26 / 52
銀髪と緋色の瞳の聖女と仲間達
約束
しおりを挟む
『ここは…』
(何処?)
ティーニャは上下左右何処までも綺麗な青空が広がる不思議な空間に真っ白な光の玉を抱えて立っていた。
遠くに『魔王神殿』の奥、ムツキの身体に寄り掛かって動かないティーニャと聖女達と魔王が“封印”されてる部屋が見えた。
『ムツキのところへ戻らないと』
光の玉を抱えたままティーニャはムツキが居る『魔王神殿』へ歩き始めたが1時間、2時間、何時間過ぎても『魔王神殿』に辿り着けなかった。
パシャ
『…水』
(空だと思っていた)
ティーニャは空だと思っていた足元が真上に広がる青空を鏡の様に映している水だと気付いた。自分の足元からムツキが居る『魔王神殿』に眼線を戻すとティーニャはある事に気付いた。
(アレは私が抱えてる光の玉と一緒?)
聖女達の身体の中心からティーニャが抱えている光の玉と同じモノがあるのに気付いた。
(ムツキの光が小さい?)
ムツキと聖女達の真っ白な光を見比べると、ムツキだけ半分ぐらいの大きさだった。
(私が持ってる光とムツキの光を足したら同じぐらいの大きさになる)
そうぼんやり思っていると
『…ニャ』
『っ!』
微かにムツキの声が聞こえて、ティーニャは周りを見渡した。
『ティーニャ』
『ムツキ何処?』
(『魔王神殿』じゃないの⁇)
ティーニャは『魔王神殿』に居るムツキを見つめてると
『下だよ』
(下?)
足元を見るが水面に映った青空とティーニャと手元の光の玉しかなかった。
『ティーニャ!時間がないの、早くしないといけなくなる』
『い…いけ?』
『このままだとティーニャがおちてしまうの!』
ティーニャは意味も分からず首を傾げてると、手元の光の玉がポゥと輝いて上へ、ティーニャの顔の前まで浮かんだ。
『一緒にいこう』
眼の前の光の玉からムツキの声が聞こえた。
『ムツキなの?』
『うん、魂の半分だけ』
『半分?』
『もう半分はわたしの身体』
ムツキの言葉を聞いて、ティーニャは『魔王神殿』の聖女達とティーニャと『魔王』を見る、聖女達だけ光の玉が見える。
(九千年“封印”されてる『魔王』の生死は分からないけど…)
ティーニャはムツキとおでこをコツンとすると
(今、ここに居るわたしは…魂なのね)
そうティーニャは死んだ。
『ムツキ守れなくてごめんね』
『わたしも…巻き込んで、ごめんねぇ』
ディアーナ王国の問題に巻き込まれたのはムツキなのに。
(魂の半分は人狼族の“輪廻転生”に巻き込まれるだろう)
もう一度会えるか分からないけど。
『生まれ変わったら、また会おうね』
『また?』
『うん。また会ってイーディスをぶん殴って』
恋人の一大事に何をしてたんだ!ってね、ティーニャはそう言うと一呼吸して
『クゥとクゥの子供に会いに行こう、約束ね』
『…クゥの…子供?えっ、まって、どういうこと⁇』
急なカミングアウトにムツキが戸惑っていると、ティーニャはくすくすと笑う。
『わたしとクゥしか知らないけど、クゥのお腹に赤ちゃんがいるの』
クゥの妊娠を知らせる為に王宮に行った時に聖女が魔王の“封印”の“生贄”だった事を知った。イーディスとイグニも探したけど見つからなかった。
『生まれ変わったら…だよね?クゥ生きてるかな?』
『大丈夫だよ。クゥの“幻狼”の寿命は三千年~四千年だから間に合うと思う』
“輪廻転生”は約千年の前後に人狼族は転生してる。
前世の記憶の有無は個人それぞれだが、寿命以外の死因…殺害や病死、事故死など未練を残した人狼族は必ず真っ白な毛並み、金色の瞳で前世の記憶を持って生まれる。
『イーディスはダークエルフだから生きてる可能性が高いし』
ティーニャはムツキを安心させる為に説明を続ける。
ダークエルフは“幻狼”以上に長寿で魔力さえ在れば食事しなくても生きていける魔法や自然を操る事に長けた種族だ。
『…ねぇ、ティーニャ』
『ん、どうしたの?』
『イグニとは…もう会えないよね“生贄”の事知っていたかどうかも確認出来ないよね?』
ムツキの問いにティーニャは何も答えられたかった。
(イグニは人間だ。わたし達の転生後はもう死んでいる)
”輪廻転生”を使わなくても転生だけは出来るけど、ただそれは千年以上の何万年と月日が必要だった。
(わたしは“輪廻転生”あるから時間がかかっても、イグニが前世の記憶は持っていなくても生まれ変わりに会える可能性がある)
ムツキとイグニの生まれ変わりが会える可能性はとても低い。
『イグニは…わたしがイグニが生まれ変わるのを待って“真実”を確認してからぶん殴る!前世の記憶がなくても、思い出させてぶん殴るからムツキは安心して』
ティーニャの瞳から涙が溢れて、ムツキと同じ光の玉となって一緒に上へ上空に飛んで逝った。
完璧に“封印”されていた魔王の“封印”を不完全にした人が居た事をこの時は誰も知らない。
(何処?)
ティーニャは上下左右何処までも綺麗な青空が広がる不思議な空間に真っ白な光の玉を抱えて立っていた。
遠くに『魔王神殿』の奥、ムツキの身体に寄り掛かって動かないティーニャと聖女達と魔王が“封印”されてる部屋が見えた。
『ムツキのところへ戻らないと』
光の玉を抱えたままティーニャはムツキが居る『魔王神殿』へ歩き始めたが1時間、2時間、何時間過ぎても『魔王神殿』に辿り着けなかった。
パシャ
『…水』
(空だと思っていた)
ティーニャは空だと思っていた足元が真上に広がる青空を鏡の様に映している水だと気付いた。自分の足元からムツキが居る『魔王神殿』に眼線を戻すとティーニャはある事に気付いた。
(アレは私が抱えてる光の玉と一緒?)
聖女達の身体の中心からティーニャが抱えている光の玉と同じモノがあるのに気付いた。
(ムツキの光が小さい?)
ムツキと聖女達の真っ白な光を見比べると、ムツキだけ半分ぐらいの大きさだった。
(私が持ってる光とムツキの光を足したら同じぐらいの大きさになる)
そうぼんやり思っていると
『…ニャ』
『っ!』
微かにムツキの声が聞こえて、ティーニャは周りを見渡した。
『ティーニャ』
『ムツキ何処?』
(『魔王神殿』じゃないの⁇)
ティーニャは『魔王神殿』に居るムツキを見つめてると
『下だよ』
(下?)
足元を見るが水面に映った青空とティーニャと手元の光の玉しかなかった。
『ティーニャ!時間がないの、早くしないといけなくなる』
『い…いけ?』
『このままだとティーニャがおちてしまうの!』
ティーニャは意味も分からず首を傾げてると、手元の光の玉がポゥと輝いて上へ、ティーニャの顔の前まで浮かんだ。
『一緒にいこう』
眼の前の光の玉からムツキの声が聞こえた。
『ムツキなの?』
『うん、魂の半分だけ』
『半分?』
『もう半分はわたしの身体』
ムツキの言葉を聞いて、ティーニャは『魔王神殿』の聖女達とティーニャと『魔王』を見る、聖女達だけ光の玉が見える。
(九千年“封印”されてる『魔王』の生死は分からないけど…)
ティーニャはムツキとおでこをコツンとすると
(今、ここに居るわたしは…魂なのね)
そうティーニャは死んだ。
『ムツキ守れなくてごめんね』
『わたしも…巻き込んで、ごめんねぇ』
ディアーナ王国の問題に巻き込まれたのはムツキなのに。
(魂の半分は人狼族の“輪廻転生”に巻き込まれるだろう)
もう一度会えるか分からないけど。
『生まれ変わったら、また会おうね』
『また?』
『うん。また会ってイーディスをぶん殴って』
恋人の一大事に何をしてたんだ!ってね、ティーニャはそう言うと一呼吸して
『クゥとクゥの子供に会いに行こう、約束ね』
『…クゥの…子供?えっ、まって、どういうこと⁇』
急なカミングアウトにムツキが戸惑っていると、ティーニャはくすくすと笑う。
『わたしとクゥしか知らないけど、クゥのお腹に赤ちゃんがいるの』
クゥの妊娠を知らせる為に王宮に行った時に聖女が魔王の“封印”の“生贄”だった事を知った。イーディスとイグニも探したけど見つからなかった。
『生まれ変わったら…だよね?クゥ生きてるかな?』
『大丈夫だよ。クゥの“幻狼”の寿命は三千年~四千年だから間に合うと思う』
“輪廻転生”は約千年の前後に人狼族は転生してる。
前世の記憶の有無は個人それぞれだが、寿命以外の死因…殺害や病死、事故死など未練を残した人狼族は必ず真っ白な毛並み、金色の瞳で前世の記憶を持って生まれる。
『イーディスはダークエルフだから生きてる可能性が高いし』
ティーニャはムツキを安心させる為に説明を続ける。
ダークエルフは“幻狼”以上に長寿で魔力さえ在れば食事しなくても生きていける魔法や自然を操る事に長けた種族だ。
『…ねぇ、ティーニャ』
『ん、どうしたの?』
『イグニとは…もう会えないよね“生贄”の事知っていたかどうかも確認出来ないよね?』
ムツキの問いにティーニャは何も答えられたかった。
(イグニは人間だ。わたし達の転生後はもう死んでいる)
”輪廻転生”を使わなくても転生だけは出来るけど、ただそれは千年以上の何万年と月日が必要だった。
(わたしは“輪廻転生”あるから時間がかかっても、イグニが前世の記憶は持っていなくても生まれ変わりに会える可能性がある)
ムツキとイグニの生まれ変わりが会える可能性はとても低い。
『イグニは…わたしがイグニが生まれ変わるのを待って“真実”を確認してからぶん殴る!前世の記憶がなくても、思い出させてぶん殴るからムツキは安心して』
ティーニャの瞳から涙が溢れて、ムツキと同じ光の玉となって一緒に上へ上空に飛んで逝った。
完璧に“封印”されていた魔王の“封印”を不完全にした人が居た事をこの時は誰も知らない。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)
@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」
このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。
「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。
男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。
「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。
青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。
ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。
「カクヨム」さんが先行投稿になります。
いずれ最強の錬金術師?
小狐丸
ファンタジー
テンプレのごとく勇者召喚に巻き込まれたアラフォーサラリーマン入間 巧。何の因果か、女神様に勇者とは別口で異世界へと送られる事になる。
女神様の過保護なサポートで若返り、外見も日本人とはかけ離れたイケメンとなって異世界へと降り立つ。
けれど男の希望は生産職を営みながらのスローライフ。それを許さない女神特性の身体と能力。
はたして巧は異世界で平穏な生活を送れるのか。
**************
本編終了しました。
只今、暇つぶしに蛇足をツラツラ書き殴っています。
お暇でしたらどうぞ。
書籍版一巻〜七巻発売中です。
コミック版一巻〜二巻発売中です。
よろしくお願いします。
**************
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
異世界日帰りごはん【料理で王国の胃袋を掴みます!】
ちっき
ファンタジー
【書籍化決定しました!】
異世界に行った所で政治改革やら出来るわけでもなくチートも俺TUEEEE!も無く異世界での日常を全力で楽しむ女子高生の物語。
暇な時に異世界ぷらぷら遊びに行く日常にちょっとだけ楽しみが増える程度のスパイスを振りかけて。そんな気分でおでかけしてるのに王国でドタパタと、スパイスってそれ何万スコヴィルですか!

あなたを忘れる魔法があれば
美緒
恋愛
乙女ゲームの攻略対象の婚約者として転生した私、ディアナ・クリストハルト。
ただ、ゲームの舞台は他国の為、ゲームには婚約者がいるという事でしか登場しない名前のないモブ。
私は、ゲームの強制力により、好きになった方を奪われるしかないのでしょうか――?
これは、「あなたを忘れる魔法があれば」をテーマに書いてみたものです――が、何か違うような??
R15、残酷描写ありは保険。乙女ゲーム要素も空気に近いです。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載してます

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる