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銀髪と緋色の瞳の聖女と仲間達
"合成"スキルとガルフォンの体質
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「はぁはぁ」
髪も乱れてるフィル君が腕で顔の汗を拭う。
私は魔法鞄からタオルを取り出して、フィル君に手渡す。
「フィル君、タオル」
「ありがとう」
上空からダンッとティティとフゥが私達の近くへ降り立った。無傷の私の姿を確認して、
「はぁ、ハル…無事で…良かった」
「お頭!」
「残った火炎の…消化に時間が…かかって、遅れた。はぁ」
「お頭、怪我はっ!?」
「ん…大丈夫」
ガルフォンはティティに駆け寄り、身体の隅々まで無傷か確認する。
ポーンビッグが全部喰らったと思っていた火炎はまだ残っていたらしく、ティティが燃え広がらないよう消火活動してフィル君が私達の援護に向かったみたい。
ポーンビッグはフィル君とティティの圧倒的な強さを眼の辺りにして周辺の残った火炎を全部喰らうより、弱そうな私を喰らって強化を計ったが失敗したとフィン君の見解だ。
ガルフォンが10匹のポーンビッグの死体を指差して、
「さてとこいつらどうする?このまま放置も出来ねぇし、食うのに抵抗なければ食料にもなるし、角や皮…血液は"合成"の素材にも使えるから売却すればそれなりの値になるぞ」
このまま放置すれば他の魔物を呼び寄せる餌になり、此処を通った旅人や商人が襲われる危険もある。
「食べられるのは変わらないんだ?」
「ええ。前世と比べて、毒を持つ魔物が増えて食べられる種類は減りましたが。
ポーンビッグは脂肪がたっぷりあった千年前より、現在は脂肪が減ってさっぱりして美味しくなりました」
「フィル君、食べるの抵抗なくなったんだ?」
「え、えぇ。そう、ですね。イグニーアは抵抗ありましたね」
フィルシアールはないですよ。と、イグニーアの頃を思い出しているんだろうか、どこか遠くを見つめながらフィン君はぽつりと呟いていた。
「雑談中わりぃんだけど、血液だけ"魔力増加症"の薬の材料だがら欲しいんだがいいかぁ?」
ガルフォンは会話の邪魔をしたことを申し訳なさそうに切り出すが、私ははじめて聞く単語に、
「"魔力増加症"?」
「ああ、嬢ちゃんは知らねぇか。
"魔力枯渇症"は知ってか?」
「魔法を使いすぎて、身体の魔力量が0になるとでる禁断症状だよね」
私は頷きながら答える。
「"魔力増加症"は"魔力枯渇症"の逆だな。魔力が異常なほど増え続けるんだ」
「増えるならいいんじゃないの?」
「増える問題でな。人間の身体におさまる魔力量は人間によって違いはあるが、決まってるんだ」
「決まってるって?」
「んー、そうだな。例えばだな」
ガルフォンの右手に円筒形の背の高いグラスがポンッと現れた。
「坊主。この中に水をいれ続けてくれ」
フィル君はガルフォンがなにをしたいのが、理解して言われるまま魔法で作った水をグラスに注ぎ続ける。
「この水が魔力で、グラスが魔力が溜まる器みないなもんな。このまま増え続けると」
グラスからコポポと水が溢れだ。
「この溢れた魔力はどうなるの?」
「溢れた魔力は身体の外に出ようとするんだが、人間が魔力を排出できる量やスピードは決まってるから、排出だけじゃ追い付けなくなって身体の中で暴走する」
「暴走?」
「高熱に見舞われて、最悪死に至るな」
「えっ」
私は思わず息を飲んだ。
「ま。俺は魔法は使えねぇけど魔力の器がデカいのと、異空間で魔力を消費出来るからな、そこまで深刻じゃねーけど。この【魔力増幅抑止薬】は保険だな」
ガルフォンはコルク栓がされた四角の小瓶をポンッと右手に出した。中に詰まっている赤黒い丸薬がジャラと音をたてる。
「これが"魔力増加症"を抑える薬なの?」
「ああ、そうだ。これの材料に『ポーンビッグの血液』が必要なんだ」
「………………」
ガルフォンがこの【魔力増幅抑止薬】を持ってることは。
「ガルフォンは"魔力増加症"なの」
「…3年前からな」
ガルフォンは苦笑しながら軽く答えた。
家族が亡くなった時から?この疑問はガルフォンに聞けなかった。
「ガルフォン、ティティ『ブラックミケネコの髭』と『清らかな真珠』は持ってますか?」
フィル君はポーンビッグの血液が入った楕円形の小瓶を持っていた。いつの間にか血液を採取したらしい。
「それなら持っているが、どーするんだ?」
「この中に入れて下さい」
ポーンビッグの血液が入った楕円形の小瓶をガルフォンに差し出す。
「【魔力増幅抑止薬】を"合成"する気かぁ。
"合成"スキル保持者いねー…、嬢ちゃん持っていたかぁ。けど取得したばっかで失敗するんじゃねぇの」
ガルフォンは思い出したように私を指差す。
「"合成"スキルって【闇ギルド商会】で入手したスキルだよね?」
フィル君は頷く。
「今から"合成"スキルの使い方を教えます。小瓶に材料を入れます」
「分量は?」
「『ポーンビッグの血液100cc』と『ブラックミケネコの髭2本』『清らかな真珠4粒』で【魔力増幅抑止薬】100粒ほど出来ます」
【魔力増幅抑止薬】を200粒作るときは、そのまま倍の分量で作れます。と、フィル君は説明を付け足す。
「今回はじめてなので、100粒の分量で作りましょう」
フィル君が『ブラックミケネコの髭』2本と『清らかな真珠』4粒と『ポーンビッグの血液』100cc入った楕円形の小瓶を私に握らせる。
「このまま"合成"と唱えてください」
「"合成"」
私は言われるまま唱えると材料が入った楕円形の小瓶がパァと金色に輝いた。その輝きが消えたあと、恐る恐る両手を広げると楕円形の小瓶の中に赤黒い丸薬が【魔力増幅抑止薬】が出来上がった。
「成功したようですね」
フィル君は私の手元を覗きながら当たり前のように呟くが、
「成功したぁだとぉ!
薬品は上級レベルの"合成"だぞぉ。習得したばかりの嬢ちゃんが作れるなんて…まて、嬢ちゃん"合成"スキルのLvいくつだった?」
普通はLv0からのスタートだが嬢ちゃんは転移者(2度目)&転生者だ。
転生者は前世の経験値を引き継ぐとお頭も言っていたし、転移者であることも何か影響してもおかしくない。
「えーと、趣味も影響したのか…"合成"スキルのLvが…無限大…でした」
「趣味?」
「こ…小物やアクセサリー…あと、りょ料理や園芸とか、いろんなものを作ったり育てたりすることが好きなの。
ムツキの時も武器スキルの弓と生産スキルの料理が異常に高かったから…現代の生活も?影響されてると…思う?」
疑問系なのは転移者=聖女なので情報が無いに等しいからだ。
王宮で確認した時は引き継がれた経験値ばかり気にしていたが、前世ではLv50位だった料理スキルがハルではLv99と、カンスト間近だった。
髪も乱れてるフィル君が腕で顔の汗を拭う。
私は魔法鞄からタオルを取り出して、フィル君に手渡す。
「フィル君、タオル」
「ありがとう」
上空からダンッとティティとフゥが私達の近くへ降り立った。無傷の私の姿を確認して、
「はぁ、ハル…無事で…良かった」
「お頭!」
「残った火炎の…消化に時間が…かかって、遅れた。はぁ」
「お頭、怪我はっ!?」
「ん…大丈夫」
ガルフォンはティティに駆け寄り、身体の隅々まで無傷か確認する。
ポーンビッグが全部喰らったと思っていた火炎はまだ残っていたらしく、ティティが燃え広がらないよう消火活動してフィル君が私達の援護に向かったみたい。
ポーンビッグはフィル君とティティの圧倒的な強さを眼の辺りにして周辺の残った火炎を全部喰らうより、弱そうな私を喰らって強化を計ったが失敗したとフィン君の見解だ。
ガルフォンが10匹のポーンビッグの死体を指差して、
「さてとこいつらどうする?このまま放置も出来ねぇし、食うのに抵抗なければ食料にもなるし、角や皮…血液は"合成"の素材にも使えるから売却すればそれなりの値になるぞ」
このまま放置すれば他の魔物を呼び寄せる餌になり、此処を通った旅人や商人が襲われる危険もある。
「食べられるのは変わらないんだ?」
「ええ。前世と比べて、毒を持つ魔物が増えて食べられる種類は減りましたが。
ポーンビッグは脂肪がたっぷりあった千年前より、現在は脂肪が減ってさっぱりして美味しくなりました」
「フィル君、食べるの抵抗なくなったんだ?」
「え、えぇ。そう、ですね。イグニーアは抵抗ありましたね」
フィルシアールはないですよ。と、イグニーアの頃を思い出しているんだろうか、どこか遠くを見つめながらフィン君はぽつりと呟いていた。
「雑談中わりぃんだけど、血液だけ"魔力増加症"の薬の材料だがら欲しいんだがいいかぁ?」
ガルフォンは会話の邪魔をしたことを申し訳なさそうに切り出すが、私ははじめて聞く単語に、
「"魔力増加症"?」
「ああ、嬢ちゃんは知らねぇか。
"魔力枯渇症"は知ってか?」
「魔法を使いすぎて、身体の魔力量が0になるとでる禁断症状だよね」
私は頷きながら答える。
「"魔力増加症"は"魔力枯渇症"の逆だな。魔力が異常なほど増え続けるんだ」
「増えるならいいんじゃないの?」
「増える問題でな。人間の身体におさまる魔力量は人間によって違いはあるが、決まってるんだ」
「決まってるって?」
「んー、そうだな。例えばだな」
ガルフォンの右手に円筒形の背の高いグラスがポンッと現れた。
「坊主。この中に水をいれ続けてくれ」
フィル君はガルフォンがなにをしたいのが、理解して言われるまま魔法で作った水をグラスに注ぎ続ける。
「この水が魔力で、グラスが魔力が溜まる器みないなもんな。このまま増え続けると」
グラスからコポポと水が溢れだ。
「この溢れた魔力はどうなるの?」
「溢れた魔力は身体の外に出ようとするんだが、人間が魔力を排出できる量やスピードは決まってるから、排出だけじゃ追い付けなくなって身体の中で暴走する」
「暴走?」
「高熱に見舞われて、最悪死に至るな」
「えっ」
私は思わず息を飲んだ。
「ま。俺は魔法は使えねぇけど魔力の器がデカいのと、異空間で魔力を消費出来るからな、そこまで深刻じゃねーけど。この【魔力増幅抑止薬】は保険だな」
ガルフォンはコルク栓がされた四角の小瓶をポンッと右手に出した。中に詰まっている赤黒い丸薬がジャラと音をたてる。
「これが"魔力増加症"を抑える薬なの?」
「ああ、そうだ。これの材料に『ポーンビッグの血液』が必要なんだ」
「………………」
ガルフォンがこの【魔力増幅抑止薬】を持ってることは。
「ガルフォンは"魔力増加症"なの」
「…3年前からな」
ガルフォンは苦笑しながら軽く答えた。
家族が亡くなった時から?この疑問はガルフォンに聞けなかった。
「ガルフォン、ティティ『ブラックミケネコの髭』と『清らかな真珠』は持ってますか?」
フィル君はポーンビッグの血液が入った楕円形の小瓶を持っていた。いつの間にか血液を採取したらしい。
「それなら持っているが、どーするんだ?」
「この中に入れて下さい」
ポーンビッグの血液が入った楕円形の小瓶をガルフォンに差し出す。
「【魔力増幅抑止薬】を"合成"する気かぁ。
"合成"スキル保持者いねー…、嬢ちゃん持っていたかぁ。けど取得したばっかで失敗するんじゃねぇの」
ガルフォンは思い出したように私を指差す。
「"合成"スキルって【闇ギルド商会】で入手したスキルだよね?」
フィル君は頷く。
「今から"合成"スキルの使い方を教えます。小瓶に材料を入れます」
「分量は?」
「『ポーンビッグの血液100cc』と『ブラックミケネコの髭2本』『清らかな真珠4粒』で【魔力増幅抑止薬】100粒ほど出来ます」
【魔力増幅抑止薬】を200粒作るときは、そのまま倍の分量で作れます。と、フィル君は説明を付け足す。
「今回はじめてなので、100粒の分量で作りましょう」
フィル君が『ブラックミケネコの髭』2本と『清らかな真珠』4粒と『ポーンビッグの血液』100cc入った楕円形の小瓶を私に握らせる。
「このまま"合成"と唱えてください」
「"合成"」
私は言われるまま唱えると材料が入った楕円形の小瓶がパァと金色に輝いた。その輝きが消えたあと、恐る恐る両手を広げると楕円形の小瓶の中に赤黒い丸薬が【魔力増幅抑止薬】が出来上がった。
「成功したようですね」
フィル君は私の手元を覗きながら当たり前のように呟くが、
「成功したぁだとぉ!
薬品は上級レベルの"合成"だぞぉ。習得したばかりの嬢ちゃんが作れるなんて…まて、嬢ちゃん"合成"スキルのLvいくつだった?」
普通はLv0からのスタートだが嬢ちゃんは転移者(2度目)&転生者だ。
転生者は前世の経験値を引き継ぐとお頭も言っていたし、転移者であることも何か影響してもおかしくない。
「えーと、趣味も影響したのか…"合成"スキルのLvが…無限大…でした」
「趣味?」
「こ…小物やアクセサリー…あと、りょ料理や園芸とか、いろんなものを作ったり育てたりすることが好きなの。
ムツキの時も武器スキルの弓と生産スキルの料理が異常に高かったから…現代の生活も?影響されてると…思う?」
疑問系なのは転移者=聖女なので情報が無いに等しいからだ。
王宮で確認した時は引き継がれた経験値ばかり気にしていたが、前世ではLv50位だった料理スキルがハルではLv99と、カンスト間近だった。
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