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銀髪と緋色の瞳の聖女と仲間達
"浄化"と出会い② ※前半前世・ムツキ視点、後半現世・主人公視点
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「ムツキ、先程の続きですが」
「「…………」」
やっぱり、気付いてない。
さっきからルルリナさんから凄い圧を感じる。
「体内の魔力循環は出来ているので、身体の外へ放出する練習をしようと思います」
「練習?どうするの?」
「イグニーア殿下とムツキ様がなさっていたことと同じことを私となさいますわ」
ムツキの問いにルルリナが穏やかに微笑みながら答える。
「ルルリナさんと?」
ムツキの顔に「このままイグニじゃ、ダメなの?」と、疑問が思い切り出ていたので、
「ええ。…その、あまり気分を悪くなさらないで聞いてほしいんですけど…」
ルルリナは言いにくそうに、
「このディアーナ王国…いえ、この世界と、言ったほうがよろしいかしら、あんまり異性と〈ふたりきり〉になることを良く思わない方々が多いですの。婚約者がおられる異性ならば、なおのこと」
「ルルリナの話によると、ぼくがムツキとふたりきりで魔法の指導していることに問題視する声が上がっているようなんです」
なんとなくイグニと一緒に王宮を歩いてる時に、周りから感じる視線でそんな気はしていたけど。
「こちらの都合で、ムツキを召喚して、故郷を、親族や友人達と引き離しておいて、おかしな話です」
イグニはムツキの〈想い〉を代弁する。
「それは……そうですが、人々の〈想い〉も否定しないで下さいませ」
ルルリナもイグニの言葉に一理はあると、頭では分かっているんだろう、言い淀んで、自分も含め、周りの〈想い〉も理解して欲しいと、イグニを窘める。
「今の王宮の状況を解決するためにも、私もムツキ様の指導に参加されるのですわ。
私が居れば、イグニーア殿下との〈ふたりきり〉ではなくなりますもの」
そう言って花のように笑う少女は、ムツキから見ても恋する乙女だった。
そんなやり取りから3日後の午後、魔法練習場でムツキはルルリナと向かい合いながら、手を繋いで、魔力を身体の外へ流す練習していた。
イグニも近くでふたりを見守っている。
「"呪文"とか、あればいいのに」
「「"呪文"ですか?」
とは?」
ムツキの何気ない呟きにイグニは「ですか?」と、ルルリナは「とは?」と、疑問符をうかべる。
「えっと、わたしの世界の創作の物語で、魔法を使うときに「その魔法」の"呪文"があるの。
火だと「ファイア」水だと「ウォーター」傷を癒す魔法だと「ケアル」や「ヒール」とか」
「この世界に"呪文"は…」
「……ございませんね」
「やっぱり、そうか」
"呪文"教えてるよね。
相手に魔力を流すことも上手くいかないし、どうしたらいいんだろう。
「ふたりは、どうやって魔法を使っているの?コツとかあるの?」
ムツキは悩んだ末にイグニとルルリナに問いかける。
「そうですわね。
私の血筋は魔法より"感知・探索"のスキルが長けているので、これぐらいしか出来ないんですけれども…」
ルルリナの中心に薄紫色の光が包み、光が消えると、ルルリナの両手におさまるぐらいの、
「わぁ、紫の薔薇」
「これは"創作魔法"と言って術者がイメージしたモノを生み出す魔法ですわ。
私の魔法属性は闇だけですので"創作"したモノは全部、紫色になってしまいますけど」
「ムツキ、見てて下さい」
イグニは左手に「鎌鼬の刃のような風」と右手に「水の矢」を魔法で出現させた。
「ぼくが使った"戦闘魔法"と"創作魔法"それから洋燈に明かりを灯したりする“生活魔法”の発動条件は全て一緒で想像…〈想像〉すること」
「イメージ?
イグニは「刃物」と「矢」で、ルルリナさんは「薔薇」ってこと?」
「ええ、そうです。
ムツキ、試しに"呪文"を唱えながら魔法を発動してみて」
「"呪文"ないんだよね?」
「“呪文”の話を聞いてから、確認したいことがあるんです」
「……分かった?」
「?」
ムツキとルルリナはイグニが何を確認したいのが分からずにクエスチョンマークを浮かべる。
「火と土、聖属性魔法、どれでもいいの?」
「聖属性魔法は「聖女」しか使えない属性で、ぼくには確認し難いので火か土でお願いします」
「…分かった?」
(何を確認したいんだろう?)
ムツキは魔法失敗の爆発にふたりを巻き込まないように距離をとると、
(えーと、土魔法の“呪文”ってなんだっけ?
たしか…)
「「ストーン」」
ムツキの周りの地面から「石」が集まって、ぷかぷかと浮いていた。
「ええっ⁉︎」
「まぁ!」
「……やはり」
ムツキとルルリナは驚愕、イグニはどこか納得した様子だった。
「えーと「ファイアボール」?」
ムツキは戸惑いながら唱えると、ムツキの周りにボッボッと「火球体」が現れた。
「イグニ、これって?」
「イグニーア殿下、これは?」
「恐らくムツキの中で“呪文”と“想像”は同義なんです」
イグニが地面にディアーナ王国の文字で「呪文=想像」と書く。
「“想像”だけで足りない部分を“呪文”という“言葉”で補って魔法発動させたように見えます」
地面の文字に「呪文=想像×」「呪文」の下に縦で=を書き「言葉○」を書き足した。
×は失敗で○は成功。
「このままでも問題ないの?」
「それは……魔物相手になるますと…」
ルルリナは言い淀んで、
「魔物も知能があると言われています。
“呪文”の後に魔法発動していることに気付いたら、ムツキが“呪文”前に倒しに来るでしょう。
接近戦になったらムツキに不利なので“呪文”がなくても魔法発動出来るよう頑張ろう」
イグニは爽やかな笑顔でムツキに爆弾を落として、ムツキが“想像”だけで魔法を成功させるのに1ヶ月ほど時間がかかった。
その後、ムツキが〈ひとり〉で出立予定だった魔王【封印】の旅にイグニが護衛として同行を願い出て、急遽〈ふたり旅〉になる。
「「…………」」
やっぱり、気付いてない。
さっきからルルリナさんから凄い圧を感じる。
「体内の魔力循環は出来ているので、身体の外へ放出する練習をしようと思います」
「練習?どうするの?」
「イグニーア殿下とムツキ様がなさっていたことと同じことを私となさいますわ」
ムツキの問いにルルリナが穏やかに微笑みながら答える。
「ルルリナさんと?」
ムツキの顔に「このままイグニじゃ、ダメなの?」と、疑問が思い切り出ていたので、
「ええ。…その、あまり気分を悪くなさらないで聞いてほしいんですけど…」
ルルリナは言いにくそうに、
「このディアーナ王国…いえ、この世界と、言ったほうがよろしいかしら、あんまり異性と〈ふたりきり〉になることを良く思わない方々が多いですの。婚約者がおられる異性ならば、なおのこと」
「ルルリナの話によると、ぼくがムツキとふたりきりで魔法の指導していることに問題視する声が上がっているようなんです」
なんとなくイグニと一緒に王宮を歩いてる時に、周りから感じる視線でそんな気はしていたけど。
「こちらの都合で、ムツキを召喚して、故郷を、親族や友人達と引き離しておいて、おかしな話です」
イグニはムツキの〈想い〉を代弁する。
「それは……そうですが、人々の〈想い〉も否定しないで下さいませ」
ルルリナもイグニの言葉に一理はあると、頭では分かっているんだろう、言い淀んで、自分も含め、周りの〈想い〉も理解して欲しいと、イグニを窘める。
「今の王宮の状況を解決するためにも、私もムツキ様の指導に参加されるのですわ。
私が居れば、イグニーア殿下との〈ふたりきり〉ではなくなりますもの」
そう言って花のように笑う少女は、ムツキから見ても恋する乙女だった。
そんなやり取りから3日後の午後、魔法練習場でムツキはルルリナと向かい合いながら、手を繋いで、魔力を身体の外へ流す練習していた。
イグニも近くでふたりを見守っている。
「"呪文"とか、あればいいのに」
「「"呪文"ですか?」
とは?」
ムツキの何気ない呟きにイグニは「ですか?」と、ルルリナは「とは?」と、疑問符をうかべる。
「えっと、わたしの世界の創作の物語で、魔法を使うときに「その魔法」の"呪文"があるの。
火だと「ファイア」水だと「ウォーター」傷を癒す魔法だと「ケアル」や「ヒール」とか」
「この世界に"呪文"は…」
「……ございませんね」
「やっぱり、そうか」
"呪文"教えてるよね。
相手に魔力を流すことも上手くいかないし、どうしたらいいんだろう。
「ふたりは、どうやって魔法を使っているの?コツとかあるの?」
ムツキは悩んだ末にイグニとルルリナに問いかける。
「そうですわね。
私の血筋は魔法より"感知・探索"のスキルが長けているので、これぐらいしか出来ないんですけれども…」
ルルリナの中心に薄紫色の光が包み、光が消えると、ルルリナの両手におさまるぐらいの、
「わぁ、紫の薔薇」
「これは"創作魔法"と言って術者がイメージしたモノを生み出す魔法ですわ。
私の魔法属性は闇だけですので"創作"したモノは全部、紫色になってしまいますけど」
「ムツキ、見てて下さい」
イグニは左手に「鎌鼬の刃のような風」と右手に「水の矢」を魔法で出現させた。
「ぼくが使った"戦闘魔法"と"創作魔法"それから洋燈に明かりを灯したりする“生活魔法”の発動条件は全て一緒で想像…〈想像〉すること」
「イメージ?
イグニは「刃物」と「矢」で、ルルリナさんは「薔薇」ってこと?」
「ええ、そうです。
ムツキ、試しに"呪文"を唱えながら魔法を発動してみて」
「"呪文"ないんだよね?」
「“呪文”の話を聞いてから、確認したいことがあるんです」
「……分かった?」
「?」
ムツキとルルリナはイグニが何を確認したいのが分からずにクエスチョンマークを浮かべる。
「火と土、聖属性魔法、どれでもいいの?」
「聖属性魔法は「聖女」しか使えない属性で、ぼくには確認し難いので火か土でお願いします」
「…分かった?」
(何を確認したいんだろう?)
ムツキは魔法失敗の爆発にふたりを巻き込まないように距離をとると、
(えーと、土魔法の“呪文”ってなんだっけ?
たしか…)
「「ストーン」」
ムツキの周りの地面から「石」が集まって、ぷかぷかと浮いていた。
「ええっ⁉︎」
「まぁ!」
「……やはり」
ムツキとルルリナは驚愕、イグニはどこか納得した様子だった。
「えーと「ファイアボール」?」
ムツキは戸惑いながら唱えると、ムツキの周りにボッボッと「火球体」が現れた。
「イグニ、これって?」
「イグニーア殿下、これは?」
「恐らくムツキの中で“呪文”と“想像”は同義なんです」
イグニが地面にディアーナ王国の文字で「呪文=想像」と書く。
「“想像”だけで足りない部分を“呪文”という“言葉”で補って魔法発動させたように見えます」
地面の文字に「呪文=想像×」「呪文」の下に縦で=を書き「言葉○」を書き足した。
×は失敗で○は成功。
「このままでも問題ないの?」
「それは……魔物相手になるますと…」
ルルリナは言い淀んで、
「魔物も知能があると言われています。
“呪文”の後に魔法発動していることに気付いたら、ムツキが“呪文”前に倒しに来るでしょう。
接近戦になったらムツキに不利なので“呪文”がなくても魔法発動出来るよう頑張ろう」
イグニは爽やかな笑顔でムツキに爆弾を落として、ムツキが“想像”だけで魔法を成功させるのに1ヶ月ほど時間がかかった。
その後、ムツキが〈ひとり〉で出立予定だった魔王【封印】の旅にイグニが護衛として同行を願い出て、急遽〈ふたり旅〉になる。
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