ猛スピードでファラットをめがけて飛んでくる。
弱点である水を司るウンディーネを倒せないならば、契約主であるファラットを倒してウンディーネを消滅させようと、ブレイズファルコンはそう判断したが、
「 無理だよ 」
ファラットの横を何かが通りすぎ、ブレイズファルコンを切り裂き、真っ二つに分かれたブレイズファルコンから炎が消え去り地面に落下する。
「 ふぅ、いい加減、この作戦やめねぇ、毎回、ハラハラして気が気じゃねぇーんだけどさぁ 」
「 いや、召喚の俺と、チャクラム使いのガルーシェだと今回みたいな遠距離戦はまだしも、接近戦だと不利になりやすいから、当分は “ 囮作戦 ” でいこう 」
ぶつくさ文句を言いながら木々の茂みから、逞しい体格に素早さを重視した最低限の防具を身に付けて、深緑色の髪と薄紫色の瞳を持つガルーシェが現れる。
ガルーシェの人差し指には円形の武器・チャクラムがぐるぐると回っている。 この武器がブレイズファルコンにとどめを真っ二つにしたんだろう。
「 自分を囮にしろ! って言う奴の神経はどうかしてるよ! 俺がタイミング誤れば、最悪死ぬぞ 」
「そう言いながら、1度も誤ったことはないだろう。 君の観察眼は信頼してる 」
「 はぁ、そもそもお前なぁ、お・ま・え、が魔物討伐をしなくちゃならなくなった原因は、ディアを連れ出した、お・れ・ら、にもあるんだぜぇ。 それを忘れてねぇか? 」
ガルーシェが8年前の【白数珠】が壊れディアの能力が暴走した件に罪悪感を抱いていることはファラットも知っている。 それはマヤとダルクも一緒だが、村長や村人の反対を押しきって魔物討伐を手伝ってくれたのはガルーシェだけだった。
ガルーシェの感の鋭さにどれだけ助けられたか、
「 それでもガルーシェには感謝してる 」
「 はぁ、まだ問題は解決してねぇけどな。 分かってるのか、もう期限は迫ってるって 」
「 分かっているよ。 そろそろ旅立った呪術一族の人達が戻ってくる時期だ。 なにか成果があるといいけど……」
「 そうだな。 もうちっと、巡回続けるか? 」
「 ああ 」
ガルーシェの言葉にファラットは頷き、巡回を再開して森の中を歩き出す。
ファラットとガルーシェは8年間、一緒に魔物討伐のペアを組んでおり、現在では “ 無二の親友 ” になっていた。
ーーーー
※リール視点。
リールは留守をカヤックとディアに任せ、実家の呪術一族の屋敷に訪れていた。
昔から一族に伝わる、あらゆる呪術に関する書物が保管されている部屋で片付けをしていた。
「 もう、お父様ったら、こんなに散らかさなくてもいいのに! あら、何かしら 」
リールは床に無造作に山ずみになって散らかっている奥に、縄で幾重にもぐるぐる巻きにされ呪符が貼られている、書物が入りそうな大きさの古びた木箱を見付ける。
( なんだろう……この箱、気になる )
好奇心に負けたリールは、呪符を剥がし縄をほどき木箱を開けて中を見てみる。
「 ただの書物じゃない、どうしてこんなに厳重に保管されているのかしら……? 」
リールはパラ……パラッと書物を開いて読んでいく。
「 これ、は――…… 」
そのあとに続く言葉は発せられず、リールの喉にゴクンっと飲み込まれ、
( この方法さえあれば、解決策が今すぐ見つからなくても、なんとかなるかもしれない。 さすがに、わたしでもコレは “ 代償 ” が必要だし、カヤックとの “ 約束 ” を破ることになるけど、ディアを助けられるなら些細なことだわ…… )
ディアを助けたい、ただその思いだけで、書物を熟読し続けた。
( 使わないなら、使わないでいい、あくまでもコレは保険……最後の “ 切り札 ” よ )
この時、リールが発見した書物が、後々に起きる “ 悲劇 ” の原因になることを誰も知らない。
ーーーー
※ファラット視点。
ガルーシェは森の奥を指差して、
「 おい、ファラット。 ここから北西に魔物の気配が感じるぞ。 数は……1体だな。 どうする? 」
「 そうだなぁ、 とりあえず様子だけ見るか、草食の魔物で村に危害がなければ、このままでもいいし、危害があるようなら……作戦どおり倒そう 」
「 了解。 でも、あんま無理すんなよ。 お前は魔物相手でも、わざと逃げられるように追い詰めてるから殺生するのに抵抗あんだろ 」
「 ……やっぱり、気付いてたんだ。 さすがだな 」
「 まぁ、8年前のこともあるし、力の流れを見ればなんとなく……んん? 」
「 どうした? 」
「 いや、北西から感じていた魔物の気配が消えた? 」
「 え……? 」
8年間、ずっと魔物の位置をガルーシェに探らせていたが、途中で気配が消えたのは今回がはじめてで、ファラットとガルーシェは困惑したが、
「 くそ、俺の調子が悪いのか 」
「 ガルーシェ、今日はここまでにして切り上げるか? 」
「 そう、だな。 調子が悪いまま続けても良くねぇし、村に帰るか 」
「 じゃあ、つかまれ 」
「 おう、いつも悪いな 」
ファラットとガルーシェは森の奥、北西方向には進まず、ファラットがカヤックから受け継いだテレポートの能力を使って村へ帰って行った。
ーーーー
※???視点。
森を北西に進んだ先、ガルーシェが魔物の気配が感じなくなった辺りで、
「 “ 結界 ” を越えなきゃ、生きながられたかも知んないのに、な。 兄さん、結界がゆるんでね? 」
ぷすぷすと黒焦げになった猪に似た魔物を足蹴にしながら見た目が18歳ぐらいの、漆黒の短い髪を揺らし長細く尖った耳に褐色の肌を持ち、つり目の鋭利な銀色の瞳は上空、いや、木の枝に腰をおろし、自分を見下ろしている、見た目が20歳ぐらいの兄を見上げる。
「 ふむ、そうだな。 結界を強めておくか 」
「 ったく、最近、魔物も増えてるし、南東にある人間の村で何かあるのか? 」
「 イース 」
「 なんだよ、ディース兄さん 」
「 もし、そうだとしても人間の世界のことは関わりないことだ。 気にするだけ、無駄だろう 」
「 無駄だけどさぁ、魔物の相手をされるのは “ ダークエルフ ” の、俺らじゃん。 エルフらは、引き込もって頼りにならねぇし」
「 彼等は “ 戦闘 ” が不得手だしな、得意なダークエルフで補えばいいだけだ。 結界も強化したし、帰るぞ 」
「 へいへい 」
「ふてくされるな、妻が美味しいミートパイを作ったから食べに来るか? 」
「 やった、義姉さんのミートパイ大好き! 行く行く 」
「 たく、もう100歳になるのに、まだ子供だな 」
「2000歳になる兄さんには言われなくねぇーよ。 もう、じ「 イース、これ以上は許さないよ 」
「 ぐっ 」
じじぃと続くはずだった言葉を、イースと呼ばれたダークエルフは必死に飲み込む。
親子ほど歳が離れた珍しいダークエルフの兄弟は森の奥へ、結界で守られた自分達の村へ帰って行く。
数ヶ月後のこの地で、イースは漆黒の瞳に、瞳と同じ色の軽やかなボブヘアーの少女と運命の出会いを果たすことになる。
※冒頭はファラット視点です。
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ディアの【白数珠】が壊れ “ 反動 ” で倒れた事件から8年の月日が流れ、ディアとファラットは18歳に成長し、ファラットは村長と呪術一族の長の約束どおりに魔物討伐に森へ来ていた。
ファラットは地面に魔方陣を描き終えると、上空から殺気を感じて、殺気に目線をむける。
( ん、あれは 『 ブレイズファルコン 』 だな )
火を吐き真っ赤に燃え盛る鷹に似た魔物・ブレイズファルコンが羽ばたいており、魔方陣を描くファラットを敵と見なしたのかファラットを見据えていた。
ファラットも上空のブレイズファルコンを見上げながら両手を左右に広げ、
「 〈 古の地から、この地に住まう者よ。 我の魔力を対価に、かの地から水流の能力を宿し “ 精霊 ” を此処へ、召喚せよ 〉 」
ファラットの呪文に共鳴するように、魔方陣から蒼白い光が溢れ、魔方陣の中心からざっぱんと水が溢れだし、その水は徐々に美しい水の精霊・ウンディーネに姿をかえる。
ウンディーネはブレイズファルコンから、ファラットを庇うように立ちはだかる。
ブレイズファルコンが口から火柱を、ファラット達をめがけ噴射し、
「 ウンディーネ、防いで! 」
ファラットの “ 命令 ” に従いウンディーネは水の盾を作り火柱を防ぐ。
防がれた火柱が森の木々へ燃え移ろうとして、
「 ウンディーネ、燃え移らないよう消火して! 」
ウンディーネは上空にたっぷんと水の塊を出現させ、ざっぱんと大雨の如く降らせて火柱を消火した。
ぐっ、ぐぐぅ……と、水が弱点のブレイズファルコンは呻き声をあげるが逃げる気配はなく。
( 何かあれば風の精霊にディアを癒すよう命じてあるけど……自然発生した魔物か、ディアが制御できなくて呼び出した魔物か判断出来ない以上、ディアの負担を考えれば極力倒したくない、けど )
「 ……倒すしかないのか 」
ブレイズファルコンは身体を覆う炎の温度をあげ、真っ赤に燃え盛る炎は青白く色をかえ猛スピードでファラットをめがけて飛んでくる。
弱点である水を司るウンディーネを倒せないならば、契約主であるファラットを倒してウンディーネを消滅させようと、ブレイズファルコンはそう判断したが、
「 無理だよ 」
ファラットの横を何かが通りすぎ、ブレイズファルコンを切り裂き、真っ二つに分かれたブレイズファルコンから炎が消え去り地面に落下する。
「 ふぅ、いい加減、この作戦やめねぇ、毎回、ハラハラして気が気じゃねぇーんだけどさぁ 」
「 いや、召喚の俺と、チャクラム使いのガルーシェだと今回みたいな遠距離戦はまだしも、接近戦だと不利になりやすいから、当分は “ 囮作戦 ” でいこう 」
ぶつくさ文句を言いながら木々の茂みから、逞しい体格に素早さを重視した最低限の防具を身に付けて、深緑色の髪と薄紫色の瞳を持つガルーシェが現れる。
ガルーシェの人差し指には円形の武器・チャクラムがぐるぐると回っている。 この武器がブレイズファルコンにとどめを真っ二つにしたんだろう。
「 自分を囮にしろ! って言う奴の神経はどうかしてるよ! 俺がタイミング誤れば、最悪死ぬぞ 」
「そう言いながら、1度も誤ったことはないだろう。 君の観察眼は信頼してる 」
「 はぁ、そもそもお前なぁ、お・ま・え、が魔物討伐をしなくちゃならなくなった原因は、ディアを連れ出した、お・れ・ら、にもあるんだぜぇ。 それを忘れてねぇか? 」
ガルーシェが8年前の【白数珠】が壊れディアの能力が暴走した件に罪悪感を抱いていることはファラットも知っている。 それはマヤとダルクも一緒だが、村長や村人の反対を押しきって魔物討伐を手伝ってくれたのはガルーシェだけだった。
ガルーシェの感の鋭さにどれだけ助けられたか、
「 それでもガルーシェには感謝してる 」
「 はぁ、まだ問題は解決してねぇけどな。 分かってるのか、もう期限は迫ってるって 」
「 分かっているよ。 そろそろ旅立った呪術一族の人達が戻ってくる時期だ。 なにか成果があるといいけど……」
「 そうだな。 もうちっと、巡回続けるか? 」
「 ああ 」
ガルーシェの言葉にファラットは頷き、巡回を再開して森の中を歩き出す。
ファラットとガルーシェは8年間、一緒に魔物討伐のペアを組んでおり、現在では “ 無二の親友 ” になっていた。
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※リール視点。
リールは留守をカヤックとディアに任せ、実家の呪術一族の屋敷に訪れていた。
昔から一族に伝わる、あらゆる呪術に関する書物が保管されている部屋で片付けをしていた。
「 もう、お父様ったら、こんなに散らかさなくてもいいのに! あら、何かしら 」
リールは床に無造作に山ずみになって散らかっている奥に、縄で幾重にもぐるぐる巻きにされ呪符が貼られている、書物が入りそうな大きさの古びた木箱を見付ける。
( なんだろう……この箱、気になる )
好奇心に負けたリールは、呪符を剥がし縄をほどき木箱を開けて中を見てみる。
「 ただの書物じゃない、どうしてこんなに厳重に保管されているのかしら……? 」
リールはパラ……パラッと書物を開いて読んでいく。
「 これ、は――…… 」
そのあとに続く言葉は発せられず、リールの喉にゴクンっと飲み込まれ、
( この方法さえあれば、解決策が今すぐ見つからなくても、なんとかなるかもしれない。 さすがに、わたしでもコレは “ 代償 ” が必要だし、カヤックとの “ 約束 ” を破ることになるけど、ディアを助けられるなら些細なことだわ…… )
ディアを助けたい、ただその思いだけで、書物を熟読し続けた。
( 使わないなら、使わないでいい、あくまでもコレは保険……最後の “ 切り札 ” よ )
この時、リールが発見した書物が、後々に起きる “ 悲劇 ” の原因になることを誰も知らない。
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※ファラット視点。
ガルーシェは森の奥を指差して、
「 おい、ファラット。 ここから北西に魔物の気配が感じるぞ。 数は……1体だな。 どうする? 」
「 そうだなぁ、 とりあえず様子だけ見るか、草食の魔物で村に危害がなければ、このままでもいいし、危害があるようなら……作戦どおり倒そう 」
「 了解。 でも、あんま無理すんなよ。 お前は魔物相手でも、わざと逃げられるように追い詰めてるから殺生するのに抵抗あんだろ 」
「 ……やっぱり、気付いてたんだ。 さすがだな 」
「 まぁ、8年前のこともあるし、力の流れを見ればなんとなく……んん? 」
「 どうした? 」
「 いや、北西から感じていた魔物の気配が消えた? 」
「 え……? 」
8年間、ずっと魔物の位置をガルーシェに探らせていたが、途中で気配が消えたのは今回がはじめてで、ファラットとガルーシェは困惑したが、
「 くそ、俺の調子が悪いのか 」
「 ガルーシェ、今日はここまでにして切り上げるか? 」
「 そう、だな。 調子が悪いまま続けても良くねぇし、村に帰るか 」
「 じゃあ、つかまれ 」
「 おう、いつも悪いな 」
ファラットとガルーシェは森の奥、北西方向には進まず、ファラットがカヤックから受け継いだテレポートの能力を使って村へ帰って行った。
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※???視点。
森を北西に進んだ先、ガルーシェが魔物の気配が感じなくなった辺りで、
「 “ 結界 ” を越えなきゃ、生きながられたかも知んないのに、な。 兄さん、結界がゆるんでね? 」
ぷすぷすと黒焦げになった猪に似た魔物を足蹴にしながら見た目が18歳ぐらいの、漆黒の短い髪を揺らし長細く尖った耳に褐色の肌を持ち、つり目の鋭利な銀色の瞳は上空、いや、木の枝に腰をおろし、自分を見下ろしている、見た目が20歳ぐらいの兄を見上げる。
「 ふむ、そうだな。 結界を強めておくか 」
「 ったく、最近、魔物も増えてるし、南東にある人間の村で何かあるのか? 」
「 イース 」
「 なんだよ、ディース兄さん 」
「 もし、そうだとしても人間の世界のことは関わりないことだ。 気にするだけ、無駄だろう 」
「 無駄だけどさぁ、魔物の相手をされるのは “ ダークエルフ ” の、俺らじゃん。 エルフらは、引き込もって頼りにならねぇし」
「 彼等は “ 戦闘 ” が不得手だしな、得意なダークエルフで補えばいいだけだ。 結界も強化したし、帰るぞ 」
「 へいへい 」
「ふてくされるな、妻が美味しいミートパイを作ったから食べに来るか? 」
「 やった、義姉さんのミートパイ大好き! 行く行く 」
「 たく、もう100歳になるのに、まだ子供だな 」
「2000歳になる兄さんには言われなくねぇーよ。 もう、じ「 イース、これ以上は許さないよ 」
「 ぐっ 」
じじぃと続くはずだった言葉を、イースと呼ばれたダークエルフは必死に飲み込む。
親子ほど歳が離れた珍しいダークエルフの兄弟は森の奥へ、結界で守られた自分達の村へ帰って行く。
数ヶ月後のこの地で、イースは漆黒の瞳に、瞳と同じ色の軽やかなボブヘアーの少女と運命の出会いを果たすことになる。
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