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銀髪と緋色の瞳の聖女と仲間達
約束
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『ここは…』
(何処?)
ティーニャは上下左右何処までも綺麗な青空が広がる不思議な空間に真っ白な光の玉を抱えて立っていた。
遠くに『魔王神殿』の奥、ムツキの身体に寄り掛かって動かないティーニャと聖女達と魔王が“封印”されてる部屋が見えた。
『ムツキのところへ戻らないと』
光の玉を抱えたままティーニャはムツキが居る『魔王神殿』へ歩き始めたが1時間、2時間、何時間過ぎても『魔王神殿』に辿り着けなかった。
パシャ
『…水』
(空だと思っていた)
ティーニャは空だと思っていた足元が真上に広がる青空を鏡の様に映している水だと気付いた。自分の足元からムツキが居る『魔王神殿』に眼線を戻すとティーニャはある事に気付いた。
(アレは私が抱えてる光の玉と一緒?)
聖女達の身体の中心からティーニャが抱えている光の玉と同じモノがあるのに気付いた。
(ムツキの光が小さい?)
ムツキと聖女達の真っ白な光を見比べると、ムツキだけ半分ぐらいの大きさだった。
(私が持ってる光とムツキの光を足したら同じぐらいの大きさになる)
そうぼんやり思っていると
『…ニャ』
『っ!』
微かにムツキの声が聞こえて、ティーニャは周りを見渡した。
『ティーニャ』
『ムツキ何処?』
(『魔王神殿』じゃないの⁇)
ティーニャは『魔王神殿』に居るムツキを見つめてると
『下だよ』
(下?)
足元を見るが水面に映った青空とティーニャと手元の光の玉しかなかった。
『ティーニャ!時間がないの、早くしないといけなくなる』
『い…いけ?』
『このままだとティーニャがおちてしまうの!』
ティーニャは意味も分からず首を傾げてると、手元の光の玉がポゥと輝いて上へ、ティーニャの顔の前まで浮かんだ。
『一緒にいこう』
眼の前の光の玉からムツキの声が聞こえた。
『ムツキなの?』
『うん、魂の半分だけ』
『半分?』
『もう半分はわたしの身体』
ムツキの言葉を聞いて、ティーニャは『魔王神殿』の聖女達とティーニャと『魔王』を見る、聖女達だけ光の玉が見える。
(九千年“封印”されてる『魔王』の生死は分からないけど…)
ティーニャはムツキとおでこをコツンとすると
(今、ここに居るわたしは…魂なのね)
そうティーニャは死んだ。
『ムツキ守れなくてごめんね』
『わたしも…巻き込んで、ごめんねぇ』
ディアーナ王国の問題に巻き込まれたのはムツキなのに。
(魂の半分は人狼族の“輪廻転生”に巻き込まれるだろう)
もう一度会えるか分からないけど。
『生まれ変わったら、また会おうね』
『また?』
『うん。また会ってイーディスをぶん殴って』
恋人の一大事に何をしてたんだ!ってね、ティーニャはそう言うと一呼吸して
『クゥとクゥの子供に会いに行こう、約束ね』
『…クゥの…子供?えっ、まって、どういうこと⁇』
急なカミングアウトにムツキが戸惑っていると、ティーニャはくすくすと笑う。
『わたしとクゥしか知らないけど、クゥのお腹に赤ちゃんがいるの』
クゥの妊娠を知らせる為に王宮に行った時に聖女が魔王の“封印”の“生贄”だった事を知った。イーディスとイグニも探したけど見つからなかった。
『生まれ変わったら…だよね?クゥ生きてるかな?』
『大丈夫だよ。クゥの“幻狼”の寿命は三千年~四千年だから間に合うと思う』
“輪廻転生”は約千年の前後に人狼族は転生してる。
前世の記憶の有無は個人それぞれだが、寿命以外の死因…殺害や病死、事故死など未練を残した人狼族は必ず真っ白な毛並み、金色の瞳で前世の記憶を持って生まれる。
『イーディスはダークエルフだから生きてる可能性が高いし』
ティーニャはムツキを安心させる為に説明を続ける。
ダークエルフは“幻狼”以上に長寿で魔力さえ在れば食事しなくても生きていける魔法や自然を操る事に長けた種族だ。
『…ねぇ、ティーニャ』
『ん、どうしたの?』
『イグニとは…もう会えないよね“生贄”の事知っていたかどうかも確認出来ないよね?』
ムツキの問いにティーニャは何も答えられたかった。
(イグニは人間だ。わたし達の転生後はもう死んでいる)
”輪廻転生”を使わなくても転生だけは出来るけど、ただそれは千年以上の何万年と月日が必要だった。
(わたしは“輪廻転生”あるから時間がかかっても、イグニが前世の記憶は持っていなくても生まれ変わりに会える可能性がある)
ムツキとイグニの生まれ変わりが会える可能性はとても低い。
『イグニは…わたしがイグニが生まれ変わるのを待って“真実”を確認してからぶん殴る!前世の記憶がなくても、思い出させてぶん殴るからムツキは安心して』
ティーニャの瞳から涙が溢れて、ムツキと同じ光の玉となって一緒に上へ上空に飛んで逝った。
完璧に“封印”されていた魔王の“封印”を不完全にした人が居た事をこの時は誰も知らない。
(何処?)
ティーニャは上下左右何処までも綺麗な青空が広がる不思議な空間に真っ白な光の玉を抱えて立っていた。
遠くに『魔王神殿』の奥、ムツキの身体に寄り掛かって動かないティーニャと聖女達と魔王が“封印”されてる部屋が見えた。
『ムツキのところへ戻らないと』
光の玉を抱えたままティーニャはムツキが居る『魔王神殿』へ歩き始めたが1時間、2時間、何時間過ぎても『魔王神殿』に辿り着けなかった。
パシャ
『…水』
(空だと思っていた)
ティーニャは空だと思っていた足元が真上に広がる青空を鏡の様に映している水だと気付いた。自分の足元からムツキが居る『魔王神殿』に眼線を戻すとティーニャはある事に気付いた。
(アレは私が抱えてる光の玉と一緒?)
聖女達の身体の中心からティーニャが抱えている光の玉と同じモノがあるのに気付いた。
(ムツキの光が小さい?)
ムツキと聖女達の真っ白な光を見比べると、ムツキだけ半分ぐらいの大きさだった。
(私が持ってる光とムツキの光を足したら同じぐらいの大きさになる)
そうぼんやり思っていると
『…ニャ』
『っ!』
微かにムツキの声が聞こえて、ティーニャは周りを見渡した。
『ティーニャ』
『ムツキ何処?』
(『魔王神殿』じゃないの⁇)
ティーニャは『魔王神殿』に居るムツキを見つめてると
『下だよ』
(下?)
足元を見るが水面に映った青空とティーニャと手元の光の玉しかなかった。
『ティーニャ!時間がないの、早くしないといけなくなる』
『い…いけ?』
『このままだとティーニャがおちてしまうの!』
ティーニャは意味も分からず首を傾げてると、手元の光の玉がポゥと輝いて上へ、ティーニャの顔の前まで浮かんだ。
『一緒にいこう』
眼の前の光の玉からムツキの声が聞こえた。
『ムツキなの?』
『うん、魂の半分だけ』
『半分?』
『もう半分はわたしの身体』
ムツキの言葉を聞いて、ティーニャは『魔王神殿』の聖女達とティーニャと『魔王』を見る、聖女達だけ光の玉が見える。
(九千年“封印”されてる『魔王』の生死は分からないけど…)
ティーニャはムツキとおでこをコツンとすると
(今、ここに居るわたしは…魂なのね)
そうティーニャは死んだ。
『ムツキ守れなくてごめんね』
『わたしも…巻き込んで、ごめんねぇ』
ディアーナ王国の問題に巻き込まれたのはムツキなのに。
(魂の半分は人狼族の“輪廻転生”に巻き込まれるだろう)
もう一度会えるか分からないけど。
『生まれ変わったら、また会おうね』
『また?』
『うん。また会ってイーディスをぶん殴って』
恋人の一大事に何をしてたんだ!ってね、ティーニャはそう言うと一呼吸して
『クゥとクゥの子供に会いに行こう、約束ね』
『…クゥの…子供?えっ、まって、どういうこと⁇』
急なカミングアウトにムツキが戸惑っていると、ティーニャはくすくすと笑う。
『わたしとクゥしか知らないけど、クゥのお腹に赤ちゃんがいるの』
クゥの妊娠を知らせる為に王宮に行った時に聖女が魔王の“封印”の“生贄”だった事を知った。イーディスとイグニも探したけど見つからなかった。
『生まれ変わったら…だよね?クゥ生きてるかな?』
『大丈夫だよ。クゥの“幻狼”の寿命は三千年~四千年だから間に合うと思う』
“輪廻転生”は約千年の前後に人狼族は転生してる。
前世の記憶の有無は個人それぞれだが、寿命以外の死因…殺害や病死、事故死など未練を残した人狼族は必ず真っ白な毛並み、金色の瞳で前世の記憶を持って生まれる。
『イーディスはダークエルフだから生きてる可能性が高いし』
ティーニャはムツキを安心させる為に説明を続ける。
ダークエルフは“幻狼”以上に長寿で魔力さえ在れば食事しなくても生きていける魔法や自然を操る事に長けた種族だ。
『…ねぇ、ティーニャ』
『ん、どうしたの?』
『イグニとは…もう会えないよね“生贄”の事知っていたかどうかも確認出来ないよね?』
ムツキの問いにティーニャは何も答えられたかった。
(イグニは人間だ。わたし達の転生後はもう死んでいる)
”輪廻転生”を使わなくても転生だけは出来るけど、ただそれは千年以上の何万年と月日が必要だった。
(わたしは“輪廻転生”あるから時間がかかっても、イグニが前世の記憶は持っていなくても生まれ変わりに会える可能性がある)
ムツキとイグニの生まれ変わりが会える可能性はとても低い。
『イグニは…わたしがイグニが生まれ変わるのを待って“真実”を確認してからぶん殴る!前世の記憶がなくても、思い出させてぶん殴るからムツキは安心して』
ティーニャの瞳から涙が溢れて、ムツキと同じ光の玉となって一緒に上へ上空に飛んで逝った。
完璧に“封印”されていた魔王の“封印”を不完全にした人が居た事をこの時は誰も知らない。
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